冒険者として見てもらえる
「今回の買い取り額はエクストラヒール茸を含めて、10万リンです」
マーチさんから提示された金額を了承する。ちなみに1リンが日本円で1円。
10万リンで10万円だ。この国の平均年収が300万リン。
そう考えがえると1日10万リン(10万円)は凄い売り上げだ。
ギルドを出て宿に戻る途中に付けて来る奴らを確認する。おそらくギルドから付いて来た奴らだろう、狙いは金とダリアだろうな。
だが冒険者達は知らない。普段モンスターを相手にしている連中の多くは人を相手にする事が少ない。つまり対人の戦闘術を知らない。
俺達はその逆だ。軍で嫌と言うほど対人戦闘訓練を受けている、つまり対人戦闘術はたけている。が、モンスターの戦闘には不馴れだ。
ダリアと2人揃っていれば負ける感じがしない。それが俺達の思いだ。
そう思っていざかまえてみたが、どうと言うことはなかった。パーティーへのお誘いや軽い嫌がらせ程度だった。
宿に戻ると待っているのが武器の手入れだ。回収してきた矢を取り出し丁寧に汚れを落とし、破損がないかを確認してマジックバックにしまう。
「ねえ、お兄ちゃん。この街に長く入る予定だよね。
だったら家借りない?」
「家?」
「そう。何時までも宿暮しも変でしょう」
「わかった、ギルドランクがFに上がったら家を借りよう」
ダリアがコテンと顔を倒す。
「FランクはEランクまでの依頼が受けれる、それとダンジョンにも入る事が出来る。
そうすると月に30万リン以上は確実に稼げるだろう」
「何で、今日だって10万リンいったのに?」
「エクストラヒール茸は成長が遅いんだ。だから誰も気付かない。
それに知らない人達があの場所を調べると、ただ踏み荒らしたり、成長途中の物を取ったりする。そうなるとエクストラヒール茸は全滅してしまう。
それは避けないとね」
「はぁ~い」
ダリアが気の抜けた返事を返して来た。それとマーチさんの言った若い女が消える、その事も気になる。
次の日、ギルドに来て依頼板を見るとやけにG~E用の依頼が物凄く少ない、仕方なく教会の草むしりの依頼を持ってマーチさんの所に行く。
「おはようございます。今日は何をなさいますか?」
マーチさんの営業スマイルがまぶしい。
昨日の今日でこんな爽やかな笑顔が出せるなんて、そう思いながらも依頼紙を渡す。
「あら、教会の草むしりですね。ならついでにこの屋根修理のお手伝いもお願いできますか?」
ダリアと2人キョトンとしてお互いを見合う。
「実はGからFに上がる際に、こういう街中の依頼を最低2つ受けて頂く必要があります」
「そうすると我々はその2つをこなすとFランクに昇格出来ると言うことですか?」
「いえ、昇格試験を受ける事ができます。その試験に受かるとはれて本当の冒険者になります、どうでしょうか?」
「本当の冒険者?」
「そうです。Gランクは身分証を持たない方達が身分証だけが欲しくてギルド登録することがあります。だから試験がないんです」
「つまりFランクから冒険者の扱いになる、その為に試験が必要。と言う事ですか?」
「そう言う事です。どうでしょうか?」
「そう言う事なら、受けさせて頂きます」
「ハイ」
マーチさんの営業スマイルが爆発する。
「でも何で今日はこんなにGランクの依頼少ないの?」
ダリアが不思議そうにマーチさんに聞く。
「お二人のせいですよ。エクストラヒール茸を発見したんです。みんな目の色を変えて飛び出して行きました」
「「へ?」」
「エクストラヒール茸の生息地は基本的に崖が多いです。それを知らない者達が一攫千金を狙ったんですよ。
兵役上がりのお二人なら崖の作業も慣れてらっしゃると思いますが、崖の作業は技術が必要ですから。その内、諦めて戻って来ますよ」
そんな話を聞いた後に依頼のあった教会に来た、教会は孤児院も兼ねているらしく沢山の子供の達がいた。
指定された場所の草をむしり、合わせて受けた屋根修理を行う。
我々2人の手慣れた姿を見た老齢のシスターが話しかけて来た。
「貴方達は良く慣れているのね」
「フフ、そうだよ。私もお兄ちゃんもこういうの上手いんだ」
褒められたダリアが上機嫌に答える。
「良かったわ。こんなに早く直してもらえる何て思ってもいなかったし」
そう言うと作業完了のサインを快く書いてくれた。
作業はお昼前に終了して、ギルドに戻る。
「あら、早いですね。何か忘れ物ですか?」
俺達の帰りが早すぎたのか、マーチさんが不思議そうな顔をしていた。
「完了しました。これはサインです」
そう言ってシスターにもらった完了サインを渡す。
「え? あのシスターがサインを?」
マーチさんが固まってしまった。
「あの、何か問題でもありましたか?」
「あ、いえいえ。とりみだしてすみません。教会のシスターは冒険者の仕事を良く思いません、作業が汚いとか仕事が下手だと言っては難癖を付けてくるんですが」
「そうでしか。でも凄い優しかったですよ。作業終わりに疲れたでしょと言ってお水まで頂きましたから」
俺の話しにダリアもうなずく。
マーチさんの顎が外れそうな位に口が開いた、それを思わず凝視してしまった。
「貴方達には驚かされてばかりです。
でもこれでFランク試験が受けれます。今日のお昼過ぎから試験があります。受けませんか?」
「それはどんな試験ですか?」
「教官相手に剣術と格闘術の試験。後は魔法を使える方は魔法の試験を受けてもらいます」
ダリアと顔を見合せる。ダリアは何も言わずに頷いた。
「わかりました。では受けさせて頂きます」
マーチさんの顔がパッと明るくなる。
「良かった。なら、先に腹ごしらえしましょう。
ダリアさん。前回行ったパンケーキのお店と同じ位有名なお店が有るの、一緒に行かない?」
「行く!! 行く行く行く!!」
あ、ダリアの奴、餌でつられたな。
カウンターからでたマーチさんと嬉しそうに手を繋ぎお店に向かうダリア。
でも、ダリアが拒否感を出さずに手をすぐに掴んでいるなんて、マーチさんはやっぱり悪い人では無いのだろう。
ダリアはそう言う所は恐ろしく鼻がきくから心配無いだろうな。
◇◇◇◇◇
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