ココの状況調査
「お帰りなさい、ミッくん!」
「ただいま、ココ。今日は少し遅くなっちゃたな。もうご飯は食べたの?」
「うん、もうママと先に食べちゃった。今日はココの好きなえびフライだったんだー」
「お兄ちゃんもお腹空いたな。あ、そうだ!」
ミチルはポケットからミアから預かった濃濃夜 への手紙を出した。
「これ、ミアから預かったやつ。ココのもちゃんと渡したよ」
「‥‥‥え? あ、は~い、ミッくん、どうもありがとう。嬉しいな! やっーとミアちゃんからお返事貰えたんだもん」
「お兄ちゃん、手を洗って着替えて来るよ。母さんに言っといて」
「りょうか~い!」
ーーー聞いたよ! 今、ミッ君、ミアちゃんのこと "ミア" って呼び捨てにしたよ? これって‥‥‥!
ミアちゃんがココの本当のお姉ちゃんになる日が近づいて来たってことじゃない?
濃濃夜は母親にミチルの帰宅を知らせると2階の自室に上がり、宿題をしながら作戦を練った。
終えると階段をそっと降り、ミチルの様子を窺った。
ーーーミッくんは夜ご飯を食べた後、お風呂に入ってる。
鼻歌が聴こえて来るよ。これはミッくんがご機嫌な時なんだ。何か良いことあったのかな? うふふ。やっぱ、ミアちゃんのこと?
よーし、作戦開始!
濃濃夜はバスルームの扉の前から、入浴中のミチルに声をかけた。
「ミッくん、すこーし聞いてもいいかなぁー?」
「どうしたの? こんなとこまで来て。あと15分くらいで出るよ」
ミチルのくぐもった声が返って来た。
「うん、思い立ったらちょっと気になって‥‥‥。今すぐ知りたいんだ。いい?」
「‥‥‥わかったよ。言っていいよ」
「じゃあ聞くね? ミッくんとミアちゃんはどこまで行ってるの?」
「えっ?!」
「ねぇ、どこまでなの? ココ、今すぐ知りたいよ!」
「なっ、なにを言ってるの! ココは小学生だろ! そんなこと聞かなくたっていいの!」
「小学生だとか関係無いもん! 早すぎなんて思わないよ? ココだってこの先のこと考えなきゃだし! 事によってはココの将来に影響することになるんだよ?」
「そっ、そんなことまで考えてるのっ? それはどうなるかわかんないけど、僕たちはどこまでも行っていないよ! ただの友だちなんだから。なに考えてんの!」
ーーーなーんだ。つまんないの。ダメダメじゃん、ミッくん。
「何って‥‥‥? ミッくんこそ何を言ってるの? ココは大好きなミアちゃんとミッくんの行ってる落花生高校を目指そうと思うんだ。だから場所を聞いたんだよ? 何線の何て駅まで行ってるの?」
「‥‥‥おふろから出たら路線図を見ながら教えるよ。ココ」
ーーーこれじゃますます放っておけないね。私のお兄ちゃん。
私はね、ミアちゃんとのお手紙交換で、ミアちゃんにミッくんのスゴイところを教えてあげてるんだ。
例えばね‥‥‥
私は腕立て伏せは3回しか出来ないけど、ミッくんは倍の6回も出来ることとか、腹筋だって私は最高10回だけど、ミッくんは15回は行けることとか。
あと、ミッくんは針の時計の時間だって読めるってことも。
それにミッくんはバレンタインデーには毎年チョコを何個も貰ってる人気者なんだよ。
ほぼ男子からだけど。
ミアちゃんから貰ったチョコ以外は開けもしないで全部ココにくれる優しいお兄ちゃんなんだ。
今年のでは、靴箱に知らない間に入ってたっていう高級チョコレートが最高においしかった。中にカードが入ってて、名前が書いてあった。でもココ、カードは捨てちゃった。また来年もくれるといいな。亜月って人。
さーて、さっそくミアちゃんに次のお手紙を書こうっと♪
ミッくんを称賛すること、他に何を書けばいいかな?
大丈夫だよ。お任せあれ! 陰ながらココが二人の仲をアドミニストレーションしてあげるから。
あ~んっ、こーんなにお兄ちゃん思いの賢くて 可愛くて 優しい妹がいるなんて、ミッくんってすっごいウルトラエクストリームリィラッキーな人だよねっ♫
第一章 城跡に立つ高校 終わり
続きの物語は別タイトルで投稿しました。内容はかなり変わりますが繋がっていますのでよかったら来て頂けたらうれしいです。
この物語もまだ続きます。
『金の鱗と不老の姫』
冒頭は時代劇風☆
賽の河原は通常ルートを外れると、もののけたちが蠢く危険地帯だった。
姉の蓮津姫のために金の鱗を手に入れようと井戸に飛び込んだ那津姫は黄金の鯉に丸飲みされて霊界に連れて行かれてしまった。魂が喰われれば輪廻転生叶わす無に帰すと知った那津姫。霊界生物に翻弄される那津の運命は‥‥