希少種 オークロード
その日。夜にアンダーノットとサンゼッテ夫婦の屋敷にお呼ばれされる事になり夕方に再度ギルドに顔を出す。
すると職員の誘導で中に入り奥の部屋に案内される。
「すみません、こちらの部屋で少しお待ちください」
職員が部屋の外に出ると入れ替わりで兵士ごくる。王都に来た時ギルドに俺達を連れて来てくれた兵士だ、ウエイト宰相の直属兵団の兵団で王都警備隊の1人と聞いていた。
そう門から俺達をギルドに案内してくれた人だ。
「おお、君達か?」
「ああ、ウエイト様と一緒にいらした兵団の?」
「私はマックロックだ。アンダーノットとは旧知の仲でな今日は私もお呼ばれされたわけだ」
そう言って笑う。
「誰もお前さんを呼んだ覚えは無いぞ」
のアンダーノットとサンゼッテが一緒に入って来た。
「固い事を言うな。不遇な環境を共に生きた貴族の三男坊同士だろう」
そう言ってさらに笑う。
「紹介しておく、マックロックはウエイト宰相閣下の孫だ。
そして俺の悪友でもある。王都の屋敷が近所でな、子供の頃からの腐れ縁だ」
宰相の孫? 宰相の方が若く見える。マルベルトさんの話しだと一族が遺伝的に受け継ぐと言っていたはずだが。
俺が余程驚いた顔をしていたのだろう。マックロックが笑いながら説明をしてくれた。
「じいさんと会った事は?」
「ハイ、マタベリアから王都にくる際にご一緒しました」
「じいさんの体質は俺の兄が受け継いでいる。
現在宰相補佐として活動しているよ。どうも家族全員が同じ見た目とはならないらしい。
俺も父も年相応だよ」
そう説明を受けて少し呆けてしまう。要するに一族でも遺伝するのはごく一部の人間と言うわけだ。
ではマックロックの兄があの強さも受け継いでいるのだろうか? 救国の英雄と同じ強さを。
マックロック俺達をみる。
「所でだ。タツキとダリアに提案がある。
これはマーチとマリアがやっていた事だが、2人にはギルドの裏口から入って欲しい」
「「裏口?」」
マックロックの顔が真剣んだ。そこに少し緊張を覚える。
「俺は王都の警備隊で兵団長を任されている。
業務内容はダンジョンとギルドの管理。つまりは、優秀な冒険者に唾を付けて置くことだ」
「「唾?」」
「国にとっても優秀な冒険者は喉から手が出る程に欲しい。
だが、勇者に認定される程の強さを持つ冒険者はその限りではない。つまり強すぎる冒険者はいらない、そう判断される事が多い。
欲しい冒険者はレベル20~40位が望ましい。だから、目立たぬように裏口から魔石やダンジョンプレゼントを卸して欲しい。
それと2ヶ月後には、メイプル ラッシュ メメシー伯爵が部下達を沢山連れて60階層に入る予定だ。
悪いがその間、王都からルルダンルに移動して欲しい。
ルルダンルのレインには話はしている」
「メイプル ラッシュ メメシー伯爵が審判の塔に入るのは何の為に?」
「そうだな、本人1人なら33階層までしか入れないが、部下達を沢山連れて審判の塔に入ると聞いている。
言われているのは未だに勇者になることを諦めていない。笑い話だが今や風物詩だよ」
「その時は我々はいない方がいいと?」
「ああ、聖マリーンナ教会の教皇も出てきてギルドで待機する予定だ。
ウエイト宰相からも王都から離れるように話が会った」
「つまり後2ヶ月で行ける所まで行けと」
「心配しなくても残り9ヶ月ある。半年身を隠して戻ってから残りを行ってもいい。
まあ、行けるなら2ヶ月で80階層まで行っても問題無いがな」
その後の話で聖教ナイトのしきたりで、この審判の塔の29階層を達成した者が聖教ナイトの花形と言われるナイトになるらしい。
因みにメイプル ラッシュ メメシー伯爵がダンジョンに入る間は、他の冒険者が余り入らないように聖マリーンナ教会が圧力をかけたり、チェックしている。そう教わった。
メイプル ラッシュ メメシー伯爵が審判の塔に入るのも聖教ナイト達の試験を行う為だと言う。
審判の塔はパーティーであれば人数制限といったものは無いらしい、王都の兵士達も訓練の為に審判の塔に入る。
それも入る時は50人を越える数で入るのが一般的なのだと言う。
◇◇◇◇◇◇
翌日、17階層にくる。
入る時に、入り口で兵士に何階層まで行ったと聞かれ、まだまだ10階層だと誤魔化してダンジョンに入った。
それも最初、10階層に来てそれから17階層に来ると言う少し面倒な事までしてだ。
これはマックロックとアンダーノットから必ず守るように言われて行っている。
入り口の兵士からばれる事が有るらしい、どうにも人の口には戸は立たないらしい。
17階層と18階層を順調にこなす。
19階層に入ると違和感を感じる。
脇によりこっそりと隠れるように身を潜めダンジョン地図を確認する。
「オークジェネラルより強いのがオークキングだろう。オークキングは3匹だ。
問題はキングよりさらに強いオークがいる。これはオークロードと呼ばれる希少種かもしれない」
俺の説明にダリアが反応する。
「希少種? もしかして危険?」
「う~ん。これからハイ・オークの階層だ。オークロードとハイ・オークキングは同じ強さって資料に書かれてあった。
どっちにしろ倒さないといけないやつだよね」
「なら、決定だね。
時間が無いから一気に行こう。出来れば2ヶ月の間に79階層は終わらせたいね」
やる気があって結構、でも泊まり込みじゃないと無理な気がするけど。
オークロード率いるオーク軍団は物凄く統率された軍団だった。戦いに置ける駆け引きを行い、戦い憎さを覚える程だ。一進一退を続け一匹のオークキングを倒す。ここから潮目が変わる。
オーク達の統率が乱れた、そこを逃さずに攻め立てる。
ダリアが1人中ほどに残りオーク達を倒している間に、俺が隠匿魔法を使いオークジェネラル、オークキングだけを狙い倒し続けオークロードと対峙する所まで来た。
指揮官を失なったオーク達は動きが鈍くダリア1人で簡単に倒せたようで俺がオークロードと対戦していた時には全てのオークを倒し終えていた。
「モボー!」
オークロードの雄叫びに反応するオークがいない事を知ったオークロードは、焦る様子もなく俺だけに集中する。
オークロードの持つ大斧を振り回しながら俺に向かい攻め立てる。
その攻撃をかわし、間合いに入る。
「牙突」
光魔法を纏う剣がオークロードの胸に大きな穴を開ける。
ドスーーーン!!
大きな土埃を上げて地面にたおれる。




