表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪異研究会の事件ファイル  作者: シマフジ英
エピローグ
106/108

E-1話  新入部員勧誘

 拓海(たくみ)は、怪異研究会の資料室にいた。莉子(りこ)()()(ぎく)と顧問の剣持(けんもち)もいる。


「しまったなぁ……」

「肝心なこと、忘れてたよね……」

 拓海と莉子はため息をついた。


 邪神竜の大事件や、クラリスとキマロとのお別れのこともあって、誰もが新入部員勧誘のことを忘れていた。1年生が入学してまだ少ししか経っていないが、争奪戦はもう始まっている。既に入部する部活を決めた新入生も多いはずだと拓海は思った。


「す、すまない。僕もすっかり忘れていたよ……」

「先生、去年はあんなに必死だったのに」

 日菜菊が剣持を茶化す。柚希(ゆずき)が救われた以上、今年の剣持にそこまでのモチベーションは無かったのだろうと拓海は思った。


「もう放課後だもんね。今日は準備をして、明日の朝から勧誘開始かなぁ」

「そうだな。配るチラシも作らないとな」

 莉子と拓海が呟く。


「だけど、うちの部って結構ガチに怪異と絡むよね? どんな生徒が良いんだろ?」

「そうだね。特に、君たちは怪異を引き当てる宿命にあるようだし」

 日菜菊と剣持が言った。


「そもそも、私以外みんな怪異じゃないですか、この中!」

 莉子が剣持に言った。


「「あ、そうだ! 忘れてた」」

 さらに拓海と日菜菊が声を揃える。


「でも、私たちが怪異を引き当てるっていうんなら、新入生にも混じっているかもしれませんね」

「え! いや、まさか……」

「あり得るのかもな……。そういう生徒がいたら直接声をかけてみても良いかもしれないな」

 莉子、拓海、剣持が順に言った。


 怪異を見破る魔具は拓海たちもいくつか持っていたが、他の魔具も探そうという話になり、ルビーのアンティークショップに移動した。


「なるほど、通常の勧誘以外に直接怪異の後輩を探す、と。相変わらず面白いことを考えるわね」

 ルビーはケラケラと笑いながら、怪異を判別するための魔具の候補をいくつか出してくれた。


「チラシを配って勧誘する組と、魔具で怪異の後輩を探す組に分かれないとね」

「そうだな」

「剣持先生にも手伝ってもらうとして、浩太(こうた)も含めて組分けだね。どうしよう」

「浩太くん?」

 ルビーが首を(かし)げた。


「浩太は、怪異研究会に正式入部したんですよ」

「あら、そうだったのね」

 拓海の説明にルビーが答えた。


「クラリスと、約束したんだそうです。お互いの世界に行く方法を探すって」

「なるほどね」

 日菜菊が言うと、ルビーは手を顎に当てた。


「まあ、存分に悩んで足掻くと良いんじゃないかしら。青少年の特権よ」

「あのコウちゃんが足掻く、ですか」

「俺からすると浩太は恋愛強者って奴ですから。こんなことになるとは」

「だからこそ、大きな壁にぶち当たったのかもしれないわね」

 ルビーは店に飾ってある小さな写真を見た。そこには拓海たちも含め、浩太とクラリスとキマロが笑顔で映っている。


「心配ないわ。もしあの二人が真実の愛に導かれているのなら、必ず再会できるわよ」

「ロマンチックですね。そういうものでしょうか?」

「そういうものよ。保証するわ」

 拓海はルビーの言葉に少し救われる想いだった。きっと浩太とクラリスが再会できれば良いと、そう思った。


「まあ、あんまりコウちゃんとクラリスのことばかり言ってると、キマロが怒るかも」

「そうだな、ワシを無視するでない、とか言ってね」

 莉子と拓海が言い、全員で笑いあった。


 拓海たちはしばらく店にとどまり、チラシのデザイン案を考えた。夜になる前には完成させ、剣持にデジタルデータを送った。印刷は朝までに剣持がしてくれるということになった。


 拓海たちはルビーから魔具を手渡されると、翌日の新入生勧誘に備えて帰宅することにした。


「じゃあね、皆。今年度の怪異研究会の活動にも期待しているわ」

「はい、さよならルビーさん」

「「また来ます」」

 拓海たちはルビーに挨拶をしてアンティークショップを後にする。


 駅に着くと、日菜菊は別ホームから寮に戻っていった。拓海と莉子は電車で最寄り駅まで移動し、手を繋いで家までを歩く。


 家までたどり着くと、いつものように二人は拓海の部屋に向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ