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双子座の勇者 2人で作る物語 900年の時をつなぐ親友との友情と共に  作者: 武田 健太郎


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お引っ越し

マーチさんとの話し合いの後、家に戻り必要な物を全てマジックバックにしまう。


そこには元々置かれていた姿見鏡も一緒にだ。

龍源に行き事情を説明して鍵を返すと、タッカンが残念そうにしていた。


ダリアと2人で向かいの飲食店に入る。ブリットのおばあちゃんの店だ。


「タツキにダリアじゃないどうしたの?」


おばあちゃんに街を出る事を説明して、姿見鏡をもらいたいと伝えた所、そんなんでいいのかい? そう聞かれた後で、もらう事になった。


その日からマーチさんの移動日まで、初級ダンジョンの中に有るダッツの部屋で過ごす事になる。


鏡を置くと直ぐにダッツの声が聞こえてきた。


「ダッツ。いるのか?」


「おお、タツキ。なんだどうした。しけた顔して」


「今いる街を出ようと思ってな。色々やってたら少し疲れて来てしまっただけだよ」


「そうか。ダリアも一緒か?」


「なにぃ~、ダッツさん呼んだ?」


「お、ダリア。2人揃ったな。ジャン!!」


そう言って太陽の剣を見せてくれる。不思議と日照が共鳴したように感じる。


「それって、あの太陽の剣か?」


「そうだよ。それとな」

男の人を横に座らせる。


「今度一緒に旅をする事になった。ゴールドだ」


「おい、本当に鏡に他の人が映ってるよ」

「だから言ったろう」


「ゴールドさん。俺はタツキ。こっちがダリアだ。


大分前からダッツとマリーンには世話になっている。


よろしくな」


「お、おお。よろしく。


俺はゴールドだ。ダッツもマリーンもなんかあぶなかっかしくてな。


付いていく事にした」


それから夜になるまで5人でなんやかんやと話が盛り上がった。


◇◇◇◇◇◇◇


研修最終日が来る。翌日はマーチさんとダリアと3人で移動する日だ。


マーチさんの移動に関してはまだ発表されてはおらず平穏に過ぎていた。


「よし、サーペント、アサヒ。だいぶ良くなったな」


「「へへ」」


2人共嬉しそうな反応をする。


「タツキさん。今日は私達もと対戦稽古ですよ」


サーフィンの声が聞こえる。


「分かってるよ。どっちが先だ」


「私です」ブリットが元気に言う。


「わかった。ナディア、サーペント、アサヒの3人は魔力操作の練習をしながら良く見ておけ。


中々みれない対戦だぞ」


長木剣を持ち、ブリットと対峙する。


ブリットが身体強化をかけて魔法詠唱を始める。木剣に炎をまとい、俺の足元に向かい火球を飛ばす。


魔法戦士を目指しているブリットの器用さには驚かされる事ばかりだ。


火球を避けブリットに向かうと炎を纏う木剣が迫る。


頭を少し下げて攻撃を交わすとブリットの後ろ回し蹴りが飛んで来た。蹴りを木剣の柄で押さえる、ブリットの体勢が崩れた所を狙い袈裟斬りにする。


変な体勢から木剣を振り下ろしたせいか、あっさりと交わされてしまった。


お互いに体勢を整え、相手を見る。ブリットの踏み込みに合わせ先に剣を横凪に振る、ブリットの持つ木剣より20cmは長い俺の木剣がブリットを捉える。


ブリットが仰向けに寝ると悔しがる。


「ちくしょう。絶対に捉えたった思ったのに」

「ハイハイ! 次は私です」


サーフィンがそう言うと構える。


サーフィンは元々体力が異常に無く、強くなるかも心配していた程だが俺の心配もどこえやら。


今では3時間に及ぶ訓練も難なくこなすようになった。


何より嬉しいのはレベルが上がった事により魔力量が増え、新な魔法を覚えた事だ。


前は身体強化しか使えなかった。今は身体強化。魅了魔法。爆発魔法等の珍しい魔法を習得している。


サーフィンと向かい合う、距離をお互いに縮めている時に邪魔が入る。お互い踏み込む直前に矢が飛んで来て、ちょうどサーフィンとの間に矢が刺さる。


振り向くと警備隊の面々がいた。


「タツキ ムルシア殿だな。我々と一緒に来てもらいたい」


思わずいらっとしてにらみ付けてしまう。


「断る。警備隊に用は無い」


「そんな事を言って良いのか?


君のお父さんが詐欺の容疑で捕まった、お父さんが直接タツキ殿に助けを求めている」


「悪いが俺は天涯孤独だ。父親と呼べる奴はいない」


「ふむ。本当にそれで良いのか?


父親が断罪されれば、家族皆取り調べが始まるぞ」


「なら、俺の身分証を見せようか。俺に家族はいない」


「確認させてもらう」


「失礼した。どうやらその父親と名乗った者が嘘を言ったようだ。


これにてタツキ ムルシア殿への疑いは晴れた。邪魔して悪かった」


その日は、ブリットとサーフィンと対戦を5回程繰り返し訓練を終える。


翌朝、門の前に馬車が到着する。ギルド専用馬車だ。

中にマーチさんが見える。出発時間より少し早かった事もあり、馬車に乗らず外で待機しているとアサヒがやって来た。


「あれ、タツキさん。こんな朝早くから何してるんですか?」


あれ? アサヒに伝わって無いのか? 


等と考えているとブリット、サーフィン、ナディア、アイラッシュに宿屋の大将までに集まって来た。


「タツキさん、ダリア。これは私達から」


アサヒがそう言うとみんなからの手紙をもらう。それにはダリアが泣いてしまった。


アイラッシュが近付いて来た。


「タツキさん。出来れば長木剣をもらえたりしませんか?


助けてもらった子供達も何かと励みに成ればと…」


「良いよ」


そう言うと長木剣を出して渡す。


時間が来て馬車に乗り込み、みんなに見送られながら門を出る。


するとそこにサーペントを初めとして教育隊が並んでいた。


「全体、整列。


我々の先輩であり、良き先生であり、恩人に。


敬礼」


ザッ!!


まだまだ背の低い子供達の部隊である教育隊。


その子達を見るために、馬車の窓から覗くように子供達をみて手を振る。


殺伐しているこの世界で心が暖まるのを感じた。

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