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104限目 卒業式・襲名式①

 レイラはいつも白いセーラーワンピースの制服に黒のジャケットを着て胸に花をつけ壇上に座っていた。


(ジャケットって、式典の時だけしかきちゃダメだから超違和感。黒服のやつらは白いジャケットだろ。仲良くって意味か?)


 憂鬱なのが周囲にバレないようにレイラは姿勢を正して真面目な顔をつくった。

 桜花会のメンバーとして式典には何回か参加していたが、今日はいつもの末席ではなく会長席に座っているので新鮮ではあった。

 横には生徒会の次期会長である緒方おがたはじめが胸の花が震えるほどガチガチに緊張して座っていた。更に対面にいるのは今年度卒業する桜花会と生徒会メンバーだ。


「……回 桜華学園卒業式・襲名式を始める」


 凛と通る声で司会を行っているのは桜花会の副会長である中岡圭吾だ。

 シワ一つない、いつもと同じ海軍型の白い詰め襟制服を着ているが、普段と違い帽子を被っている。白い帽子に黒い線がはいっている。その姿は新鮮であり格好良く見とれる女子もいた。

 ちなみに、桜花会以外の生徒は逆で黒い帽子に白い線がはいっている。


(式典しか被らない帽子効果もあって、普段はチャラチャラしてるくせに様なるんだよな)


 レイラが関心して見ていると、式はどんどん進んでいき卒業証書の授与が行われ様々な教員が話をしていった。


(どこの世界も卒業式って同じような事しか言わねぇよな)


 レイラが壇上の下にいる生徒を見渡した。桜華学園には中等部の卒業式はない。高等部のみ行われ、そこに参加するのは高等部の生徒のみである。


「それでは桜花会、そして生徒会の襲名式を行う。桜花会会長、天王寺憲貞」

「はい」


 名前を呼ばれるとはっきりと返事をして憲貞が前に出てきた。


(あー、入学式もそうだったが、やっぱり式典は全て敬称を付けないのか。だから桜花会でも上の方の人間が司会なのか。じゃ、入学式も中岡先輩に司会やってもらうか)


「次期、桜花会会長、大道寺レイラ」

「はい」


 レイラは考えごとをしていたため、返事がうわずりそうになりなったが必死に耐えた。彼女がその場に立つと周囲から「わー」っと言う声がしたが憲貞が演台の前に出るとすぐに静かになった。


「本日、この日を無事に迎えられた事を本当に嬉しく思う。私が桜花会に入った当日の事を知るものは、この卒業式に参列できたことを奇跡に感じるだろ。私も思う」


 会長の言葉に卒業生の席からすすり泣く声が聞こえたが、当時を情報としてしかしらないレイラは何の感情もなかった。


「桜花会の権利は何の努力もなく貰える。言うなら親の金だ」


 その言葉に桜花会メンバーはビクリとした。そして、聞いている教員も目を大きくした。


(はっきり言っちゃうんだ)


「だが、上辺だけかも知れないが生徒は桜花会を慕ってくれる。それに胡座をかいてしまった桜花会を支え、たしなめてくれたのは君たちだ。生徒会を発足させ学園のバランスを保ってくれたのも君たちだ。そして、当時一年であった私を会長として押し上げ支えてくれた君たちに私は感謝してもしきれない」


 憲貞が泣き出した。そして、卒業生たちも大号泣であった。ただ、在校生は呆然としておりもの凄い温度差があった。


(会長の話って中村幸宏が桜花会会長だったことに横暴な事したって奴だよな。そりゃ当時をしらねぇやつはポカンだな)


「そして、後輩諸君」


 講堂中に響く声。

 憲貞の目にもう涙はなかった。


「2年で桜花会の会長となった不出来な私を支えてくれてありがとう。5年間もの間、会長としてやってこれたのは諸君のおかげである。だから、こそ桜花会は以前のように年齢順ではなく出来る者をトップとする。それが、大道寺レイラだ」


 一気に、レイラに全生徒の視線集まり彼女の身体に緊張がはしった。


「私が選んだから間違いない」


(え? 指名理由それだけ? そりゃ会長には次期会長の指名権があるがそれ納得するの?)


 レイラは真面目な顔をしたまま、内心疑問に思った。しかし、その一言で、一斉に拍手がおこった。


(なんで? なんで、そんなに会長コイツは信頼されているんだ?)


 レイラは疑問に思いながらもリハーサル通り、演台に向かうと憲貞は横にずれた。

 レイラは何話そうか悩んだ。


(これだけ、盛り上がった演説の後はやりずれぇよう)


 レイラ、空気を吸い込みゆっくりと、はくと演台の前にたった。


「次期会長に指名されました大道寺レイラです。今年入学したばかりで会長と過ごした時間が皆様より少なく会長をそこまで信頼できる理由がわかりません。けれども学園の皆様が信じているというならば、その期待に応えたいと思います」


 レイラの演説は一分もなくすぐに終わった。そのため、感動するものはいなかったが頷いてくれる者はいた。


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