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妄想能力者と現実能力者の討伐戦  作者: 忽那 和音
Series2 バベルの塔編
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Episode 47

「アテナさん。終わりましたよ~」MRIを頭の上に向かって抜けた。

 人によっては閉鎖されている感覚があり、苦手だという。

 アテナは何事もなく、眠りにつくように検査台に上がっていた。

 胴体の上には重しが乗せられていて、無理に動こうとすると検査ができない。

 アテナは少々緊張感を帯びていた。

 検査技師が重しを外し、縛られていた肋骨の幅が広がり解放された感覚がした。

「では、待合室でお待ちください」

 私服のままで検査を行える事は負担が低いものだ。

しかし、一日近く病院に縛られてしまうのはどうしよもない事。

生徒隊は各々、病院の機器やシステムに影響を及ぼさない配慮されたものを持参していた。

 アテナは参考書だ。

 参考書と言っても、勉強とは離れたものだ。

 この検査が終業式に倒れて以来、二週間に一度行われている。

 そこまで脳が変わるのかと不思議に思うものも少なくはなかった。

 しかし、昨年の夏くらいから起こった気絶事件は度々起こり、終業式の衝撃は未だに忘れられる事のできない出来事。

 アテナは違和感があった。

 担任であるラレス・サーシャに学級ごとで行われる定期健診について行う日付などを知っている。

 だが、結果内容については全く知らないと言っていた事だった。

 ましてや、自分達が倒れたあの日はとても自分達の事を心配していたと看護師達からは聞いた。

 それ以降に登校してからも全く過剰に。

 むしろ、興味も持たないように日々の学校生活を送っている。

 ミツキは待合室でエレンとアテナの三人でいるときにも言った。

「サーシャ先生って、私達の事を陥れようとしているとか?」

「それはないわ。断じてね」エレンは断言した。

「どこからその根拠は出てくるの?」

「なんとなく……」

 エレンの言葉にミツキはうんざりした。

「でも……、去年初めて一年間ルーム長として活動してきてなんとなく分かったわ。あの先生はクールなところはあるけど、ちゃんと人間らしいところはある。だから、私は詳しい理由もないこの根拠を言えるのよ」

 ミツキとアテナはその言葉を暫くは受け入れる事にした。

 後日。

 再び、放課後に一年い組の生徒達は付属病院の医師達から招集を受けた。

 二か月ほどの間に調査した結果を公表するとの事。

「は~。ここ最近はあまり部活に集中できている気がしないな~」

「私もだよ~」

 ミツキとトリンドルはここ最近、二週間に一回ある検査を受けている。

 自分達が所属する運動部は支障なく参加できている。

 しかし、MUSEの活動にはあまり参加できていないと度々言っていた。

「運動部って、週末もスケジュールが入っているから余計にね」

 トリンドルは根本的な原因を言った。

 彼女達もそうだが、運動部兼任のメンバーにはどちらも欠かしたくないという気持ちが皆強い。

「また、何か案を考えよう。こんな感じがずっと続いたら文化祭もすぐ来ちゃいそうだし」

 アテナは大切な仲間達の為にも、今後の活動策を考えようと今後の課題を引き出した。

 い組生徒達が会場に到着し、席に着いた。

 十数分後には担当医師のチェンヤオとピエール達が来た。

「皆さん、本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。先に結論を言います。結果は特に分かりませんでした」

 会場中にはポカンとした空気が広がった。

「詳しい話は脳神経外科医師のピエール・ド・アズナヴールからお聞きください」

 チェンヤオはマイクを卓上へ置き、席に座った。

 変わり、ピエールはマイクを持った。

「え~、それでは、詳しい話は僕から話をさせていただきます。専門的な話になるので、分からなければいいです。最終的には僕らにも分からないので」

 脳神経外科医師の話を要約すると、はっきりとした理由は分からないが、時に脳の機能が一時的に発達させた部分がある。理由や原因は分からない。

 メカニズムは医師達が考えた仮定に近いものだが、検査をしてみて分かった事しかない。まだまだ分からない事だらけだ。

 会議の最後にチェンは今後も調査を行う。ただ今後終業式と同じ現象が起こるとも思えない。

 以降、生徒達の負担を考え三か月のペースで行うという事だった。

 ミツキ、トリンドル、バン達は部活があると言う。

 彼らは中学へ戻って行った。

 アテナ、エレン、サーカは途中まで一緒に帰った。

 三人とも部活の件について話題にした。

「私達が中心となってMUSEの活動をしているけれど、ミツキ達をあまり参加できない状況はよろしくないわね」

 エレンは運動部兼任のメンバー達に意欲がある中、幽霊部員となる事を恐れた。

「私達はクリエイティブな部活だから、わざわざリアルで対面しなくても他に方法があるのでは?」

「ん?」

 アテナがサーカの発言に良い意味で引っかかるところがあった。

 彼女が言った事は、今後の部活を行う座標となるものだった。

「そっそれだぁ!」

 アテナは夕食後、早速行動に移った。

 澁谷の町は夜も眠らない。

 ビルの液晶画面に囲まれた場所には多くの人々が彷徨っていた。

 縁石や花壇を囲んだブロックには疲れ果てたサラリーマンと学生達がここで夜を明かすかのような心そこにない核がそこらへんに散らばる。

「ここでニュースです」

 急に町の中で放映されていた映像広告から深夜のニュース番組に切り替わった。

「新江戸湾の近海に数日前から高濃度の二酸化炭素が発生している問題で、海上保安庁が監視中に多数の魚が打ち上げられています」

 アナウンサーは続けて、今後の生活に影響があるとした。気象庁からは窓を閉める事や洗濯物を外で干さない事を勧めた。

 ここが東京である事はここにいる者達は皆、知っている。

 だが、彼らには自分達の人生が重要だった。


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