Episode 63
江戸湾海上に出現した黒い塔。
塔の破壊・解体作戦開始から五時間が経過。
光の発生中に石に対応する神々から力を与えられたアテナ達は十数階上に移動。
現在、アテナ達は目標にしていた最上階に着いた。
最上階にはこれまでになかった一つの部屋があった。
室内には一人の女性がいた。
アテナ達の目前には霧が覆われ人影がある事は確認できたが、詳しい服装までは確認できない。
女性であるシルエットは見る事ができる。
霧が収まってきた室内。
女性の姿が徐々に確認できるまで空気が落ち着いてきた。
そこには、明らかに普段に着るような服を彼女は着て来かった。
小さい子供と思春期の人にとって刺激的な肉体と服装をしている。
金髪を首辺りまで三つ編みしている。
後ろ髪の長さは臀部下が隠れるくらいの長髪。
服装は裸が透けるほどの黒いシャツを着ている。
上着で体は膝裏まで隠れているが背中はよく見える。
そして、最低限の目隠しの黒いショーツを履いている。
「ふふふ……」
彼女はガラス張りの部屋で外を見て、あざ笑っていた。
「もういいのよ~出てきて。あなた達の存在なんか、初めから分かっているのだから」そう言った。
彼女はアテナ達が隠れている廊下を見た。
アテナ達は刺激的な彼女の表姿を見た。
胸部を直接隠すものは何もなく、黒いシャツによって辛うじて中心は隠れていた。
その誘いにメルタのみ答えた。
サーシャからは手の動作でまだ動かないように指示を受ける。
「なぜあなたが、ここに……キュバリル」
「メルタ……。あなたが、この地球で平然と地球人の一人として生きている事に落胆したわ」
アテナ達生徒にとっては耳を疑う発言だった。
「私がここにいたとしても血筋としてはおかしくはないわ」
「まあ、混血の血筋で純潔の私に勝てるとは思わないで」
二人はアテナ達にとって初めて耳にする事実が繰り広げられていた。
キュバリルの周りには黒い渦が床から徐々に広がっていく。
霞がかった、黒い空気は部屋中を立ち込めていった。
徐々に、アテナ達が潜む廊下にまで広がっていった。
「皆! 煙を吸わないで」
一緒にいたサーシャが生徒達に指示を出す。
声や存在の認識までも覆ってしまう黒い霧は強力なカーテンだった。
その時だった。
また先ほど移動する前後に発生した光だった。
光は次々と黒い霧を消していく。
その光の発生源はやはりアテナの石からだった。
「皆行きましょう!」
サーシャの号令で一斉に部屋の中へ入っていった。
「あら~一同そろって……フフフッ。賑やかでいい事」
彼女は浮かれた事を言う。
「ふざけないで! うちの生徒達に手は出させない」
サーシャは今までに見た事がない恐い顔をしていた。
「良いわね。生徒と教員のあっつ~い信頼」
彼女は自分の体を抱きしめながら、左右に体を揺さぶった。
豊かな胸も左右上下に喜んだ。
「安心して、痛いようにはしないから。その絆を壊さないように殺してあげるわ」
組んでいた腕を外し、右手から黒い霧を放った。
「させない!」
メルタは発せられた霧を石から出現した剣で迎え撃つ。
「やぁぁぁぁぁ!」
突き出した剣は、キュバリルのもとへ向かった。
メルタの剣は彼女を指した。
「ふふふふふ……」
刺されたキュバリルは笑っていた。
正体は彼女が作り出したキュバリルの霧だった。
メルタの後ろに潜んでいたキュバリルは頭を目指して左手を伸ばした。
だが、キュバリルの左から何者かが入って来た。
「やぁぁぁぁぁ!」
それはアテナだった。
「させなーい!」
アテナは左手を使い、キュバリルの腕に向かって未知数の拳を放つ。
即座にキュバリルはその場を離れた。
割って入ったアテナに言った。
「何? あなた」
「先生に、怪我はさせません!」
アテナはメルタをバッグに腕を横に広げた。
「何よ……」
キュバリルは拳を握る。
「部外者が勝手に入ってこないで!」
床からは先ほどまでとは違う高濃度の黒霧がアテナとメルタ。
周囲にいる生徒達に広がる。
辺りが見えなくなってしまった。
再びアテナから発せられた光が周囲を照らす。
メルタは剣を突き出し、再びキュバリルに立ち向かう。
硬い感触がした。
キュバリルはメルタの剣を手で受け止めていた。
「ふっ、霧で相手の行動がわからないと思った?」
彼女は冷たい目でメルタの瞳を見つけていた。
「まさか、何年の付き合いだと思っての!」
メルタは笑って剣を身の元へ戻した。
霧が再び濃くなった。
「ぜっ絶対に……絶対に……先生へ怪我は……させません!!」
突如、アテナのネックレスからこれまでに見た事も無いような強烈な光が出た。
「なっ……何? こっこれは……」
黒霧の発生源であるキュバリルは目を腕で隠し光を避けていた。
強力な光によって、視界を遮られる。うっすらと光を遮る指の間から様子を伺う。
アテナは自分の持つ力を使いこなせていないとキュバリルは見た。
現象を戸惑っている中に、キュバリルは手から高濃度の黒霧の玉を作り出す。
「ひっ」彼女は笑った。
全体は前進する。
メルタの顔面を狙い、黒霧の玉を前に出す。
「危ない!」
皆、メルタの身が危機迫っている事を口にした。
光輝くアテナの持つ石から一粒の閃光が放たれた。
メルタの身を守ったのは宙に浮く盾だった。




