Episode 84
「一! 二! 一! 二!」生徒達は竹製の剣を手にして素振りを行う。
「そこ! 剣がブレブレだ。もっとしっかり保て」指導役で来た一橋 菊次郎が見つめる。
「まさか。進学後に剣道の稽古を受けるとは……」
小学校時代に剣道をしていたエレンも、師範を目の前にすると気合が入る。
「うん、エレン。筋がいいな」菊次郎はエレンの振る舞いに感心した。
「あっ、ありがとうございます~」
いつもと聞かない高い声で言った。
それは、小学校から一緒にいるミツキ達が聞いたことがないものだった。
「エレン。なんかいつもと違うような」
口数の少ないバンも思わず口にしてしまった。
「ミツキは……」師範は彼女の後ろへ移った。
「おじさん。黙ってて」ミツキは怒りながら言った。
「ミツキ! 何を言っているの。師範に何を~‼」
エレンは彼女の態度に注意をする。ミツキの感情が入った表情は変わらなかった。
「あ~いいんだ。本当におじさん……。本当は従伯父だからな」半笑いで言った。
「えっ、それじゃあ。小学生の時に言ってた伯父さんって」
「うち、親戚が多すぎるから、おじさんって一括りしてるの」
小学生から一緒にいるエレンやバン達は一橋という古くからある日本の名字に通じることが分からなかった。
「ほら、家族の話はここまでにして、練習しないと」
「あっ……、うん。って、ミツキがそれを言うと変な感じだな」
エレンがぼそっといつもと違うミツキの態度に異変を感じた。
しかし、これ以上を踏み込めば彼女の気が知れない。
今の時点ではそっとしておくのがベストだろうと、その後は両者とも、踏み込まなかった。
「今日の稽古は以上‼」
「\\\\ありがとうございました‼////」
一日の鉱石適合率強化訓練は終わりを迎えた。




