Episode 66
キュバリルが放った黒霧のエネルギー砲を受けて崩壊された塔。
内部にいたアテナ達は一時、空中に打ち上げられた。
基地敷地内の海岸部にいるピエール、チェンヤオ、希和子達は呆然としていた。
「ダメ……。アテナちゃん達が……」
塔へ手を伸ばした希和子。
アテナ達のいる場所は届かないと分かっている。
自分から希望の救いが出来るように。
「皆ー!」
希和子は叫んだ。
打ち上げれられた時だった。
アテナのブレスレットが光る。
「光……」
海上にある光輝は海岸部にいる希和子達の元まで届いた。
「まさか、これで覚醒したんじゃ」
ポケットに手を突っ込んでいたピエールには心当たりのある情報が頭をよぎった。
同時刻。
横須賀基地・臨時入院施設内。
転送後に施設内に運ばれたポーレット、慧も施設内から塔の崩壊から光の発生までを目撃していた。
「おいおいおいおいおい! 大丈夫なのか」
「分からない。でも……あの後にあれだけの光が出るだなんておかしいよ。アテナ……皆……」
塔跡地・上空。
ミツキ、エレン達は自分自身が既に死んだかと思っていた。
だが髪や耳には冷たい空気を感じる。
それは高い場所特有の冷たい風。
「皆、目を開けて。生きているわ」
メルタの声がした。
「大丈夫よ。落ちたりはしないから」
サーシャは言った。
数分経過し、ミツキ、エレン、バン、トリンドル、サーカは目を開いた。
「うわぁ!」
ミツキは下を見て驚いた。
「何……これ?」
エレンは周りを見渡した。
「私達……どういう事?」
サーカは戸惑った。
「これは……」
バンは上を見上げた。
「アテナ……ちゃん?」
トリンドルは上にいたアテナを見上げた。
先ほどまでの服装とは違う。
さらに少し大人っぽくなった容姿のアテナがいた。
白や黄金の輝きと青のグラデーションが鮮やかな衣を纏う。
下になるにつれて薄っすら素肌の見える素材。
それらすべてが神々しく。
まさに女神・アテナを憑依させた姿だった。
「なっ、なんだと……、あっ……ありえない……。どこでそのような力を!」
キュバリルは驚きを隠せなかった。
「その力はアテナから直接、力を与えられなければ覚醒しない。なのに、どこで……」
メルタは口を開いた。
「あなた達を倒すために、以前から準備をしていたのよ」
「そんな……、だが……、私は……こんなところで負けてはいられない!」
両腕を天に掲げたキュバリルは大気上に発生した霧を吸収し、全エネルギーをもって強力な電磁波を伴った球体を作り出す。
「アテナさん。イージスを構えて」
メルタが指示を出した。
「はっ? はい!」
アテナは距離のある場所に微動だにしなかった盾を引き寄せた。
「こっこう、ですか?」
キュバリルから放たれるエネルギー砲を受け止めるべく、前方に盾を構えた。
「皆は先生達の後ろに隠れてて」
サーシャはメルタと二人がかりで流れ出たエネルギーを逃がす役割を果たす。
まだ戦力にならない生徒達に怪我を負わせないように、固まるように指示する。
「はい!」
エレンを筆頭に縦に固まった。
「はぁー!」
キュバリルは持てる全ての力を振り絞ってアテナ達がいる方へ向けた。
「来る」
アテナは完全防御態勢となった。
「うっ……」
攻撃が辺り、受け止めた事のない、感じた事もない重いものだ。
メルタ、サーシャ。友人達を守るためにも、ここは負けてはいられなかった。
「アテナ!」「アテナちゃん!」「アテナ!」「アテナちゃん!」「アテナちゃん!」「「アテナさん‼」
ミツキ、エレン、バン、サーカ、トリンドル。サーシャとメルタが言った。
海岸部にいる希和子と病室内にいる慧とポーレットもアテナの名前を呼んだ。
希和子は続けた。
「行っけー!」
「やぁー!」
アテナはイージスを使い、エネルギーを取り込む。
「なんだと、エネルギーが吸われていく!」
「違います。これは、次の手を放つ策」
「まさか、私の力を攻撃の一部に……そんな……」
このままだと攻撃をまともに受けてしまうと危機を感じたキュバリルはその場を離れようとする。
「今だ!」メルタが言った。
「Κρίση του ουρανού! !!」
イージスに蓄えられたエネルギー砲を逃げるキュバリルに放った。
「いやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
攻撃を受けたキュバリルは攻撃を受けたものの、空間をねじりその場を脱出した。
「はぁはぁはぁはぁはぁ……」
大規模な攻撃を放ったアテナは長距離を走った選手と同様の息の粗さを示した。
「はぁ~私達の勝利?」
トリンドルが喜びを溢れさせた。
「ええ、私達が勝ったのよ」
サーシャが答えた。
敵を追い払ったアテナにメルタは声をかける。
「アテナ……さん……?」
「はぁはぁはぁははは……」
上空にいた人達は一瞬歪みを感じた。
それはアテナの持つ女神・アテナの力が今を持って尽きようとしていた。
「アテナさん!」
アテナは倒れかけた。
すかさずメルタはイージスをアテナの手に携えた。
間一髪、海へ投げ出されかけたアテナとメルタ達は横須賀基地・海岸部へ移動する事ができた。
「は! お帰り!」
下には先に戻っていた慧とポーレット。
医療チームのピエール、チェンヤオ、イザベル。
希和子がいた。
アテナのもとには、ピエールが来た。
「この子をお願い」
「分かってる」
希和子もアテナのもとへ来た。
「アテナちゃん……」
「大丈夫。希和……」
ピエールの言葉に頷いた。
走行可能なメルタ、サーシャ、ミツキ達も念のためメディカルチェックを受ける。
帰還してきた人達は診察室へ向かった。




