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125/130

125限目 書類の作成者

 本日は授業がないが、まゆらは登校し生徒会室へ向かっていた。

 生徒会は事務作業が多く、運動部よりも忙しい。その分、報酬がでているのでまゆらは仕事と割り切っていた。


 生徒会室前に着くと学生証をカードリーダーにかざして機械音が鳴るのを確認してから扉を開けた。


「おはようございます」

「おはよう。河野さん」


 誰に言うともなく、挨拶をしながら部屋はいると彩香が返事を返してきた。

 レイラの近くにいる彩香がまゆらは好きではなかったがニコリと笑顔を見せた。


「河野さん、これお願いできる?」


 来てすぐに仕事を頼まれるのも好きではなかったが、そんな姿は微塵も見せず笑顔で返事をすると鞄を置きすぐに彩香の側に言った。


 彩香のパソコン画面を見ると、頷き「失礼します」と言って彼女のパソコンを自分の方に向けるとカタカタとキーボードを打ち始めた。


 その時、機械音がなり扉が開いた。


「おはようございます」


 入ってきたのは生徒会書記の安本隼人やすもと はやとだ。彼の前髪は相変わらず長く更にマスクをしているので顔が見えない。


 彩香とまゆらは隼人と挨拶を返すと彼は頷いた。


「中村と河野しかいないのか」

「そうですね」


 まゆらが言うと、彼はフンと呆れたような声を出してまゆらたちの方に近づいた。


「僕は去年、生徒会の仕事以外会長が部屋をでるのを見たのは最後日だけだった。しかし、今の会長は生徒会ここに滞在していない姿をよく見る」

「あはは、何言ってるんですか。江本会長とあんなのを比べちゃダメですよ」


 彩香はケラケラと笑うと、隼人は鼻をならしながらまゆらが作業しているパソコンを覗き込んだ。


「あ~、ふーん。いいね」


 隼人の顔は見えないが、嬉しそうな声を出した。そして、鞄からメモリーカードを出すとそれを渡した。


「これもよろしく」

「これは何でしょうか?」


 まゆらはメモリーカードを受け取りながら、隼人の方を見た。彩香は何か気づいたように頷いている。


「今日、横山大晴よこやま たいせい様の桜花会権利停止が解除された。今後の生徒会としての対応だ」

「はい」


 レイラが受けったメモリーカードを見ていると、彩香が自分のパソコンを使っていいと言ったので差し込んだ。


「……?」


 まゆらは隼人の指示通りのデータを見て首を傾げた。


「これ、どなたが作ったものです?」

「会長だ」


 まゆらはその文章じっとみた。まゆらは生徒会長である緒方一おかだ はじめの報告書を思い出した。どの報告書の文章も現在見ているもの似て非なるものとも言えない。あきらかに違うのだ。


 しかし、まゆらはこの文章の書き方や物事の進め方に見覚えがあった。

 彼女は、メモリーカードの中にある過去の物を確認しだした。


「え、それは、なにを?」


 隼人は驚いて声があげた。


「他のファイル見てはいけませんか?」

「いえ、そんな事はないが今回の件に関係ないものばかりだ。理由を聞かせてほしい」

「これなんですが」


 まゆらは、先ほど隼人に確認するように指示された書類を画面に映し出して指さした。


「緒方会長が作ったとは思えないですよね」


 その言葉に隼人と彩香は顔を見合わせた。まゆらはそんな彼らの行動を気にせずに困った顔をしながら話始めた。


「入学式と桜花会権利停止の報告書はこの書類と似ているのですが、それ以外の書類は違うんですよね。全て緒方会長が作ったとは思えないです。ですので、過去の書類を確認しようと思ったんです」

「素晴らしい」


 隼人はマスクの上からでも分かるほどの笑顔を見せた。


「では、その下の……。そう、それを開いて」 


 まゆらは、隼人の指示通りにカーソルを動かした。


「豊川亜理紗様、特待Aの権限廃止ですか」

「うん。それが一番面白い」

「……はい」


 まゆらが言われたものを開くと読み始めた。

 それを隼人はニヤニヤと楽しげな笑いを浮かべていたが、彩香は面白くなさそうに見ていた。


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