真実の水晶
「悪いな、依頼達成の報告だ。あんたら用が無ければ退けてくれないか?」
人だかりを押し退けて受付カウンターに顔を出す俺を、10人位の冒険者達が取り囲む。
キョトンとした顔で俺を見る受付のお姉さんをよそに、報告を始める。
「依頼を受けたダンジョンマッピングの詳細だ。
確認してくれるかな」
「あ、はい」
お姉さんが気の抜けた返事をしてカウンターに置いた書類を持って受付を離れる。
「おい、まさかと思うがてめえがドジ達をやったって奴か?」
「ドジ? そんな奴に知り合いはいないぞ」
「てめえがダンジョンの中で怪我させた奴だ。忘れたとは言わせねえぞ」
「新人狩りみたいな連中なら追い払ったぞ」
「て、てめえ!!」
「止めて下さい!!」
先程のギルドのお姉さんが何か水晶のような物を持って戻って来た。
「これから、審議にかけます」
そう言って水晶をカウンターに置く。
「これは真実の水晶と言います。
では、タツキさん。最初にこの水晶を知ってもらう為にわざと変な質問をします。
間違っているのは知っていますが肯定してもらえますか?」
「わかった」
「タツキさんは女性ですね?」「そうだ」
水晶が真っ赤に光だした。
それを見た冒険者達がみんな声を上げて驚いていた。どうやら嘘に反応する物らしい、これで嘘を言ったかどうかを見極めるつもりのようだ。
「これで効果はお分かり頂いたと思います。
質問致します。ダンジョンマッピングはタツキさん、ダリアさんの2人で行いましたか?」
「そうだ」
「「「オオー」」」
水晶が反応しないのを見て回りからため息が漏れる。
その後各階層のモンスターの情報等の精査を行い、全ての確認項目を確認し最後の質問になった。
「タツキさんとダリアさんはダンジョンに入った時から、先に入っていた5人組を付け狙っていましたか?」
「いや、逆だ。俺達が入って直ぐから5人組が付いてきた。2階層のセイフティーポイントで声をかけられたよ」
当然水晶は何も反応を示さない。
「どんな風に声をかれられましたか?」
『お兄ちゃん達、このダンジョンは初めてかい?』
『そうだ。それがどうかしたか?』
『いや、やけに熱心に地図を見ていたからね』
『ギルドからのマッピングの依頼だ。地図と違いが無いかの確認作業中だ』
『そんな嘘を付くとは頂けないね。
通常はそのダンジョンに長けた者がやるのが習わしだ。
新参者がやるなんておかしい限りだ』
『そうか? 文句なら、ギルドに言ってくれ』
「と言う内容だったはずだ」
「分かりました。その時ダンジョンで会った人はここにいますか?」
「ああ」
そう言うとベテラン冒険者1人と新人冒険者2人を指さす、するとカウンターから男の職員が出てくる。
「一方に話を聞くのはフェアーでは有りませんね。
あなた方にもお話を伺いましょう、さてこの水晶を触って下さい」
3人がプルプルと震えだし下を向いてしまう。
「このまま弁明しないのであれば、あなた方が嘘を付き、また嘘の報告をした。そうなりますがよろしいのでしょうか?
その際はクラン全体にペナルティが発生します」
やり取りを聞いていた関係の無い複数の冒険者達が回りを囲む。するとベテランの冒険者が逃げ出すが、回りを取り囲んだ冒険者達によって取り押さえられてしまった。
「では、ギルド憲章に乗っ取り冒険者クラン。"火炎のドラゴン"はギルド使用の禁止とします。
また加盟の全てのパーティーは、半年間の利用停止とします。同クランから離れ独立した際は申し出て下さい。各々に相談にのります」
クランの冒険者とおぼしき者が居なくなったを見てギルドの職員に声をかける。
「何時もこんな厳しい罰が出るのか?」
「いいえ、彼らは依頼の失敗。新人狩り。他の冒険者の依頼の横取り等と目だっておりました。
先月もクランの中のパーティー2組を登録廃止にした程です」
そうなんだ、災難だったな。
クランはこの都市で最大だと聞いたけど問題無いのかね。まあ、俺が心配する話じゃ無いけど。
「あの? タツキさん」
突然、受付のお姉さんに声をかけられた。
「タツキさん達はお二人でパーティーを組まれていますよね。
実はパーティー加入を希望されている方達が結構いまして、人数を増やす予定等はありませんか?」
「それは我々のパーティーに加入を希望と言うことでしょうか?」
「あ、いえ。パーティーが解散したり、パーティーを抜けたりして単独活動されている方達がいまして」
「そうですか。悪いですが今は2人がやりやすいのでお断りしています」
それから数日休みを取ってダンジョンに来た。
入り口の横辺りに有る小さい祠のような場所に来ると転移魔石にダリアと一緒に手をあげる。
すると幻の11階層にくる。転移魔石の脇のドアを開けるとおそらくボス部屋だろう。
モンスターの出現を待つ。現れたのはオークロードとオーク10匹、通常のオークが2m位だがオークロードは3mを越える身長だ。
日照を持ち構えるとダリアが月照を持たずに氷の蝶出す。
ダリアのセンスの良さに思わず脱帽してしまう。おそらくダリアは、月照と上手く心を通わせているのだろう。元々、氷魔法は属性が有ったがこの所の強さはそれだけでは無いだろう。
ダリアが放つ氷の蝶がオークに降り立つ、するとオークの体が凍り付きその場で動かなくなる。オークロードが反応しない回りのオークをなぎ倒すと前に出る。
「グボーー」
巨大な雄叫びと同時に巨大なアックスがオークロードの前に現れる。
日照に魔力を為、スラッシュを放つ。
「ライトスラッシュ!」
日照から放たれる光魔法にスラッシュを乗せたオリジナルだ。
ドガン! 巨大アックスに当たり巨大アックスが地面に落ちる、その隙を付いてオークロードを攻める。
アックスを拾おうと、オークロードが屈んだ所にライトスラッシュを纏わせ上から斬り下ろす。
オークロードがとっさに避けるが右肩から胸にかけて深い傷が出来る。
体を開いて立ち上がった所にダリアの月照が襲いかかりオークロードの左足を凍結させる。
「グア!!」
そこをチャンスと思い踏み込んだ所にカウンターの一撃をもらってしまった、オークロードの左のパンチをもらいふき飛ばされてしまった。
俺が倒れた事でオークロードが俺を攻めるが、その対処をダリアがしてくれている。
日照に魔力を込める。
日照自体がブアっと光輝く。ダリアがオークロードの攻撃を避けバックステップで距離を稼ぐ。
そこでオークロードの前に飛び出す。
ビク!!
急に飛び出した俺に驚いたのかオークロードの動きが止まる、そこに日照を振り下ろす。
オークロードの体が真っ二つに別れて勝負を決する。
この階層を抜けるとまた転移魔石があった。おそらくここは転移魔石を使って入る特殊ダンジョンなのかも知れない、そう思いながらダンジョンを出る。
マタベリア辺境都市のダンジョンは都市から一度出て馬車に乗り片道3時間程かかる。
それに比べたら悪魔の森の方が徒歩で30分もかからずに森付く。
どっちがいいんだろう。
「ダリア、ダリアは悪魔の森とダンジョンとどっちに行きたい?」
「そうだなぁ。悪魔の森の方が楽しそうだよね」
「やっぱり、これからメインを悪魔の森にしようか」




