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ご両親とご挨拶

「所でいつまでこの街にいる予定だ?

まだ、次の行き先は決まっていないだろう」


ナルフレットの師匠、ナーズヤットに聞かれる。


「タツキさん。出来ればもう少しこの街にいませんか?

来月ボクの両親が街に来るんです」


「それであれば私からもお願いしたいです。私の親も来ますし」


ナルフレットのカーサレットの両親か、顔だけでも見ておくか。以前あったマダラカス国王とは違う人だろうしな、それとラッパシュとアッパス夫婦にも会えるかも知れない。


「わかったよ。取りあえず次に行きたい場所が決まるまでここにいるよ」


ダリアがふと俺を見てため息をつく。


「なあ、カーサレット。女神の国の鎖国政策はまだ続くのか?」


唐突に師匠のナーズヤットが聞き始めた。


「ハイ、本年度の入国受付は終了してますので、後は早くて2年後ですね」


「カーサ、鎖国ってなに? 私達勝手に女神の国に出入り出来ないの?」


ダリアががっかりしたような声を上げて聞いていた。女神の国の鎖国政策は約200年程前にさかのぼる。

聖母を信仰する女神の国に聖マリーンナ教会が進出した事で、そこで国を二分するような内乱がおこる。


そこで完全に聖マリーンナ教会を追い出した女神の国は、外からの人が入るのを固く禁止したのだ。


それから出る人、入る人を規制。


現在は外部と接触するための出先機関をもうけ、外交や商売、人員の出入り等を厳しく管理している。


特に人の出入りに関しては厳しく、外部からの推薦がないと国内に入る事が許可されない。それだけ厳しく管理されている。


翌日から朝の訓練にナルフレットとカーサレットが加わり、俺との打ち込み練習も始まる事になる。


最初はついて来れずに早々にダウンしていた2人も、1ヶ月程で最後まで持ちこたえる事が出来るまでになっていた。


そしていつもの訓練中に師匠のナーズヤットが走って裏庭に来た。


「お、おい。タツキ大変だ、大変だよ」


「どうした、ナーズヤット。何かモンスターでも出たのか?」


「モンスターの方がましだ。今リンツ辺境伯のラッパシュ殿下と奥様のアッパス殿下が来られている。


鍛冶屋の中でお待ちだ」


「わかったよ。2人も今日は終わりだ」


そういって鍛冶屋に入る。


「ラッパシュ、アッパス婦人。久しぶりだな」


「ああ、タツキ。元気そうだな」


「それでどうしたんだ? 何かトラブルでもおきたのか?」


「大丈夫だよ。タツキとダリアの顔が見たくてな。それと紹介するよ。妻の両親だ」


60前後の夫婦がそこにいる。初めて見る顔だ、やはりマナディア様と一緒にいた国王は影武者だった見たいだ。


「初めまして、タツキ アンダルシアです」


「初めまして、ナルフレットの父親。ハムスダントと言う。


こっちは妻のミラノと言う。ミラノはアッパスの母親だ。今日は訳あってナルフレットの母親は来ていない」


「そうでしたか。ナルフレットと友達のカーサレットも間も無く来ると思います、俺と稽古をしていたので汗を流したら顔を出すでしょう」


「カーサレット? そうですか」


ラパッシュが少し驚いていたが、他の人達は顔色一つ変えずいる。外交的な何かが有るのかも知れない。


「遅くなりました」「お待たせしました」


ナルフレットとカーサレットの声が聞こえる。


「あ、お父様にミラノお母様。


あれ? アッパスお姉様にラパッシュお兄様まで? 今日はどうなされたのですか?」


「「「ナル」」」


ナルフレットがみんなにもみくちゃにされていた。


「ナル、聞きました。物凄く頑張ったって報告を聞いた時はみんな興奮してしまって。


特にミルノラーノお母様何て、興奮し過ぎて倒れてしまった程よ」


アッパス婦人がナルフレットに抱き付いて嬉しそうに報告する。


「これ、アッパス。はしたない」


「駄目です。お父様が何を言ってもナルは渡しません」


「アッパス! ナルはみんな可愛いのよ。独り占めは許しません」


その様子を見るとナルフレットは家族みんなに愛されているのがわかる。


「あの、お父様。


紹介します、こちらがカーサレット。女神の国の出身です。アップルランドのミライザと同じく、私の親友です」


「カーサレットと申します。ナルとはとても仲良くしてもらっています」


「そうか、ありがとうね。


ナルはわがままに育ててしまったから、少し大変だろうけど今後も仲良くしてやっておくれ」


「あ、ありがとうございます。


それにナルはしっかりしてます、私はそんなナルが大好きです」


「ごめんください」


盛り上がりを見せるなかで、一人の聖職者が入ってきた。


「いらっしゃい。何でしょう?」


師匠のナーズヤットが営業スマイルを決め込む。


「こちらに、カーサレットがお邪魔していると伺いやって来ました」


そういって頭を下げるのは50代半ばの聖職者と護衛とおぼしき50代のおじ様だ。その声を聞いて驚いたのはカーサレットのようで、飛び出して抱き付いていた。


「お父様!!」


「ああ、カーサレット。元気そうで良かったよ」


「あ、おじ様」


「おお、ナルじゃないか? 今回は凄いじゃないか!


本当に良く頑張ったね」


「お父様、紹介します。こちらはナルのお父様でハムスダントおじ様」


「初めてお目にかかります。女神の国で枢機卿をしております。


ハッシュドベリーと申します」


「ご丁寧に、私はナルフレットの父、ハムスダント。こっちは妻のミラノです」


お互いに少し緊張感がある。


「お父様。この方が私達が試験の時からお世話になっているタツキさん。奥さんもいるんだけどまだ宿の部屋にいるかな」


「初めまして、タツキ アンダルシアです。妻も間も無くやってくると思います」


ハッシュドベリーが俺に対し深々と頭を下げる。


「貴方のお名前は噂ですが伺ってはおりました。このわがままな子を諦めずに指導してくださったと伺っております。


改めてお礼を申し上げます」


「いいよ、俺達は2人から依頼を受けて行った事だ。


頑張ったのは2人だ。


まあ、あの程度で逃げだす位なら本当にダンジョンに捨てて来ようと真剣に考えだけどな」


「「ブーブー!!」」


ナルフレットとカーサレットから抗議が入る。

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