真実の塔
翌日になり、ユーリシア辺境都市を抜けてマダラカス国のリンツ辺境伯領を目指す事になった。
我々はあくまでラパッシュの従者としては国を抜ける事が出来た、有り難い事に手続きは簡素でほぼ調べられる事は無かった。
馬車で通れる道は限られており、砂漠地帯の中で固い所を通っての移動となる。
「でか!」「全部砂?」「凄い!」
初めて砂漠を見た俺とダリア、レタスの3人が漏らした言葉だ。
「あの奥に見えるのが岩石砂漠と言って岩だらけの場所だよ。
ほとんど生き物がいない場所だ。
あっちの右奥はオアシスと言って飲める水の池がある。
今日の目的地だ」
ラパッシュが指をさして色々と教えてくれる。
「ラパッシュさん、砂漠の池ってしょっぱく無いの?」
「ああ、海とは違うからね。ここの池は湧水だよ、冷たくて美味しいぞ」
ダリアは海の水で懲りたみたいだ。
「オアシスが目的地って言っていたけど、何かあるのか?」
「ああ、宿にお店や酒屋何かもある。このまま馬車で移動すればお昼過ぎには到着出来る」
オアシスに向かい進む。ラパッシュが言うにはこの辺はモンスターもでない、かなり快適な所らしい。
そして昼過ぎにオアシスに到着する。オアシスを中心とした町が出来ていて、農地があり木々が生えて草も生えている。
ここだけ見ているとここが砂漠だと忘れてしまう程だ、オアシスと言うのは凄い物だと本気で思ってしまった。
早めに宿に入り一休みすると皆で観光を始める。オアシスの上に小舟を泳がせている場所やダンスを踊る女性達がいたりと、旅を盛り上げる工夫に溢れている印象を受ける。
飲食店に入り遅めの昼食を取る。
テラスと呼ばれる店の外のテイブル席に座りる。食事は思ったよりも多彩で、このような場所でこれだけの食材をどう手に入れたのかと思わず唸ってしまった。
食事を楽しんでいるとつい余計な事が気になってしまう、少し離れたテイブルに子供と思える見た目の男が一人でいる。
その子供みたいな見た目にたがわず凄い力がある、ダリアも興味を持ったみたいだ。そしてどこかの冒険者だろう男女がその男の持ち物を狙っているのか、チラチラと覗き見しては何かのタイミングを図っていた。
スッと男女の冒険者の前に立つ。
俺が目の前に立った事もあり、驚いて俺をチラチラと見て男が立ち上がる。
「おい、兄ちゃん。
景色が楽しめ無いだろう。どけよ」
「悪い事は言わない、あの男にからむのは止めるべきだ。命がおしかったらな」
男女の冒険者がドキっとしたような顔をして青ざめる、振り返ると若い男が立ち俺を見ていた。
「どうかしたか?
さっきから俺を見ていた気がしたが、勘違いだったか?」
「多分、勘違いだろう」
ダリアが急に警戒し始める、その姿を見た若い男がニヤッと笑ったように思えた。
「若、お迎えに上りました」
突如、俺よりもでかい男がテラスの中に現れた。
身長は2mをゆうに超え、筋骨隆々なその姿は体中には古傷の跡が歴戦の強者だといわしめていた。
子供のような見た目の男を狙っていた男女の冒険者は、その迎えに来た男を見て震えだし動けずにいる。
「若、この御仁は?」
そう言うと俺を見る、若と呼ばれた若い男はただ首を降るだけだ。
「俺達はただの観光客だ」
「そうですか? なら我々はこれで」
すると2人が砂漠に降りると姿を消す。
ラパッシュが何かに気付いたのか少し青ざめた顔をしている。
席に戻りラパッシュを見る。
「タツキ、ダリア。夜部屋に来てくれるか?
大事な話がある」
夜、宿でラパッシュ夫妻の部屋に入る。
「タツキ、ダリアすまない」
ラパッシュと妻のアッパス婦人が凄く顔色が悪い。
「何かあったのか?」
すると手紙を渡される。
「これは?」
「部屋に入ってくつろいでいた時だ。昼に会った長身の男が訪ねてきて、タツキ達に渡して欲しいと言って帰って行った」
「俺達に?」
「おそらくだがあの若い男、鎧竜だろう」
「「鎧竜!?」」
「この砂漠を住みかにしているサンドドラゴンの王だ。
マダラカス国とメルボルス立国で国境線を決めない取り組みをする事になった理由になった一つだ。
あの若い見た目で、すでに千年を生きると言われるエンシェントドラゴンだ」
「どうりで、メルシー アンダルシアとにていると思ったよ」
「そうか…。ウッ!! メ、メルシー アンダルシア?
タツキとダリアは魔王アンダルシアと会ったのか?」
「会ったも何も俺達のアンダルシア性はメルシー アンダルシアからもらったものだ。
そしてメルシー アンダルシアから勇者として正式に認められたよ」
ラパッシュと妻のアッパス婦人があんぐりと口を開け放心状態になっていた。
「どうりで護衛が出てきた訳だ、2人と鎧竜を戦わせないためだったか。
と、それで手紙は何と?」
そう言われ手紙を確認する。
我々が男女の冒険者を止めてくれた事についてのお礼と、真実の塔に来るなら歓迎すると書かれてあった。
「ラパッシュ。真実の塔とは何か分かるか?」
「し、真実の塔!!」
「タツキとダリアは勇者を認定するダンジョンがいくつ有るか知っているか?」
「勇者を認定するダンジョン?」
ダリアを見るとダリアも?を沢山出している。
「俺達は審判の塔の事も知らなかった位だ、そう言う事にはかなり疎い。
ギルド職員から"審判の塔に入ると強くなれる"そう聞いて入った位だ。
ハッキリ言って知識は無い」
「そうか。
正直我々もそこまで詳しくは無い。知ってる限りだが現在3つのダンジョンが勇者を認定している。
その3つが審判の塔、真実の塔、名実の塔。
各々にダンジョンを守る管理者がいて、皆メルシー アンダルシアと変わらない強さを持つと聞いている」
「げ!! あんな強い奴が後2人もいるの? 嫌になる」
ダリアが渋い顔をしている。
「はは。その顔を見るとメルシー アンダルシアと対戦した経験があるんだな。
素晴らしいよ」
ラパッシュが呆れた顔で笑うと、アッパス婦人が代わりに教えてくれる。その姿は少し興奮しているように見える。
「そして真実の塔の管理者が鎧竜。
この砂漠地帯の岩石砂漠に有ると言われるダンジョン管理者よ。
タツキさんとダリアさんはその鎧竜から招待されたんです。
我がマダラカス国では約80年ぶりの出来事です」




