Episode 58
日本国防総省・在日アメリカ軍基地は最初の攻撃はしたものの無傷。
ヘリの墜落と船の浸水が起こったため、塔の破壊・解体に頭を抱えていた。
幸い、ヘリの隊員はEMP攻撃を受けた直後、緊急脱出を行い無事助かった。
アメリカ軍はある程度の距離を通っていた為、墜落は避けられた。
軍関係者とつながりのある人物を経由して、メルタ。
そして、サーシャからアテナ達へ招集命令が入った。
基地内の会議室。
アテナ、ミツキ、エレン、バン、トリンドル、サーカ達石の力を持つもの。
なぜだか知らないが、石の力を保持する事を拒否した金城慧もいた。
「ねえ、慧くん」
「どうした? トリンドル」
隣同士、座っているトリンドルから話を持ちかけられた。
「慧くんって、あの時もらった石を付けてないけど、なんでいるの?」
「あーその事なんだけど、ポーレットが良いものがあるから、ボッチにならずに済むっていうからついて来た」
曖昧な話だと思ったトリンドル。
確かに、ポーレットらしい突飛由もない考えだが、それにしても無計画に感じる。
本当に何手先も考えているのだろうかとふと思った。
「そう、そうよ。この子は私の実験……ごほん、研究仲間になったのよ」
「今、実験って言ったよね……」
ホワイトボードが設置されている正面に、軍人らしい制服を着て一人やって来た。
「では、これから塔破壊作戦第二弾に関する会議を始める」
彼は今回の作戦を指揮する隊長。
「民間人も含めた作戦なので、言っておくが、私は作戦に参加する者は軍人であろうとなかろうと、同じ職業軍人として接するから覚悟しろよ!」
(圧が凄いなー)
ミツキは会議開始早々、身の危険を感じた。
(こんなに怖い所なら来るんじゃなかったー)
帰りたいところだが、そうもいかない。
【仮定一】
ミツキは右腕を上げる。
「あっ! すみません」
「うん? なんだ」
「あの~ ちょっとお手洗いに……」
「お手洗いくらい、会議開始前に行っとけ!」
「ミツキ、アウトー!」
ミツキは想像の世界で作り上げた仮定一をシミュレーションした。あっけなく終わった。この状況で結局作戦に参加せず家に引き返すなんて選択ができるはずがない。
初めからアテナやポーレット達と一緒にいるだけで逃げ場なんて無かったんだ。
「こらっ! そこの圧強いなと思ったそこのおかっぱ!」
(えっ! ばっばれた?)
「はい! すみません!」
ミツキはぶたれないように頭を両腕で守る体勢を取る。
しかし何も起こらない。そっと顔を上げた。
(なんだー私じゃなくって、マッシュルームヘアーの人の事かー。もうー全く。紛らわしいったらありゃしない)
「どうしたの? ミツキ」
「な、ななな、なんでもない」
「そう……。変なの」
隊長は本題に話を戻した。
これまで偵察として塔への内部侵入という目的を考えれば成功した。
先日行った外部からの日米海空合同の攻撃作戦は一つの傷もつけられずに船ごと沈没された。
参謀本部で作戦を考えた結果、最も有力なのは内部からの侵入だった。
最初と違うのは今回は民間人が作戦に関わる事。
軍人同士で傷を負う事は何とも思わないが、守るべき民間人が関わるとなると軍内部でもこの作戦の関係者はピりついていた。
今作戦では侵入する隊を先発隊と後発隊の一と二の三つで分かれる事となった。
先発隊は軍人だけで最初に壁を壊し侵入する部隊。
後発隊は生徒達を半分ずつ分かれ生徒達の責任者としてメルタとサーシャが分かれて着く事となった。
後発隊第一分隊のメンバーは軍人十人、メルタ・エーマン、アテナ・ヴァルツコップ、バン・ヘルメス、トリンドル・クリア・ウォータル、ポーレット・ミルズの合計十五人の隊。
後発隊第二分隊の名簿は軍人十一人、ラレス・サーシャ、ミツキ・ペーター、エレン・クピードー・ジョンソン、金城 慧、サーカ・キューバスの合計十六人の隊。
会議終了後。
ポーレットは慧に渡したいものがあると、廊下で待っているように言った。
(ポーレット何を考えているのか……)
「Thanks for waiting. Satoru.」
そこには両手で抱えるほどの大きさの紙製のボックスを持ってきた。
「どうしたんだよ~、それ」
「もちろん、あなたが今回の作戦に参加して足手纏いにならないための秘策よ」
「説明もしなければならないから、早速開けましょう」
そういい、ベンチにボックスを置いた。
上の蓋を開けば簡単に中身に触れる事のできるデザイン。
中にはブレスレットと特殊な白色の布が入っていた。
ブレスレットは力の圧縮を行い、力を効率的に相手に放つ武器。
ボディースーツは攻撃を受けた時の軽減装置の一つ。
もちろん、ブレスレットを併用して使えばさらにパワーアップできる仕組みになっている。
ポーレットは続けて言った。
「あっ、でも、出番ないと思っても先発隊が出発する前には着るんだよ。これ着るのも脱ぐのも超ーー超ーーーーーめんどくさいから!!」
ポーレットの圧に押された。
「わっ分かった……」
その日は解散となった。
翌日の早朝。
十分おきの電磁パルス攻撃の間隔は基本変わっていない。
しかし、規模が既に日本全体を覆い、ロシア、中国、台湾全土、そして、ハワイにまで迫っていた。
その為、日本軍もアメリカ軍もこれ以上塔を放置するわけにはいかないと思っていた。
「では、第二回塔の破壊・解体作戦を開始する。先発隊出発!」
偵察隊が使用した方法と同様に船での移動となった。
先発隊が乗る船は港を離れた。
第二回・塔の破壊解体作戦が始まる。




