隠された通路
後日、マタベリア辺境伯を含めて会議が行われた。
「ギルマスはムンダンと言う人に心当たりは無いだろうか?」
会議の最中、確認をする。
「懐かしい名前だ。わしの兄だよ。
だが今は敵だ。ムンダンは聖マリーンナ教会に未来が有る。
そう言って家を出た、いわば我が家の面汚しだ」
「そうか。薪小屋から入り一番手前の牢屋につながれている。
それから順に女だけの牢屋、男だけの牢屋、神官らしき者達の牢屋となっていた。
通路は最終的に聖教ナイトと敷地につながっている。
そこが聖教ナイトの敷地かどうかは、最終的にはマーチさんの判断だが… っ!!」
マタベリア辺境伯が突然、立って我々を制する。大きな声でゆっくりと、そして優雅に言う。
「みんな、一旦固い話は終了しよう。
お茶でも飲みながらもう一度大会の事を考えるべきだろう。
根をつめると良いアイディアがでなくなる、これを成功させないと我々の目的である良い冒険者を集める事が出来ない。
だからこそだ。落ち着いてゆっくりとしよう。
お~い、お茶を持ってきてくれ」
そう言ってドアを開けると1人の兵士が立っていた。
「なんじゃ? すまんな。うち職員と勘違いしてしまった」
「いえ、かまいません。私で良ければお茶をお持ちしますか?」
「はは。よしてくれ、兵士を勝手に使うなとわしが怒られてしまう。
おーい、誰かいないか? お茶をお願い出来るか?」
「ハイ、ただいま」
女性の職員が走ってきた、それにあわせて兵士が何処かに行く。
「タツキ、知った顔か?」
シーザンが顔を寄せて話しかけてきた。
「いや、初めてみる顔だ。だが、警戒した方が良い、あの腕のラインは100人兵長の物だ。
どうも胡散臭い」
「ハァ~イ、皆様お待たせしました」
女性職員がお茶を持ってきてくれる。
「皆様。我がギルドの名物、剣術大会の為にわざわざ申し訳ありません。
国内外から沢山の方が集まります、私達も楽しみにしてるんです。
頑張ってくださいね」
女性職員が嬉そうに言ってお茶を出してくれる、するとドアの付近から人の気配が消えた。
その後ニコニコとしながら女性職員が部屋を出ていく。
それを見てマーチさんがマタベリア辺境伯に小声で話す。
「良いんですか? 大会まだ先ですよ。変な噂が立つとやりにくくないですか?」
「心配無い、あれはわしの娘だ。事の真相は知っている」
「あ、マタベリア辺境伯。
出来れば大会前に壁の修復をした方が良くないでしょうか?
古い教会跡地の壁がどうにも崩れやすくなっているようで、気になります」
シーザンが真剣に話をする。
「う~ん。壁の修復かぁ。だが今予算がな」
そう言って頭をかく。
それから何度か薪小屋の辺りを探りいれる。
「みんな、聞いてもらいたい事がある」
ギルドの食堂で4人で話をしている時に気になっていた事を話す。
「1度、教会の地下に行ってみたいと思っている。
時々何だが、薪小屋から壁に向かう方向に嫌な気配を感じるんだ。
薪小屋から入り口は見つからなかった。だけど少し心配でな」
「わかった、心配事は先に潰しておくに限る」
おれの提案に最初に了解したのはシーザンだった。
そして翌日、4人揃い古い教会後にくる。
そこに兵士がいた。
「すみません。現在ここは立入禁止となっています」
そう言って兵士が我々を止める。
「我々はマタベリア辺境伯からの依頼で教会を取り壊せるかの確認できています。
教会に入る事は出来ますか?」
兵士とのやり取りを聞いていた別の兵士がやって来た。マタベリア辺境伯との話し合い時、ドア前にいたあの兵士だ。
「部下から、話しを聞きました。教会で良ければお入り下さい」
「有り難う。後、教会の採寸がしたい。その時、隣の建物の上に登っても良いだろうか?」
「かまいません。もしかして取り壊しの予定ですか?」
「今、検討中です。
ここまで古くなると倒壊する恐れもあるので今日はその調査です。
剣術大会の時にこの辺にも選手や関係者のテントを張る予定です。その時に壊れたりしてら大変なので」
そう言って教会に入る。シーザンとダリアが教会の外の採寸を始める。
そこを兵士が守るように見張りを立てた。
中に入り索敵を始めると、壁の中に空間を察知する。
その距離は約1.5m。どうやっても壁の中だ、部屋をあれこれ探すと隙間を発見。
力一杯に押してみた。
ズッ ズズズズズ!
ゆっくりと壁が回転を始める、壁を縦にして中を見ると中に入ると階段があり、その階段を降りる。
地下は通路になっておりその通路を進むと、薪小屋の所に辿り付いたのを確認した。
だが完全に閉ざされていた。
一番奥に古い絵画が複数あった、その内の一つを回収してから戻る。
マーチさんが外にいたシーザンとダリアを呼ぶ。
「シーザン。頼まれてくれる。
この絵画を持ってギルドに走って。そしてマタベリア辺境伯と荷台付きの馬車を向かわせてもらえるか?」
「わかった」
「それと、敵だと感じた奴は誰であれ容赦はいらない。緊急事態よ」
シーザンが絵画に布をかけて外に出る。
兵士に声をかけられたようだ。
「はは、思わぬお宝っぽい物を発見した。1度ギルドに走る」
「ひょっとしてその布を被せてあるやつですか?」
シーザンがニヤッと笑って走り始める、と兵士達が羨ましいと口々にこぼしていた。
それから約30分程してギルマスのマタベリア辺境伯と5人の職員がやって来た。
マタベリア辺境伯が到着すると直ぐマーチさんを呼ぶ。
「マーチ、絵画をみた。あれはわしが子供の頃に無くなった我が家の絵画だ」
「そうでしたか、やはり確認して良かったですね。
マタベリア辺境伯の言った通りに直ぐ壊してしまっていたら大変な事になっていましたね」
「はは、大きな箱が無くてなこんな物を準備した。全部入るかの?」
「大丈夫でしょ。
シーザン、その箱を中にいれて頂戴。後、中は結構狭いので職員の方はここでお待ちください」
そう言ってシーザンとマタベリア辺境伯を中に入れる。
マタベリア辺境伯が絵画を確認、箱の中心に彫刻された置物を置き、その回りに絵画等の美術品を入れる。
「おい、待たせたな。貴重な品だ慎重に馬車に乗せてくれ」
「「「ハイ」」」
5人のギルド職員が箱を慎重に持ち上げ荷馬車に乗せる。
「少しよろしいか。中味を改めさせてもらいたい」
兵長のような男が出てきて職員を止める。
「さわるな!!」
マタベリア辺境伯が不機嫌に言う。
「お前が触った彫刻は、わしが子供の頃すでに10億リンの価値があった。
お前が触った事で少しでもかけたりした場合はもちろん責任が取れるのだろうな」
マタベリア辺境伯と兵長がにらみ合う。
「なら、我々兵士が護衛を勤めましょう」
「いらん。護衛はマーチに頼む。こいつに挑むやからは基本的にいないからな」
マーチさんが馬車に近づく。
ガキン!!
俺が日照を抜刀して兵長の剣を押さえる、不意を付いたはずの兵長が驚いた顔をしていた。
「お前命拾いしたな」
シーザンが兵長を押し退けて言う。
「なに?」
「後を見ろ」
シーザンに言われて兵長が後を見る。兵長の後にあった大きな台座が滑るように真ん中から落ちてきた。
「マーチは勇者の中でもズバ抜けて強い冒険者だ。
こいつが止めなければ、お前達全員、あの台座と同じ運命だったな」




