聖マリーンナ教会
試験の次の日、マーチさんに紹介を受けた家を見に来ていた。一応、ギルドの紹介と言う事もありなかなかの家ばかりだった。
だが問題は家賃だ。高くても20万リンを予定していたが紹介される物件はどれも高額で、凄く高い物だと月100万リンもする超高級住宅等もあった。
「あの、もう少し庶民的な所はありませんか?
余りにも高額過ぎて手がでないです」
そう、不動産屋に聞くと連れて行ってもらった所が酷い場所だった。
スラムと言われ定職を持たない人達が多く暮らす地域だ。
その日は家を見つけるのをあきらめてダッツの部屋に戻る事にした。
「あ、お兄ちゃんどうだった?」
「駄目。超お高い所と、超危険な所しか準備してなかった。
明日は別の不動産屋を当たるよ」
疲れきったようにダリアにそう伝える。その時、突然とマリーンの声が部屋に響いた。
「ダリア、タツキさん。いたらお願い返事して!!」
マリーンの余りに必死過ぎる叫びに驚きを覚えて壁を見ると無くなったはずの鏡半分が復活しており、ダッツが血まみれでマリーンに抱えられていた。
「マリーン、何があった。ダリア、ダッツを回復させてくれ」
「うん」
「神聖なる女神ルシャナの力を借りて今汝の苦しみの全て回復させよう。
女神ルシャナの愛を受け入れたまえ。
エクストラ・ハイ・ヒール」
ダッツの表情が徐々に血色を取り戻す、それを見てマリーンがダッツに抱きつき泣き始めた。
マリーンが落ち着いてきたのを見計らって言う。
「マリーン、2人がいる場所は安全か?」
マリーンは力無くうなずく。
「私のせいなの。私がダッツをこんな状態にしちゃったの」
そう言うとまた、マリーンが泣き出す。
何が起きたかわからないままその日はダッツも目覚める事無く眠り続ける。
ダッツの能力を考えるとかなりのダメージだったのだろう。
次の日俺達から声をかける。
「マリーン、ダッツおきてるか?」
「お、タツキか? 昨日は悪かったな」
そう言うとダッツの元気な姿を見ることが出来た。
「ダッツ。体は大丈夫か?」
「ああ、ダリアの回復魔法は凄いな。ここまで体が楽になるとは思わなかったよ」
ダッツが自分の体を見ながら話す。
「なあ、何があった? ダッツ程の奴があれだけやられるなんて国ともめたのか?」
「国? はは、近いかも知れない。
聖教ナイトって言う連中だ。ジジイより自分達が優れているとか言っていつも俺達の邪魔をしてきやがる」
「マルベルト ラッセルさんの?」
「ああ、ジジイの他に2人の賢者がいる。だけどジジイに勝てる奴はいない。
魔力、魔法、知識。どれを取ってもあいつらはジジイに勝てる要素が無い。
1人はジジイに師事してるがもう1人が聖教ナイトって言う集団を作りやがった。
あいつらは事あるごとに嫌がらせしに来やがる。ジジイにゃ勝てねぇからな俺達みたいな奴を狙ってきやがるんだよ」
しかし聖教ナイトって言えば聖マリーンナ教会の守護騎士だろう。
聖マリーンナ教会はダッツ達の没後、500年後位に出来たとされる宗教だ。
現在はどの国にも聖マリーンナ教会の教会があり世界最大の教会だ。様々な国の王家や有力貴族達とも深いつながりがある組織。
聖マリーンナ教会は無論、聖女マリーンを神格化させて崇められた事で出来た宗教だ。
魔王がいなくなり安定した時間が長引くと人々はより自分が豊になることを望む。そのせいで様々な国で独立運動が起こる。
元々六つの国しかなかったが現在ではこの大陸に15の国が存在している。そして全ての国に存在してるのが冒険者ギルドとこの聖マリーンナ教会だ。
冒険者ギルドは所謂自由組合だ。冒険者達が自分達の権利を求め全ての国に組織したものだ。
一方、聖マリーンナ教会は、虐げられた歴史がある。どの国も国王よりも偉い存在は不要と出来た当初は全ての国に受け入れる事は無かった、だが、諦める事無く聖マリーンナ教会の教祖は各国を転々としながら布教活動を行った。
その間、教祖を守る為に出来た組織が聖教ナイトだ、この組織が現在まで続いてる。
聖マリーンナ教会の聖教ナイトは、その当時、独立戦争に捲き込まれた者、行き場を失った兵士、難民達が主だ。
苦難から逃れる為に入信した聖マリーンナ教会が迫害されている。それを見て、教会や信者を守る為に活動したのが始まりだと言われている。
聖マリーンナ教会は独立戦争で増えた難民や立場の弱い者を取り込み渦を巻くように勢力を増して行く。
創立から400年たった現在、全ての国に聖マリーンナ教会の分教会が有る。聖マリーンナ教会の本教会は我々が住む国の王都にあり教皇を勤めるのが、天秤座 リプラの勇者だ。
現在の聖マリーンナ教会は聖魔法や回復魔法等を、お布施をもらい人々に行って利益を出している。それもどの国にも属さずにだ。
それが今、俺達の知る聖マリーンナ教会と聖教ナイトだ。
「だけどダッツ、何があった? どんな強敵でもお前なら、逃げ切れるだろう」
「仕方ないだろう。あいつらマリーンを捕らえて俺を呼び出しんだよ」
「そうか」
流石にそう言われると何も言えない。
「ひょっとしてマリーンは騙されたのか?」
ダッツが渋い顔をする。
「あいつは、怪我した子供何かをほっとけないんだよ。
聖教ナイトの連中それを知って、子供達を沢山連れて立て籠りやがった。
マリーンの奴、興奮しまくって子供達を助けに行ってしまったんだよ。仕方ないからそれを助けに行ったんだが、俺がこのざまだ」
「まあダッツ。仲間増やした方が良くないか?
このままだと、ダッツの体が持たないだろう」
「いや、いらねぇ。信用できる奴なんてそうそういねぇよ」
「そうか」
ダッツって結構頑固者だな。
「これからまた、移動するのか?」
「ああ、そのつもりだ。途中で町による予定だよ、色々と買い出ししたり情報を仕入れないとな」
ダッツもタフだな。あれだけ怪我をしてまだ1日しかたっていないのに。
「そうだ、ダッツ。俺達も家を探している。まだ決まりそうに無いから当分はここにいるつもりだ。
何かあったら声をかけてくれ」
「わかった。そう言えば宿荒さられたんだったな、家はゆっくり探せよ。
無理に決めずに気に入る所をみつけんだ」
「わかったよ。しかしダッツは自分の事より俺達やマリーンの事が優先なんだな」
「しかたねぇんだよ。俺、そう言う性格なんだよ」
そう言うと何故かガッツポーズを決める。




