130限目 誰にも渡さない
レイラはいつものように姿勢を正して歩いていたが気持ちはどんよりとしていた。その場に突っ伏して不貞寝をしたい気分であったが我慢して車まで行った。
車に乗り窓の外を見ると、歩いている人が楽しそうに見えた。自分だけが、世界に取り残させたように感じた。
運転手の敏則が声を掛けてくれたが自分に余裕がなく適当に返し車を降りた。凪が出迎えてくれたが、彼女にも適当に返事をして自室入った。
部屋に入ると、制服全てを脱ぎ捨て下着のままベッドに倒れた。
ふかふかのベッドが気持ち良かった。次第に睡魔が襲ってきて意識が朦朧とし始めた時、返事の扉を叩く音がした。
ふわふわとした意識の中、返事をした。
「しつれ……、レイラさん」
悲鳴のような声が聞こえたかと思うと自分の方に誰かが駆け寄ってきた。
「レイラさん。レイラさん。大丈夫ですか?」
「まゆ……?」
まゆらが心配そうな顔して覗き込んでいるような気がした。
(まゆタソ? なんで? あー夢かぁ)
「えっと、誰かよんできます」
(俺の夢なら、どこか行くなよ)
慌てて、立ち上がろうとするまゆらの服をレイラがつかんだ。まゆらは驚いたようだが、にこりと笑い服を掴むレイラの手に触れた。
「そんな格好してると襲っちゃいますよ」
(襲う? 俺の身体でいいのか。なら)
「いいよ」
「本当ですか? いいですか? 私の事好きなんですか?」
しつこく聞いてくるまゆらにレイラは全部頷いて意識が遠くなるのを感じた。
「ーッ」
しばらくして、口に何か柔らかいものがあたった。それが強く押し付けられて口が開かなかった。
言葉も出ず、慌てて目を開けると目の前まゆらの顔があった。
(え? まゆタソが俺にキス?)
あまりの出来事に驚いて、身体起こそうとしたが動かなかった。自分よりも小さいまゆらに抑えつけられてビクともしなかった。
「なに……? まゆらさん」
まゆらは、レイラの上でにこり笑った。
「意識戻ったですか。良かった、愛する者の口づけで目を覚ますなんてロマンチックですね」
「愛する……? 誰が?」
「レイラ様が私をに決まっているじゃないですか? 好きって頷いてくれしたよね?」
レイラは頷いたことを思い出せなかった。
「それとも、嘘なのですか? 私を騙したのですか?」
笑顔が一気に鬼の顔になった。その姿にゾクリとしが同時に喜びも感じた。
「嘘じゃないですわ。私が欲しいならあげますわ」
レイラは全身の力を抜いて、微笑んだ。すると、彼女は高揚し顔を真っ赤に染めた。
「ふふふ。もう、誰にも渡しませんよ」
そう言うと、まゆらはレイラに深い口づけをした。
(思ってたんと逆だしなんでこうなったかわかんないけど。結果、まゆタソと居られるみたいだしいいか)
レイラは家とか学校とか世間体とかそう言った事を全て考えるのをやめて、まゆらに酔いしれることにした。
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機会があれば、憲貞と貴也の小学校時代(出会い)とか中村幸弘の桜花会会長時代の話とか書きたいと思っています。




