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妄想能力者と現実能力者の討伐戦  作者: 忽那 和音
Series2 バベルの塔編
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Episode 56

 Sunlight Stand学園 Line coast 中学二年生、ポーレット・ミルズ。

 彼女の父。ジョーシ・シン・ミルズ。

 彼らが今回、アメリカから緊急来日した事。

 なぜこの会議に参加しているのか。

 それらの説明を始めた。

「まず、私はただのアメリカ在住のスーパー女子中学生ではないのよ」

 ポーレットはそう言いながら、茶髪のロングストレートを左手で靡かせた。

「へぇーそうなんだ」

 ミツキは悪意を持っていないが、興味がなさそうに言った。

「何よ、その棒読みは」ミツキに指を指す。

「やめなさい。ポーレット」左肩に手をついたジョーシ。

「娘よりも私の方が関係があるな。僕はアメリカ軍の技術開発に関わっているから、身分的には軍人という事になる」

 ジョーシは横須賀にあるアメリカ軍基地から所属する基地を経由して派遣要請を受けた。

 答えは参加をする事だった。

 軍関係者でもないポーレットがついて来た事にアテナやトリンドル達は疑問を感じた。

「お父様が来日された理由は分かりましたが、なぜポーレットちゃんも一緒に?」

「あーそれは私の口で説明するわ。私はね、アメリカ最強のパイ……ぶぅんぶう……ほっ、ぼどうざま~」

 自分で説明するというポーレットの口をジョーシは塞いだ。

「すみません。私が説明します。彼女は軍の候補生なので、今回は見学をします。皆さんには迷惑が掛かる事もあるかもしれませんが、よろしくお願いします」

 やっと、ポーレットの口から手が退かれた。

「そういう事よ!」

 少々強引な説明だったようにも感じる。

 ポーレットはモヤモヤ空気を吹き飛ばすかのような仁王立ちで両手を腰へ掛けた。

 後ろからは見えるはずもない後光が差していた。

 続いて、ジョーシが日米平和条約に基づいた協力内容を話し始めた。

「我が国・アメリカと日本の間には有事に備えた時にともに行動をする日米平和条約が締結されています」

 軍は分析段階や外部からの攻撃を行った段階で自分達だけで処理をするのは難しいと考えた。

 アメリカもそのような見立てをしていた。

 しかし、政治的な問題で日本からの申し出はないと考えたアメリカは自分達から提案という形で作戦を仮ではあるが立案した。

「作戦内容は既に我が国の軍が提案したものとほとんど変わっていはいない。内容の方も日本のトップには入っており、明日から空軍と海軍の合同作戦を行う」

「あっ。あの、質問したい事があるのですが、よろしいですか?」

 サーカは質問した。

「けれど……、日本が攻撃してでもビクともしなかったのに、アメリカが入っても破壊はできるのですか?」

「僕達の軍はきちんと仕事をやってくれます。と、言いたいところは山々ですが……。日本はまだミサイルを使っての攻撃はしていないのですが、このままEMPの影響がアメリカまで広がった事になれば……」

 ジョーシは言葉を詰まらせた。

「おそらく、核爆弾を投下する事になるでしょう……」

 その時、ミツキの顔はとても真剣な顔をしていた。

 膝の上に乗せられた左手は強く握った。

「そのような最悪の事態を回避するためにも、僕はあなた達、生徒の皆さん。いや、ポーレットの友人である皆さんの力を信じたいのです」

 ジョーシの目は信念に溢れていた。

 会議終了後。

 アテナ達はメルタやサーシャになぜ軍の内情をそこまで知っているのかを聞かれた。

 話できるのは何もないと冷たく言われてしまった。

 その直後に言った事があった。

「あなた達をこれ以上大人の悪い譲り合いに巻き込ませたくないのよ」

 ポーレットは学校を暫く休学にした。

 これまで無遅刻無欠席で学校へ行ったので問題は無かった。

 ミルズ親子は横須賀にある在日アメリカ軍基地の宿舎で生活をする。

 ジョーシは軍の仕事がある。

 ポーレットは学校を休学したものの、日本でする事がないと思う。

 父からの話を聞きつけたメルタは横須賀から陰光周辺に学校管理の寮から一時陰光へ通う事を勧められた。

 ポーレットも承諾した。

 作戦期間は一か月だが、外部からの攻撃がうまくいかない場合は伸びる可能性がある。

 出席日数超過を抱えたポーレットは先々の事を考えながら、この時を過ごす事になる。

 メルタがトップを務める研究チームとアテナ達陰光中学の生徒。

 アメリカ軍の代表として参加したミルズ達の間では会議に参加していない関係者以外にはこの時に話は他言無用となる。

 アテナ達にもその事は厳しく制限された。

 翌日。横須賀基地からは海上から攻撃をする部隊として、重巡洋艦二隻が日米両軍に派遣された。

 参加する空軍は日本から入間基地、静浜基地から戦闘ヘリコプター四機が派遣される。

 アメリカからも戦闘ヘリコプターが派遣される。

 空軍パイロット達はヘリに乗り込んだ。

 各種操縦準備を済ませた乗員達。

「これから江戸湾海上の破壊作戦を行う」

 横須賀基地でも、出発準備が行われていた。

 日本の戦闘ヘリコプターの目の前には破壊対象の黒の塔が見えて来た。

「まもなく、弾丸を発砲する」

 ヘリは操縦を合わせた。

「発砲開始!」

 繊細な装飾がなされた塔にヘリからの弾丸が撃ち込まれる。

 しかし、破片の一つも発生しない。

 上空の攻撃が開始した頃。

 海上には日本とアメリカの重巡洋艦が方位を囲む。

 主砲、副砲を下層部、中層部へ向ける。

「発射!」

 日米、ほぼ同時に弾丸を発砲した。

 この時点、上中下層部で同時に弾丸による攻撃が行われている。

 手持ちの弾薬も終わりに差し掛かり、巡洋艦内部では、魚雷の発射準備が行われていた。

「ふふ~ん♪ 神速の金ちゃんに負けないように私もここで成績残さなきゃね~」

「ふざけるな~鹿住」

「すみませんね~雫川パイセン」

 魚雷の発射態勢が整った。

「バン!」

 海中に埋まっている地下層部へ向け魚雷を放った。

 魚雷を放った影響による水柱が発生した。

 水は雨のように降り、小雨に変わった。

「やったか……?」

 海空とも弾薬は尽きた。

 ヘリには帰りの燃料しか残っていない。

「我々は帰還する」

「Goodbye Japanese pilots.」

 攻撃ヘリコプター達が破壊対象物への攻撃が終了直後。「ぐあ~ぐぁ~」

「うん? 何か聞こえるぞ」

「これはうめき声?」

「何々? まさか、実は生物でしたとか」

 攻撃終了直後の声に艦内にいる乗員まで聞こえる声や音だった。

 攻撃ヘリコプターとは違い、破壊直後の後始末も業務内容に含まれる。

 確認でき次第、日米の基地からも増援がされる。

 弾丸が発砲されたために発生した煙で塔が見えにくい状態にある。

 暫く、靄が収まるのを待っていた。

 その間も発生源が謎の音が広がっていた。

 確認作業のために外へ出た日本軍の隊員が望遠鏡を通して見た。

「はっ! 見えたぞー。そっそ、そんな……」

 隊員が見た塔の姿は無傷。

 ましてや、攻撃前と言っても疑わないほどだった。

「ふふふふふ……ふふふふふ……」

「今度はなんだ?」

 塔外部の装飾から女性像が塔を離れ、各重巡洋艦に近づいてくる。

「とっ、塔の装飾がうっ、動いています!」

 日米の司令官や港で監視をしていた隊員達は信じられない状況にどう抗えばいいのか、考えも浮かばなかった。

 そして、海中からも人魚姫のような姿をした女性が重巡洋艦に登る。

「くっくるな!」

 隊員はピストルを向け、躊躇う事なく発砲する。

 彼女達には何発撃ったとしても体を打ち抜くものの再生し元通りの姿となってしまう。

「やっやめろ……やめろ!」

 男性隊員は人魚に接吻をされた。男性は生気を奪われたようにぐったりした姿になった。

「くっ、なんてやつだ。うわっ! 今度はなんだ?」

「司令官、下から蔦が広がっています」

 海中から出てきた蔦が何者のにも力を借りずに重巡洋艦中に絡みつく。

 艦は徐々に海中へ引きずられていく。

 十分足らずで、さっきまで攻撃していた塔による反抗か。

 作戦を実施した艦・四隻はいなかった。

 その映像をまとめた監視カメラや攻撃に参加していたヘリもEMP攻撃により停止、墜落した。

 陰光大学教育学部付属陰光中学の図書館。

アテナ達は部活の為、集まっていた。

「ガラガラガラ」

 そこには二年い組担任のラレス・サーシャが来た。

「は、は、は……、皆。来て、ポーレットちゃんと皆が来ているわ」



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