E-3話 続く日々
1学期の学年末試験が終わり、夏の暑さも本格的になって来ているその日、拓海は2年2組の教室にいた。莉子も日菜菊も浩太もいる。
担任の剣持によるホームルームの時間が終わると、クラス委員長の愛佳が前に出た。
「さて、みんなも知っている通り、村岡くんが全国大会に出場します」
陸上部の村岡がインターハイの出場権を獲得。そのニュースが飛び込んで来たのはまだ試験期間も始まっていなかった時期だった。
「応援行きたい人ーーーー!?」
「「「はーーーい!!」」」
イベンター愛佳による煽りが炸裂し、クラスメイトたちが答えた。
またクラスの旅をまとめないといけなくなりそうな剣持は頭を抱え、柚希がその肩をポンポンと叩いている。村岡は『マジかよ』等と呟き、応援に行こうとしているクラスメイトに驚いた顔をしていたが、満更でもないようだと拓海は思った。
また、バスケ部の飛山は、村岡の応援に加えて、全国大会を見てみたいという別の闘志を感じさせる発言をしている。
「俺らも当然行くよな、幼馴染ズ!」
浩太が拓海と莉子と日菜菊に声をかけてくる。
「異論なし!」
「クラスメイトの全国大会を応援とか、ワクワクするね!」
拓海と莉子が答えた。
「怪異絡みの何かも起こるかもしれないしね」
日菜菊も声を上げる。かくして、怪異研究会の面々も村岡応援ツアーに参加することになった。
◇
村岡応援ツアーの前々日。
怪異研究会のメンバーは、早めに現地入りした。怪異研究会の活動も行うためだ。
「で、この街には化け狸が出没する、と」
「うん。人間にイタズラするんだって」
拓海と莉子が街の地図を見ながら話し合っている。
「さっそく調査するだろ? どこから回る?」
「事件の起こったポイントを順に回るのが良いかな」
浩太と日菜菊が言った。
浩太は怪異研究会の活動に熱心に取り組んでいた。活動を続けるうちに、異世界ゾダールハイムに再び行く方法が見つかるかもしれないという期待もあるのだろうと拓海は思っている。
「浩太、熱心だよな」
「うん。クラリスとキマロにも見せてあげたいよ」
拓海と莉子は、浩太の様子を見ながら呟く。
「クラリスたちに見せたいと言うなら、あっちもだよね」
日菜菊が指差した先にいるのは後輩の男子生徒と女子生徒だ。忘れ物をしたということで、二人でホテルに戻り、もう一度出てきたところだった。
「す、すいません先輩!」
「ったく、ドジだな!」
「ご、ごめん!」
女子生徒の方はあたふたと平謝りで、男子生徒の方がそれに文句を言っている。
「ふふ、確かに、この子たちもクラリスとキマロに会わせたいよね」
「ああ。そのためにも、異世界に行く手がかり、探さないとな」
「うん!」
莉子と拓海はそう言い、笑い合った。この空の下では繋がっていないかもしれないが、遠い遠いところにいる友人たちを思って。
「「さあ、行くよ」」
拓海と日菜菊の揃った声を合図に、全員が歩き始めた。
怪異研究会の活動は続いていく。
完




