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双子座の勇者 2人で作る物語 900年の時をつなぐ親友との友情と共に  作者: 武田 健太郎


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日照の主

我々はゴブリン階層を終えて、4階層のボブゴブリンの階層の入り口に来ていた。地図を見ていたダリアが首をかしげる。


「ボブゴブリンにハイゴブリンって何が違うのかな?

お兄ちゃん、ボブゴブリンの事何か知ってる?」


「ギルドの資料で見ただけだけど、ボブゴブリンはゴブリンの上位種。強さはゴブリンジェネラルに匹敵すると書かれていた。


ハイ・ゴブリンはボブゴブリンの上位種でゴブリンキングに匹敵するって資料にはあったよ」


「そう。なら今日は9階層まで終わらせよう」


「ハイ・ゴブリンまで全て終らせるってことか。

良いよ。ハイ・ゴブリンまで全て倒せば、魔石だけでも良い金額になるし」


「けってい!」

ダリアが手を上に突き上げる。


ボブゴブリンの階層に入る。


通常のゴブリンの身長は130cmが平均だ。


ボブゴブリンはそれよりも背が高く150cm前後だろう、見るからに筋肉質の体をしている。ボブゴブリンを見た時、日照が微かに反応を示したが、直ぐに興味を失ったらしい。


スラッシュを日照に纏い出会ったボブゴブリンを切り捨てる。


通常のゴブリンと比べ明らかに早くそして力も強い。だが、この程度の動きだと何の問題もなく倒せそうだ。


しかしこの審判の塔はルルダンルの初級ダンジョンと変わらない気がする。


ゴブリンも凄い数だった。ボブゴブリンも数が半端無い、確か聞いた時は低階層は初心者でも入れるって聞いたはずだ。


これの何処が初心者向けなんだ? 大体こんな数のモンスターを斬り続けていたら武器自体がおかしくなる。


俺達はスラッシュを剣に纏わせているから刃こぼれ等が起きていないが、知らなかったら確実に日照が駄目になる位に数が多い。


ルルダンルの中級ダンジョンの一階層の方がまだ初心者向けだろう。


これじゃ只の冒険者潰しだ。


そう愚痴を言いつつも4階層を抜ける。ルルダンルのダンジョンでは、モンスターをマジックバックにしまいギルドにモンスターごと買い取ってもらっていた。


だがここ審判の塔は倒されたモンスターは魔石だけを残しダンジョンに吸収される、残った魔石だけを回収すればいい。


そこだけは楽チンだ。


ボブゴブリンの階層の5階層に来る。

中央にゴブリンキングを思わせるモンスターがいた。


「ダリア、中央にゴブリンキングと同等のモンスターがいる」


「中央? 奥は?」


「いや、いない。中央に5匹だ」


「了解。少し楽しくなって来たね」


あ、ダリアも強いモンスターがいる方が楽しいんだ。


やっぱり争えないねぇ。


人の事バトルジャンキーとか言ってる癖に。ダリアも一緒じゃん、立派なバトルジャンキーだ。


中央を守るようにボブゴブリン達が集落を形成していた。やはりリーダーがいると変わるのだろう、ボブゴブリン達の攻撃も激しくなって来ていた。


倒したボブゴブリンにつまづきダリアがこける。


そのタイミングで矢が飛んできた。


「光壁」

光の壁をだし、矢を防ぐ。


光の玉で三角形をつくり、その平面に壁を発生させる。光壁はサイズも自在に変える事が出来る、一つ一つの三角形は固定され形たがそれをいくつも合わせる事で、球体も平面も思いのままに防壁が作る事が出来る便利な能力だ。


「ごめん、助かった」


ダリアがゆっくりと立ち上がる。


「どういたしまして」


そう言ってダリアの手を取り、立つのを補助する。


ダリアが月照に力を込めるとダリアの横に女の子が出た、おそらくこれが月照なのだろう。


真っ白な振り袖を着て顔だけでなく髪まで真っ白な女の子だ。日照は明るく元気な陽気な印象だったが、月照は雪女を想像させるような冷たさを感じた。


月照が俺を見てジト目をしている、おれの考えが伝わったのだろうか?


「お兄ちゃん、月照を見て変な事思ったでしょ。月照がお兄ちゃんを怒ってるよ」


「冷たい印象何て、誰も思ってもいないよ」

ボー読みで返事を返す。


月照の魔力がダリアの魔力と合わさる。ダリアが月照の冷気の鎧を纏う。


光壁を消すとダリアが走り出した。


ダリアが走る事によって風が生じ、その風に触れる物全てが凍り付いて行く、ダリアがこれ程までに月照の力を使いこなしていることに驚きを覚えてしまった。


するとそこに日照の声が聞こえた。


≪タツキは女癖が悪いな。ダリアや妾だけじゃなりずに月照まで手を出すなんて≫


≪人聞きの悪い事を言わない≫


日照がプイっとそっぽを向く。


≪お前、俺をからかい過ぎていないか?≫

日照の動きが止まった。


9階層を攻略した俺達はギルドに戻る。その途中武器屋を見つけ中に入る。


「ダリア、武器屋を見たい」


ダリアが不思議そうに俺を見る。中に入ると煌びやかに装飾された武器がならぶ。


「らっしゃい。どんな武器を希望だい?」


小柄な店主が言う。


「実用的な長剣が欲しい」


「お兄ちゃんに合いそうなのはこれか、いや、こいつはどうだいかなりの長剣だけど?」


「親父、この武器をもらおう。いくらだ」


ダリアと日照の声が聞こえた気がしたが気にすること無く長剣を買う。そして翌日だ、わざと宿に日照を置いてダンジョンにくる。


次はオークの階層だ。


10階層~13階層を攻略する。安物の剣だったが扱い安く、スラッシュやストッシュ。パリィ等がすごく使いやすかった。


その日の夜、日照が出てくる。


≪オイ、タツキ。妾を連れて行かずあんななまくらを持ち歩く等どういうつもりだ(怒)≫


≪日照になんの関係がある。


武器を使うに当り使いやすい物を使う。そんな当たり前の事をして何か文句があるのか?


俺にとっては命がかかる事だ≫


日照が着物姿で体を震わせながら俺を睨む。


≪お前が俺をどう見ているかは知らない。だが、俺はお前を武器としてしか見ていない。


お前が俺に従がう気が無いなら今回のようにお前を使う気は無い。


お前を持ってダンジョンに入っても、この安物の剣を持って入っても消費する魔力は一緒だ≫

俺が言いたい事をはっきりと言った為か日照が俺を睨む。


≪月照は氷の膜をダリアと共同で出す。それは刃を保護する為だ、なぜならあれだけの数を倒す必要があるからな。


保護もしないで普通に戦うと3階層も上がれば剣は使い物にならない、だから剣を保護する為にあえてやっている。


日照、お前はどうだ?


俺が魔力を込め、光の膜を作ろうとしてもお前が拒否する。


仕方ないから、スラッシュを纏わせる。

だがこれは物凄く魔力を消費する。それを毎度行う、なら俺が持つ剣は日照である必要はない≫


日照がさらに全身を震わせて怒りを露にする。そこに月照が慌てて現れた。

ダリアがそれに気が付いたのか寝ていたが目を覚ました。


「お兄ちゃんは日照が嫌いなの?」


「好きも嫌いも無い、あくまでも武器は武器だ。使えない物をお飾りで持ち歩く程俺は物好きじゃない」


そう言うと日照を取りだし刃に他の剣を当て日照を折ろうとする。


≪タツキ、本気!?≫


日照が俺を見て止めに入る。


≪使えない物にならない剣になんの価値がある?


用がないなら、壊して売りに出すだけだ。使えない剣を優しく扱うような酔狂な気持ちは俺には無い≫


さらに日照に言う。


≪日照、貴様の役割はなんだ? 夜とぎか? 暇潰しの話し相手か? それとも俺の戦う時の力か?


俺は使えない物になんの興味も無い。さあ、日照。覚悟を決めろ≫


日照が土下座をした。


≪申し訳ありません。


我が主をそこまで怒らせたのは妾のせいです。


もう一度チャンスを下さい≫


≪次は無い≫


≪ありがとうございます≫


日照が消えると月照が驚いた顔で俺を見ていた。ふと、頭の中に月照の声が聞こえた気がした。


"あの日照が初めて主と認めた"


そう聞いた気がした。

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