121限目 レイラの功績
しばらくすると機械音がして扉が開いた。扉を開けた圭吾からそれを引き継ぎ、真人は扉を抑えながら頭を下げた。それにならって大晴と春も頭を下げる。
圭吾は一歩扉から出ると、レイラ、亜理紗が前に進むのを待った。そして、彼女らの後に続くと、それにリョウと続いた。
桜花会役員がテーブルに着くと、その前に真人と大晴、春が立った。
レイラは背筋を伸ばして、大晴と春の方をじっと見ると、2人は重圧を感じ、緊張していた。
「話は全て聞いていましたわ」
大晴と春はレイラの“聞いていた”という言葉に引っかかったが特に口出さなかった。
「解決したようですので、1ヶ月後の審査はなく桜花会に戻ってきてもいいですわ。以後気をつけてください」
そう言うとレイラは立ち上がり、後のことを圭吾に頼み、扉に向かった。すると、亜理紗とリョウが追ってきた。
室内にはいるとすぐに亜理紗がレイラに質問した。
「レイラ様、二階堂春が言ってた騒動って? レイラ様が初等部の桜花会にいた年度よね」
「そうですね」
レイラは面倒くさいが、亜理紗はワクワクしているようであったため口を開いた。
「あの2人が桜花会に入っていたころの桜花会の人たち、現在の3年桜花会がいないのはそれが原因なんですわ。桜華はいじめや差別を許しませんの。だから、二階堂さんにズボンを強要した教師はクビになっていますわ。そういうこと」
レイラがフワッとしか話さないので、更に聞こうとしたがリョウに止められたので亜理紗は素直に引き下がった。
「そうですわ。お兄様、北沼先輩と横山君の電車賃、今回の報告書と一緒に提出しなくてはならないからよろしくお願いしますわ」
「はい」
「lCカードの回収も忘れずにお願いしますわ」
「はい」
「それでは、私は戻りますわ」
リョウは返事をすると、レイラは振り返ることなく教室へ向かい午後の授業を受けた。
授業が終わりレイラが片付けていると、レイラ付きの特待Aである夢乃が楽しそうに「レイラ様」と話しかけたきた。レイラが振り返ると机から身を乗り出して、目を輝かせていた。
「大晴様を黒服に落としたって本当ですの?」
「ええ。でも一ヶ月ですわよ」
「それでも、前代未聞だと今日の朝の特待会議では話題になっていましたわ」
「過去に桜花会を退会になった人はいますわ」
レイラが鞄に教科書を入れて帰宅の準備をしながら夢乃の言葉に返事をした。
「一時的とは言え、黒服に落としてされてよく学校に来れますね」
「そうですわよね」
藤子の言葉に、夢乃は同意した。すると、彩花は鼻で笑った。
「どうせ、レイラ様のことだからそうならないように仕掛けがあるんですよね」
「どうかしら」
「そう言って、毎回裏で動いているんですよね」
「毎回……?」
レイラは、片付けの手を止めて口に元に手を当てて考えたこんだ。
(なんだ? 横山の坊やの件は準備が必要だったがアレほど大掛かりなことは他でしてねぇよ)
「本当に、あの時は驚いたんですからね」
「そうですわ」
夢乃と藤子は眉を下げながら言った。
「あの時?」
「レイラ様の特待を外れるなんて、今考えただけでも心臓がとまりそうですわ」
夢乃が大げさに胸を抑えた。
「でも、あれは亜理紗様の特待Aをはずすための方言だったのですわよね」
藤子がにこやかに言うと、夢乃も笑った。
(あれかぁ、本気だっただけどな。まぁ、2人とも機嫌いいからこれ以上蒸し返すのはやめておこう)
すると、眉を下げた彩花が側にきて、ちいさな声で「彼を駅に招いたことは感謝しているからいいですけどね」と言ってから挨拶をして教室をでた。
(なんだ? 彼って? 駅に招いたってなんだの話だよ。誰かと間違えているのな。まぁーいいかぁ)
レイラは訳が分からなかったが、思い当たらないため考えるのをやめた。
「さっき、中村さんと何を話したのですか?」
「え?」
「大晴様のことですか? 彼の行いを罰するだけでなく彼自身が反省するように仕向けたんですよね」
彩花は小さな声で言ったことが気になったよう夢乃と藤子は聞いていた。正直に話と彩花の過去に触れてしまうためレイラは彼女たちの話に頷いた。
「それは、そうですわね」
「今回は何もお手伝いできませんでしたが、次回はよろしくお願いします」
「私たちを使ってください」
夢乃と藤子は、必死であった。
(あー、特待外すってのが聞いているのかなぁ。待遇変更しないっていったのになぁ)
「私は2年で会長になりましたので、ご苦労かけると思いますがよろしくお願いします」
「はい」
夢乃と藤子は声を揃えて、嬉しそうに返事をした。そんな二人に礼を言うと、桜花会室に向かった。




