賢者 マルベルト ラッセルの教え2
お昼前にギルドに戻るといきなり冒険者に声をかけられた。
「お前達か? 最近マーチさんが目をかけているって言う生意気な奴らは」
背が高く2mは有ろうかと言う背丈に細身で無駄の無い筋肉。独特の髪型をした奴だ。
「目をかけてもらっていると言うよりは、私とマーチさんの趣味が同じなの。なんか文句有る?」
ダリアが冒険者を下から見上げるように文句を言う。
「趣味って、こいつの事か?」そう言うと俺を指差す。
「ハァ!」
盛大にため息を付くダリア。
「良い、お兄ちゃんは私の。マーチさんは絶体に無い。
それに趣味はパンケーキよ、貴方はパンケーキを知ってるの?」
「ぱ、パンケーキ?」
完全に頭から?マークを4つは出したよなこいつ。
そこにマーチさんが到着する。
「ダリアちゃん。どうしたの?」
冒険者の男が割って入る。
「マーチさん。今、こいつらに聞きました。パンケーキなる物は何ですか?」
マーチさんが面倒臭そうに答える。
「ちょっと、ダリアちゃんは私の親友なの。余計な事はしてないでしょうね?」
冒険者がふるえながら頷く。
「そ、それで、ま、マーチさんはこいつとはどんな関係ですか?」
そう言って俺を指差す。それと同時に言いがかり付けて来た冒険者が、意識を失い倒れた。
絶体に、今マーチさんなにかやったよね?
俺には見えなかったけど何かをやりましたよね?
流石は乙女座 ビルゴの勇者。怖いわ、ほっと怖いわ。
「さ、邪魔なお馬鹿はほっといてパンケーキに集中しましょう」
軽やかに言うマーチさんが、俺は怖くて仕方ない。
この日は人気のパンケーキ店をはしごし続け早4件目のお店に来ている。
ダリアとマーチさんの食欲は衰える所を知らず、更にパワーアップしているように思える。
「マーチさん、この店は私のおすすめ。
何よりフルーツの種類と量が凄いの、後、甘いの苦手な人向けに、紅茶の茶葉を砕いてかけてくれるサービスも有るの」
「ダリアちゃん。最高です」
こんな会話を永遠にしている2人の横でお腹も膨れ完全に飽きてしまっている俺。
そんな俺を見てマーチさんが話しかけて来た。
「タツキさん。今度ギルド主宰の武術大会があるの、出てみる気ない?」
「武術大会? 何をやるんですか?」
「基本的に木剣や木槍で対戦して優勝者を決める大会なの。
参加出来るは冒険者のみ。兼業と言われる人は出れない、つまり専業冒険者達の大会。
個人戦とチーム戦が有るんだけど、チームは5人必要なのね。
だから、個人戦で出てみないかなと思ったの」
「良いんじゃない。お兄ちゃん、100人兵長になる試験の時以来じゃない。そう言う大会出るの」
ダリアが何気なく言う。
「え、兵士もそう言う大会があるの?」
「100人兵長になる時と千人兵長になる時は、それぞれの候補生と対戦します。
そこで優秀な成績を納めないと兵長となることがが出来ないんです」
「なる程ね、納得。あれだけ強いのはそう言う事も有るのね」
何故かマーチさんが自己完結する。
「マーチさん。私もノミネートする」
ダリアが珍しく自分から出ると行ってきた。普段は飯の事と夜に俺のベットに潜り込んで寝る事以外で自分の意見を言うのは珍しい。
「そうね、ダリアちゃんも良いかも。でも、大会自体が後3ヶ月後だから、これから私が2人をビシバシと鍛えてあげます」
「ヒィ」
思わずのけ反ってしまう。
そんな俺を見てジト目をするマーチさんが、何かを思い出したかのようにうなだれた。
「あ~! 駄目だった。
私、今回の審査委員だった。中立でないと行けなかったわ、ハァ」
そう言うとガックリと肩を落としため息をつく。
翌日はダンジョンに向かわずに外の森に来ていた。マルベルト ラッセルが言ったスラッシュは剣に纏える、魔法も剣に纏える。それをトレーニングするためだ。
浅い場所からスライムで練習を始める事にした。
スラッシュを剣に纏う。
そうイメージした後にスライムを斬るが、まるで素振りをしている感覚に成ってしまう。
「お兄ちゃん、出来た?」
「ああ、多分出来た。何か凄ぞ。斬った感覚すらなかった」
「私もやってみる」
ダリアが剣に氷魔法を纏わせると、ダリア自身の表面付近も凍り始めた、キラキラとした氷の粒が舞っている。
静かに構えるダリアの前をゴブリンが通る、その姿はダリア自体を認識していない。そう確信した。
ダリアの存在に気付いていないゴブリンに対しダリアが剣を振る。
ヒュン!! 軽く軽快な音が聞こえた。
おそらくだが、斬られたゴブリンは何が起きたかわからなかったのだろう。体半分を凍結させながら倒れた。
「本当だ。斬った感覚がない」
「それより、ゴブリンを見てみな」
俺がそう言うとダリアがゴブリンを確認する。
「おわぁ! 凍ってる? へ、なんで?」
「良くわからないけど、これ魔法剣術って言われる特殊技術だと思うよ」
「これが! どうしよう。私達とんでもない人と知り合ったね」
「うん。やっぱり人には黙っておこう」
「うん、でも何時までも黙ってるのは無理かも知れない」
「仕方ないよ。でも俺達が自分で自分を守れるようになるまでは絶体に駄目だ。そこは約束だよ」
そう言うと更に奥に進む。
レットウルフの群れを発見、レットウルフは完全に見た目どうりの名前で、本当に真っ赤な狼のモンスターだ。
ウルフ系のモンスターはレットウルフ。ブラックウルフ。シルバーウルフと強さが上がっていく。
シルバーウルフの上には伝説のモンスター。フェンリルと呼ばれるモンスターもいるらしい。
それはさておき、レットウルフの群れに近づく。ダリアが静かに剣に氷魔法を纏わせると、スラッシュの要領でレットウルフに向かい放つ。
群れの奥にいた、3匹のレットウルフが立ったままの形で凍結して倒された。
残りのレットウルフは何が起きたかわからずにキョロキョロとしている。そこに1人で突っ込み、もたついているレットウルフを斬る。
スラッシュを剣に纏わせていると剣が当たった瞬間にレットウルフの体が切れているように見えた。
5匹の群れだったが一瞬の内にレットウルフを討伐した。
通常はレットウルフ2匹に対しDランクなら、5人は必要と言われるモンスター。それをDランクになりたての2人があっという間に倒してしまった。
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