7-5話 年末年始
終業式が終わり、拓海の高校も冬休みを迎えた。日菜菊は拓海の家で1日過ごした後に成戸家の方に帰っていった。
拓海と莉子は、冬休みにルビーのアンティークショップに顔を出したりしつつ、大晦日はダラダラと過ごした。こたつに入ってみかんを食べるという、日本独特の過ごし方だ。
「こう寒いとこたつから出られないよね」
「ホントだよな」
そんなことを言いながら、二人は漫画を読んでいた。年末は拓海の親も莉子の親も家にいるため、恋人の営みはイヴ以来チャンスが無かったが、こたつの中で脚と脚を絡めてイチャイチャするぐらいはしていた。
そして大晦日は過ぎ、年始は怪異研究会の面々で初日の出と初詣をすることになっているので、早めに解散して床についた。
元旦となり、拓海は目覚まし時計の音で目覚めた。身支度をし、莉子と一緒に初詣をする予定の神社に向かった。
「うへぇ、混んでるなぁ」
神社には既に多くの人がいた。はぐれたりしないよう、拓海と莉子は繋いでいた手を放し、腕を組み合った。そのまま集合場所を訪れると、浩太とクラリスとキマロが既にいる。互いに『明けましておめでとう』を言い合い、しばし談笑していると日菜菊が到着した。
「お、あそこで甘酒を配ってるな」
「貰って来ようか」
拓海と浩太が全員分の甘酒一杯を取りに行く。戻ると、浩太はクラリスとキマロに甘酒が何なのかを説明した。
しばし全員で談笑し、甘酒を飲み終えると、初詣に向かった。賽銭を投げ込み、お参りをする。クラリスもキマロも事前にお参りのやり方を学んできたらしく、その動作はサマになっていた。
「でも、キマロって竜神族なんだろ?」
「そうね、地球の神社でお祈りなんかしていいの?」
「勇者と魔王の物語で見たじゃろ? 竜神族という名前は与えられていても、神というわけではないぞ」
「あ、そっか」
「なるほど」
会話の後、次におみくじスポットに移動した。
「えええ、私も『俺』も大凶!?」
日菜菊が悲鳴を上げた。
「ドンマイ、ヒナタ!」
莉子が拓海と日菜菊の背中をポンポンと叩いた。なお、莉子は中吉だった。拓海と日菜菊はしぶしぶおみくじを結びに行った。
「お、クラリスとキマロ、大吉じゃないか!」
「ふふん、竜神族であるワシにはピッタリのランクじゃの!」
「一番良い奴だよね? この場合は持ち帰るんだっけ?」
「ああ、一般的にはそうだな。ヒナタ・コンビみたいに悪いのが出たら結んで帰るってのもよくやること」
「ふーん」
クラリスはおみくじの内容を読んでいた。拓海も見せてもらうと、運命を変える出来事が起こる、というようなことが書いてあった。
「もう既に凄い運命に導かれてる気がするけどね……」
「コウタはどうだったんじゃ?」
「中吉。莉子ちゃんと一緒。上から3つ目の奴だな」
こう話しているのはクラリスとキマロと浩太だ。
そして日の出の時刻となり、辺りは歓声に包まれた。地平線から登る眩しい光が、新しい1年の始まりを祝福していた。
拓海たちは近くの人にスマホを渡し、集合写真を撮ってもらった。早速メッセージアプリの全員のグループにアップロードする。みんな良い顔をしていると拓海は思った。
「新年か。すぐ俺たちも2年生だな」
「だね。良い1年になると良いね……」
拓海と莉子はそう言い合った。
◇
年始の風物詩である駅伝の中継を見たり、餅を食べたりしているとあっという間に冬休みは終わり、3学期が始まった。拓海と莉子はいつものように一緒に登校し、1年2組の教室でクラスメイトと年始の挨拶をし合った。
始業式の後に授業はない。しかし、担任の剣持から大事な連絡事項があった。
「3学期は始まったばかりですが、週末は早速スキー教室があるので、参加する者にはこの後資料を渡します。……と言ってもこのクラスは全員参加だな」
剣持はプリントを配った。
「任意参加とはいえ、この学校じゃね……」
「みんな参加するよねぇ」
「イベント好きばっかだもんな」
クラスメイトたちが言った。連帯感の強まっている2組だけでなく、他のクラスも参加する生徒は多かった。
◇
週末になり、拓海たちは学校に集合し、バスでスキー教室に出かけていった。




