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115/130

115限目 罰を受けた理由の偽造

 真人は大晴の手を引いた掴んだまま、階段を下りて改札をでた。

 そして、タブレットを出し大晴の家を確認していると、大晴が不思議な顔して彼が操作するタブレットを覗き込んだ。


「なんで、俺の家を知っているんですか?」

「会長に聞いた」

「え? 会長はこの事を知っているんですか?」

「あぁ、黒服に着替えるときに伝えた。そしたら、当分黒服でいいって言われた」

「当分……?」


 大晴がめをパチクリしていると、真人は「こっちか」と言ってタブレットを鞄にしまうと大晴の手を引き、道路を進み始めた。


「ちょっと待って下さいって」

「あ?」


 大晴は足を止めて、真人の事を引っ張った。しかし、体格差があることから大晴は数センチ引きずられてからとまった。


「真人様が黒服なのって今日だけではないですか? 俺を送るためですよね」

「違う」


 一言答えると、進もうとするため大晴が「答えになってません」と必死にとめるがズルズルと引きずられた。


「なんだ? もう昼過ぎた。腹減っているだろ。だからお前を家に、はやく送りたい」

「……俺のお腹の心配? ……分かりました。歩きながらでいいので答えてください」

「あぁ」


 大晴が歩き始めると、真人は手を離した。今度は学校から駅に行くときの様に早歩きではなく、大晴の歩幅に合わせた。


「あれ? ここはゆっくり歩くんですね」

「あぁ、ここなら桜華学生に会わないだろ」


 無表情であるが、真人から暖かい物を感じた。今まで目に見える優しさや露骨な持ち上げしか知らなかった大晴には新鮮であった。


「……って、聞きたかったのはそれではなくて、黒服を着るのが当分って話です」

「そのまんまの意味」

「意味わからないですよ。黒服着てどうするんですか?」

「蛙と登下校する」

「へ?」

「蛙は明日から学校来る気ない。だから迎えにいく」


 図星だった。プライドの高い大晴は黒服で学校へ行く気などなかった。自分を溺愛する母と姉に頼んで学校に抗議をしてもらうかそれでもダメなら引きこもるつもりでいた。

 大晴は大きく首を振り、その場に立ち止まった。


「いやいや、黒服こんなかっこで学校いくなんて嫌ですよ。特待や友だちになんていえばいいか……」


 最後の方は声が小さくなり、下を向いて動かなくなった。

 真人は頭を掻きながらゆっくりと大晴に近づいた。彼が近づくと、身長差がありすぎるため大晴は首を真上に近いくらい上げないと彼の顔が見えなかった。


「あ~、言い訳は会長に逆らったとする。特待には一か月桜花会の停止しか情報流れていない。理由は知らせず結果のみ通知」

「逆らう……?」

「“俺は権力には屈しない。間違ったと思うことははっきりいう”そういうキャラクター」

「なんです。それ」


 大晴は笑いながら、真人の顔を見た。


「“意見を言って黒服にされたが、俺は負けない”」

「なにそれ、なにそれ、カッコいい。ヒーローじゃないですか」

「“俺は蛙に感化された、お前の意見に賛同したから自ら黒服をきてる”」

「なにそれ、真人様って俺の部下ってこと?」


 ニヤニヤ笑いが止まらない大晴に「部下じゃない」と言ったが彼の耳に入っていなかったようだ。


「じゃ、真人様じゃなくてマー君って呼びましょうか」

「調子にのると今度は本当に桜花会から追い出される」


 真人の真剣な顔に“チィ”っとしたうちをしたあと素直に返事をした。


「あれ? 俺この辺知ってる」

「もうすぐ家だ」

「そーなんだ。いつも車だから家の周りしか知らなかったんですよ」

「学べたな。俺は帰る。明日来る」


 真人はクルリと反対方向を向くと、先ほど歩いていた速度の倍くらいの速さで歩きあっという間に真人の姿は見えなくなった。

 大晴は深呼吸をして、玄関の扉を開けると待っていたのは真っ青な顔している母と暗い顔している父であった。

 二人が揃っていることに大晴は驚いていた。


「ただいま。オヤジ、一年ぶりだね」


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