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妄想能力者と現実能力者の討伐戦  作者: 忽那 和音
Series3 UFW編
94/255

Episode 92

 頭上の板が回る音は、耳を保護していないと人の声は何も聞こえない。

 乗用車程度の広さを持つ機内に広がる。

 パイロットの一人はヘッドマイクを通して話す。

「現在、茨城県上空を飛行中。まもなく、横田基地に到着する」

「了解」

 通信相手は到着場所である横田基地。

 北海道・千歳から来たヘリコプターは三機。

 周辺国への監視も必要なため二、三機の召集を受ける。

 召集を受けたのは空軍だけでなく、日本軍のあらゆる危機的状況に備えている。

 それは日本の領域にある可能性をカバーできるよう、東京湾上空に現れた未知の集合体への対策を打つ。

 だが、状況は東京湾への出現。

 横須賀基地からの交渉を試みたものの、攻撃によりダメージを受けた。

 通信状況に問題が無いが、基地には数人の死傷者が発生。

 横須賀基地へ攻撃を受けて以来。三時間経過した今、お互いにらみ合う状態を続けている。

 日本防衛の拠点である市谷(いちがや)では陸海空のトップが大臣を絡んでの会議を行っている。

 内容は攻撃するか否か。

 横須賀で交渉しようとしたにもかかわらず、相手からの返答もなしに言葉ではなく武力での返答を受け取られてしまった。

 唯一の通信方法を遮断されてしまっていては、制服組の全てが武力による攻撃を優先するという判断を示している。

 しかし大臣は違った。政治家はあくまで国民側の役人。

 国民に寄せた対応をしなければ、国防省。政府への信頼が落ちてしまう。

 なんとしても、国土への攻撃は阻止無くてはならない。

 大臣は元帥達からの資料に目を通す。

 段階は既に、戦闘ヘリコプターによる攻撃から始まる段階に入っている。

「大臣。そろそろ、作戦開始の指示出す時です。ご決断をお願いします」

 会議の進行を務める一人が大臣へ促す。

 戦いは皆、望んではいない事態。

 しかし、あのままの状態でさらなる攻撃の可能性も否定できない。

 最悪の事態は領土への上陸。

 それを回避するためにも、重い口を数時間ぶりに開いた。

「作戦を開始……せよ……」現場の指揮官達へ速やかに通達が入る。

「ありがとうございます。あとは私達の仕事ですので、失礼します」

 元帥達。その部下は大臣に一礼をした。

 会議に参加していた元帥達は入間や横田など各付近の基地へ向かった。

 今回の作戦は陸海空合同で行われる。

 その為、被害を受けた横須賀は一部派遣された隊員を含め臨時で運営を行っている。

 海軍は千葉から静岡までの基地が連携して対応をする。

 陸空軍も茨城の一部の隊員から愛知の一部まで作戦に参加すると会議で決定した。

 横須賀基地。

 現在。

 攻撃からの傷を癒す暇もない基地内では慌ただしくしている。

 別基地からの応援や陸空も含めた作戦に備えた準備を行っていた。

「指令。偵察隊第一群の発進準備、完了しました」「了解した」

 横須賀基地から出発する偵察ヘリは燃料満タンで発進準備が整った。

「では、戦闘ヘリ第一群。発進!」横須賀発の作戦における最高責任者。彼の一言により、六機の偵察ヘリコプターが発進した。

 まだ相手の詳細が掴めていない。

 現場の最高責任者として、隊員達にはあくまで戦わずに偵察任務として危険がある場合はすぐさま戻ってくるようにと求めた。

 偵察隊第一群の出発から十分が経過。

 目視で上空の軍勢を確認できるほど徐々に彼らとの距離が近くなった。

「前方。軍勢を確認」

 隊員達が乗るヘリに搭載されたカメラ。

 横須賀基地にいる現場へ指示を送る将官をトップにした会議室からもモニターを通して観察する。

 一人ひとりの服装や所持している武器まで認識できる。

 規模は最初の報告通り、一千人。

 前方にいる四人が地球に進行して来た重要人物として指令や上層部は位置づけた。

「そのまま周りを周回してください」

 通信係の隊員がパイロットへ言った。

 指示に従い、半々に分かれた第一郡は上下左右に分裂した。

 その時、前方にいる小隊長・ジャック・デ・フォレスティエが右から回るヘリコプター数機を見ている。

「あ~。なんだ~、あれ」

「あの乗り物はヘリコプターというのよ。ジャック」

 ジャックと同じく小隊長兼、副中隊長のヴェラ・クニツカヤが小さい子供に名称を教えるように口にした。

「いや。それは分かってる! ていうか、俺はもう三十路近いんだ!」ヴェラの子供扱いに怒った。

 現在は茶番をしている状況ではなかった。

「そんなことより、俺たちは周りから見て何をするっていうんだよ」

「そうね~。この世界の技術はここまでしかないということよ。フフフ……」

ヴェラは嬉しそうに言った。

「あ~。でも、さっきの音で皆の声が漏れちゃったのはちょっとヒヤヒヤしちゃったな~」彼女は後ろを向いた。

 しかし人間の目には何も見えない。

 それは地球に襲来した彼らには現在の状況では同じだ。

「隊長どうします~?」

 腕を後ろに向けているジャックは気怠くする。キュバリルを戯んでいた大隊長に聞いた。

「ふ~ん。雑魚相手に本隊が動く必要はないでしょう。しかしこのまま時間を使うのも非常に効率が悪いですね」

 左手にコーヒー皿。右手にアールグレイの入ったカップを手にする。上品に中身を飲む紳士。

「ちょっと、人類を甚振って差し上げましょうか」

 言葉の後にカップとお皿に手を離した。

 周りには後ろから現れた炎に大隊は包まれた。

 一見、大隊が自身の首を絞める形になったかと思われた。

 しかし逆転の事実だった。

「通信……偵察隊から通信が途絶えました‼」「くっ……」

 指令は手すりに拳を打ち付ける。

「プルルルル……プルルルルルルル……」室内の固定電話が鳴り響く。

 隊員の一人が手に取る。

「はい、少々お待ちください」

 電話を取った隊員が司令の元へ速足でやってくる。

「指令! 市谷からです」「電話を繋いでくれ」手元の電話へ回線を変更した。

「はい。横須賀基地しれ……」

「あ~。そういうのはいいから。一刻を争うから一言で終わらせるよ」

 相手は国会でも、省内でも緊張感が全くない国防長官。

「入間。横田。あと、アメリカ軍にも応援だしたから、君達はこれから来るけが人の手当てに専念しててね。じゃあ」

「ちょ、あの……」一方的な会話は強制終了した。

「しっ……指令‼」

 窓越しに東京湾方面の地と海と空を見ていた。

 彼女の顔と口は開いたままだった。

 その言葉と耳を通した表情に違和感を覚える。指令は同じ方向を見た。

 空には戦闘ヘリ十何機。

 海にはイージス艦、空母数機ずつ。

 陸には自走砲、戦車が連なっていた。

 この光景を一生見ない。

 特にこの平和な時代では。

 指令や隊員達はこの光景に感激を覚えた。

 そして男の目頭には一滴の感動が流れていた。


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