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妄想能力者と現実能力者の討伐戦  作者: 忽那 和音
Series3 UFW編
97/255

Episode 95

 関東、東海地方。および、隣接地域の住民にむけて非常事態宣言の発令。全住民の避難指示が発令されて二日が経過した。

 国立・陰光大学の施設は小学校から大学を含めた全施設が閉鎖状態となっている。

 散歩で周りを見ても、人っ子一人いない。

 今のところ、周辺地域で怪我、家や建物の破損といった情報は出てきていない。

 しかし非常事態宣言が出されている。二日足らずで行方不明者や不審者の目撃情報が噂程度であるが、アテナの耳に入ってきている。

「アテナ。お母さん達、これから仕事だから戸締まりはしっかりするのよ」

「うん。分か……っ、分かりました」

 いつもの調子で敬語使いになりそうな口元だった。

 学校の休業や自宅で仕事をするテレワークを除いては、外出が可能となっている。

 自宅のあるマンションも避難を回避するために非常食の自動的な支給もされている。

 たとえ断水や停電があったとしても、二週間は余裕で生活できるように条例で決められている。

 エッセンシャルワーカーのエリスは今日も助けを求めている人の元へ向かう。

 父もライフライン整備の為に臨時で出勤をする。

「それじゃあ。お母さん、行ってくるわね」

「は~い。いってらっしゃい」

 母親から言われた通り、上下に設置されている手動ロックをかけた。

 普段はオートロックの玄関も手動含めて三重の構えをとる。

 戸締まりを終え、自分の部屋へ戻ってきた。

 非常事態宣言発令に伴う休校に準備の良い教員達からの暇つぶしに手をかける。

 しかし、優等生には本当に暇つぶしにしかならなかった。

 二日が経過し、教科書の内容をほとんど頭に入った彼女には宿題もまた授業内で解く小問題でしかない。

 それ以上にアテナは自主学習をする上で自身から生まれた疑問を宿題外で追求している。

 三時間。

 自身の中で課題に関して自問自答する。

 ふと、スマホの画面を見る。

 着信が百二十二件入っていた。アカウントからは好きなお店のクーポンが半分。もう一方はアテナが部長のクリエイティブ部活・MUSEのグループメッセージからだった。

 そこには、ミツキが宿題に対する苛立ちが窺えるものだった。

 グループメッセージの内容。

 ミツキから今日の会話が始まった。

「みんな~。元気~? 私はもう、みんなに会えなくてちょーさみし~~~~~~」

 語尾には正座しているキャラクターが土下座をしているスタイルで号泣しているスタンプ。

 長い付き合いのエレンはいつものことのように感じたのか。帰ってきたコメントがミツキを本当に思っているのであれば、侘しいものだとアテナは思う。

「長女だったら、下の子の面倒くらい見るから寂しくないでしょ」

「いや~。同級生と自分の兄弟は同じ扱いできないよ~」

「いや。私はミツキの下になんかなりたくないわ」

 エレンは激おこのスタンプを送る。

(いや、なんか違うような……)

「エレンく~ん。そんなに、私の妹になりたかったのか~い? いいよ~、私の家は寛容な……」

「親御さんはいい人だけど、ミツキの妹にはならないから‼」

 事実、エレンはミツキの二歳下。なので、妹として扱っても何ら問題は無い。

 しかし彼女は歳に異常のしっかり者なため、人の世話になるのを嫌がる。

 そのことを幼なじみとして十分理解していの柄貝をした。

 二人がしばらく電話をしないまま一時間。

 連絡を取り合った九時にはクラスメイトの慧、サーカ、トリンドル、バン。何人かの部員が話に加わっている。

「はぁ~。そういえば、アテナちゃんグループに入ってきてないね~」

 気の利くトリンドルがメッセージを傍観している部長の名前を出す。

「どうせ、寝てるんじゃないの~?」

「そんなこと無いわ。アテナちゃん、グループの会話に参加して来ないだけで、休校期間中も真面目に勉強しているんだから」

 アテナは心の中でいいぞいいぞと盛り上がっている。

「よくぞ、言ってくれました。私のルーム長‼」

 直後に続けてグッドポーズを送る。

「え~! 噂をすれば……。もしかして、今日の最初から……」

「違うよ。ついさっき、見始めたばかりだから」

「でも、会話は全部記録されちゃってるから、隠し通せないけどね」

 サーカが痛いことを横から放つ。

「あ~! やめて~‼」

 ミツキは頭を抱え後ろから毒に満ちた黒いものがあふれ出ているスタンプを流した。

 アテナの登場により、ミツキの頭は大草原を走り抜く群れのように混乱をしている。

 しかし話を最初から戻すとミツキは兄弟はいるものの寂しい思いをしている。そのため、ここまで話が発展してしまったとなる。

「それじゃあ。みんなの顔を見るためにビデオ電話する?」

 部活の長として、的確な意見を提案した。

「それだよ! それ‼」

 すぐさま、スマホをセットしてビデオ電話のスタイルにする。

 アテナはビデオ電話の発信者として発信ボタンを押す。

 赤いスタートボタンを押した。

 だが、画面上に見えるのはメルタと横からサーシャ。そして、マリンだった。

 彼女達が映し出されたのはアテナだけでなく、ミツキ、エレン、バン、トリンドル、サーカ、慧達鉱物研究・異世界との戦いに関わる者。

「あ~。突然、申し訳ないわ。お取り込み中だったかしら?」

 メルタは顔の表情一つも変えずに淡々と口にする。

「いっ、いいえ……。あの~、部活内で話あっていたのですけれども……」

 申し分けない態度で自分達が行おうとしていたことを言う。

 しかし学校側。

 しかもトレーニングプログラムに関係する人達が総出で映し出されるとアテナやエレンなど、勘のいい生徒達は気づいている。

「申し訳ないけど、今連絡が来たので、これから学校に来てくれる?」

 やむなく、オンライン交流会はお預けとなった。

 国からの指令ともなれば、誰も彼女達の行く道に阻む者はただ一つ。

 横須賀上空の襲来者しかいなくなった。



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