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112限目 入学式

桜花会が講堂へつくと、すでに壇上には生徒会が座っていた。


レイラが席につくと対面に新生徒会の緒方おがたはじめが座っていた。彼は卒業式とは違い堂々とした顔をしている。


(おお、成長)


そして、講堂の一番後ろには2年以上の特待Aが背筋を伸ばし、真顔で座っている。


圭吾は壇上のすぐ下のスタンドマイクの前にいた。

彼は周囲を確認すると、口を開いた。


「……回、桜華学園入学式を行う」


彼の宣言が終わると同時に、吹奏楽部そして弦楽部の演奏がはじまり講堂の扉が開かれ1年が入学した。皆、緊張して動きが固かった。


1年が全員座ると、圭吾は一年に入学の祝の言葉を述べ名乗り挨拶をした。彼のその姿に惹かれ声を上げそうになる新入生がいた、しかし周囲に抑えられていた。


式典の規則は事前に厳しく伝えられている。


その後、理事長、校長、来賓と話がすすんでいった。


(この退屈な話で誰一人寝ないのが桜華のすごいところだよな)


レイラが感心していると、圭吾に名前を呼ばれた。レイラは返事をして演台に向かった。

彼女が演台につくと全生徒が立ち上がった。


「皆さん、ご入学おめでとうございます。そして、モニターでご覧になっておられます保護者の皆様、お子様のご入学を心よりお祝い申し上げます。わたくしは、桜花会会長、大道寺レイラですわ」


そこまで、言うと周囲を見渡した。全員がレイラに集中しているようで目があう。その中でもまゆらから熱い視線が向けられていた。


「皆さんは本日より桜華中等部の1年となります。初等部では教職員が丁寧に接してくれましたが中等部は違います。全て、生徒が決めていきます。高等部にはいれば、教職員との関わりは授業のみとなる場合がほとんどです。相談にいくときっと“誰かに相談したのですか?”と言われます。どういう意味だかわかりますか?」


穏やかに微笑み、周囲を見た。彼らはじっとレイラの答えを待っていた。


「どんな問題もまず生徒で解決する事をうながされます。皆さんとのこれからの学園生活を楽しみにしております」


そう言うと頭下げた。すると、同じように全生徒が頭を下げて座った。次に生徒会長である一が前に出た。


一は演台の前に立つと目をつむり深呼吸をした。それから目をあけ周囲を見回した。


「新入生の諸君、ご入学おめでとうございます。そして、モニター前の保護者の方々、お子様のご入学を心よりお祝い申し上げます。私は生徒会長の緒方一です。今挨拶がありました桜花会と共に学校運営を行いますが、桜花会と違い生徒会は生徒が独自に作った組織です。つまり、皆さんの努力で新たな物を作り出すことの出来る学園です。是非、様々な事に挑戦して楽しい学園生活を送って下さい」


頭を下げ、一が自席にもどると同じように頭下げる生徒がパラパラといた。


「新入生代表、二階堂春」

「はい」


はっきりと返事をして春は壇上に向かった。すると、周囲が少しざわついた。


(あー、やっぱりそうだよな)


春が演台にいると講堂の中はシーンと静まり返った。


「暖かな春の光に誘われて桜のつぼみも膨らみ始めた今日の良き日、入学式を行って頂き感謝しております。中等部からの新しい友が増え、初等部とは違う環境に不安と期待で複雑な思いがありました。しかし、優しい先輩方や先生方に触れ、学園生活が楽しみとなりました。優しく、厳しいご指導をよろしくお願いします」


春が頭を下げると新入生も同時に下げた。


圭吾は春が、自席にもどると閉式の挨拶をした。それと同時、吹奏楽部も弦楽部による演奏が始まり新入生退場してた。

新入生が全員退場すると音楽がやみ、来賓、桜花会、生徒会が講堂を後にした。残った特待は圭吾の指示の元、片付けをすることになっていた。


レイラは講堂から直接、桜花会室に戻りパソコンを会長席に置くと資料の打ち込みを行なった。


(3月からやってるだけあって、もう終わる。俺頑張ってるよな)


しばらくすると、徐々に桜花会メンバーが部屋に戻ってきた。一番最後に、戻ってきたのは1年だ。

レイラは彼らの方を見ると穏やかに笑った。


「横山くんに、二階堂さんは帰って構いませんわ」


そのレイラの言葉に素直に返事したのは春だけ、大晴は不満そうな顔をして扉の前に立っていた。レイラはめんどくさそうな顔をして圭吾見ると、彼は頷いて二人のそばに行った。


「横山くん、二階堂さん、今日はお疲れ様。二階堂さんは新入生代表やって疲れたでしょ。明日から授業も桜花会としての活動も始まるから今日はゆっくり休んでね」

「はい。ありがとうございます」


春が礼を言って去ろうとした時、大晴が春の腕を乱暴に掴んだ。


「待てよ」

「ーつ」


彼の力の強さに春が痛がり、慌てて圭吾が止めようとした。しかし、大晴は反対の手でそれを静止した。


「俺は不満なんですよ。なんで、コイツが新入生代表なんですか」


怒鳴りながら大晴は春の手を自分の方に引いた。


「あぶなっ」


圭吾が手を伸ばし、リョウも支えようと駆け寄ったが、春はバランスを崩してその場に倒れた。春の手を持っていた大晴も一緒に倒れ春の上に覆い被さる形になった。


その有様に、レイラは無表情で立ち上がり彼らの元へ行った。圭吾とリョウはレイラが到着する前に二人を離し起こした。


「申し訳ありません」


春は起こしてくれたリョウに頭を下げた。リョウは心配そうに春の怪我の確認をした。

大晴の方が、自分は悪くないというような顔をして礼も謝罪の言葉もなく、圭吾は困った顔をして頬をかいた。


にこりと笑顔を作ったレイラは春の方を見た。


「二階堂さん。お疲れ様ですわ。すぐにご帰宅ください」


レイラの有無を言わせない態度に、春は「はい」と返事をして頭を下げると部屋から出ていった。


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