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妄想能力者と現実能力者の討伐戦  作者: 忽那 和音
Chapter 3 青春編 文化祭編
38/255

Episode 38

「あ、エレンちゃーん! サーカちゃーん!」

「あ! アテナちゃーん!」

 アテナは陰光大学近くにある公園に来た。

 ここは陰光大学内外ではバーベキューやキャンプなどができる場所として有名な公園にやって来た。

 中学生だけでのバーベキューは保護者などの見守りが必要だ。それも夜に行うとなると成人の同意や管理が必須となる。

 だが、今回はアテナが創部したクリエィティブ部活・MUSEとしてのバーベキュー。

顧問として活躍したいと思いをもつ教員がいる。

「あ、アテナちゃん! これで三人ね。準備をお願いしてもいい?」

「はい、先生!」

 彼女はマリン・ヘルベドール。

 陰光大学付属陰光中学の図書館司書。

 そして、MUSEの顧問だ。

 マリンは先日の陰光大学教育学部付属陰光中学・高校で行われた学園祭二日目・後夜祭内のイベント、陰光生たちの日頃の鬱憤を叫ぶ大会で自分が顧問として仕事を果たしていないという悩みを告白した。

 アテナやMUSEの部員たちは改めて、活動や慰安会などの参加や相談などは自分たちでできる事が多いが、顧問であるマリンも加えながら円滑に活動しようと話し合った。

 今回は日中に多くの部員達が運動部などの部活への参加しているため、夜に行う事となった。

 もちろん、保護者達の同意の上で行われている。

 運動部に所属していないアテナ、エレン、サーカはマリンと一緒に先にバーベキューの準備をする。

「おーし、だいたいの準備はできたわね」

 マリンは三人の生徒達と一緒に調理前の準備は完成した。

 時計を見たマリンはもうすぐ運動部の部員たちが来る時間だと確認した。

「おーい! アテナー、エレーン、サーカ、せんせいー!」

 大きな声でアテナ達の名前を呼ぶ声がした。それはミツキ。

 さらに、トリンドル、慧、バンもやって来た。

「時間ぴったり、優秀よ皆!」

 MUSEの部員全員が集まった。

 念願かなった顧問としての仕事にマリンはすでに感極まっていた。

「先生、泣きそうですね」

 トリンドルが先生の表情を見て心配した。

 言葉通り、マリンの目には水滴が零れた。

「どうぞ、拭いてください」

 用意の良いエレンはマリンに持っていたハンカチを渡した。

「ありがとう~エレンちゃん。これからもよろしくね~」

 エレンからハンカチを借り、マリンは挨拶をした。

「それは承知したのですが、流石にこの会の終盤に言ってほしい一言です」

 暫くして、マリンは落ち着いた。

 いよいよ、MUSE初めてとなる学園祭後の謝恩会が始まる。

「さ~て、ここでの問題だが……」

 ミツキが真剣な顔をして言った。

「この会での焼肉奉行は誰だー!」

「そんなの、誰でもいいのでは?」

 エレンは呆れた顔で言った。

「いや、これはとても重要な事だよ! だって、一人の管理でこの謝恩会という名のバーベキュー会で提供される焼肉の良し悪しが決まってしまうんだよ!」

「そこまで熱を持って焼肉奉行の責任を務めようとしている人はいないから、ミツキがやったらいいんじゃない?」

 エレンがミツキに提案した。

「いや、私は食べ専だから……」

 ミツキは小声で言った。

「なら、俺がやる!」

 バンが突如、話に入ってきた。

「バンくん、聞いてたの?」

 エレンが驚いた表情で聞いた。

「おー! バン! やってくれるのか?」

 慧が再び問いかける。

「俺は普段から台所で料理している」

 突如のカミングアウトをしたバン。

「へー、なんか意外だよー」

 他の部員たちは意外そうな表情をしたのにもかかわらず、ミツキは他のメンバーと比べて薄い反応を示した。

「なんか、バンて、見た目が筋骨隆々で中学生離れしているから意外に家事好きって事を聞くから、やっぱり家事、できるんかなと思ってたけど……」

 ストロー付けたの一リットルの牛乳をミツキが持ってきたリュック型コンテナから出して、飲みながら言った。

 バンの焼肉奉行宣言の末、野菜と海鮮担にサーカとマリンを配置した。

「それじゃあ、皆は座って順々に持っていくから」

 卓上のグリルを中央に置き、待ちに待ったバーベキューが始まった。

 サーカとマリンは肉を焼く前に野菜と海鮮を焼き始めた。

 次々に盛られていく焼きあがった具材達は血気盛んな中学生達には前菜よりも安いものだった。

 ほとんどの野菜、海鮮が焼きあがり、バンが肉を取りに行こうと動き出した。

 先に牛肉を焼き始めた。

「はーい! 私まだお腹空いてるから、慧のところに多めに送って!」

 ミツキ、慧、バン以外の部員達は想像以上の野菜と海鮮類の量とご飯との進み具合が早く、アテナ、エレン、トリンドルなどは満腹状態だった。

 焼き担当だったサーカとマリンも腹八分目のような状態だった。

 ミツキ、慧、バンは次々と焼きあがっていくカルビ、ハラミ、ロースの牛肉の他に豚肉、鶏肉を焼きあげ、そして食べていく。

「はぁ~食べたぁ~」

 ミツキ、慧、バンは動けないほどにお腹を膨らせて食べた。

「三人とも凄い量を食べたね」

 アテナは三人の食べっぷりに感心した。

 それは牛、豚、鶏の一キロずつ食べていった。

「こんなにも食べられるんだなんて~皆が集まればなんでも怖いものはないね~」

 ミツキは満足げにお腹を左手で労わりながら言った。

 バーベキュー後の休憩として広場に横になったアテナ達、MUSE部員達。

「もうすぐ、冬休みか~」

「まだ、秋だよ~ミツキちゃん」

 ミツキの数か月先の冬休み発言にトリンドルは訂正を促した。実際は三か月程先に冬休みが始まる。

「また、皆で集まれるかな~」

「そうだね~」

 ミツキとトリンドルは黄昏る。

「集まるとしたら、年末年始くらいかしら。その前だと三か月程期間はあるけど、何をするのか……」

 エレンは頭の中に入っていた今年度の予定を述べた。

 しかし、陰光大学は小学校から大学まで二学期制で構成されている。

 そのため、冬休みが終わって二週間の二学期のテスト期間に入り、テスト後は終業式、卒業式を挟んだ春休みの状態となる。

「そうだよね~。冬休みは期間が短いし、春休みも集まれない事はないけど~」

 ミツキ、トリンドルは何か長期休みの期間に何かやりたいらしい。

「ねえ、アテナ。長期休みの期間に何かやらない? ほら、この前の夏休みの期間中にやった個展をまたやるとか?」

 ミツキが部長のアテナに問いかけた。

「それはいいアイディアだと思うけど……、何かある?」

 質問に全体へ向かって質問を返した。

「う~ん。そうだな~」

 部員は皆、考えた。

「異世界とか行ってみたいな~とか」

 トリンドルは漠然としたイメージのものを言った。

「急にどうした?」

 サーカが心配する。

「ほら、皆捻った事を言うとするから、何もアイディアが浮かばないんじゃないかな」

 珍しくきちんと意味を持った事を言った。

「じゃあ、私は美味しいごはんを食べる事!」

 ミツキは自分の食欲。

「普通に勉強してたいわね」

 エレンは理想とはかけ離れた事を言う。

「エレンちゃん真面目だよ~。私は泳いでいるの~」

「トリンドルちゃんはいつもやっている事だね」

「アテナちゃんは何かしたい事ないの?」

「とりあえず、空を飛んでみたいな……」

 アテナはボソッと、どこかのアニメソングやこの国特有の大衆音楽の歌詞にあるような事を言った。

「ありきたりだね」

 トリンドルが率直な事を言った。

「しょっ、しょうがないじゃ~ん! 急に言われても~」

「けど、ありきたりなものから、考えを広げるっていう手は良いじゃないかしら」

 エレンがこれらの意見に賛否はないという事を言った。

 それは、あくまで今後の個展へのインスピレーションを広げるものだった。

 残り半年をきったアテナの中学一年生を部活動に取り込もうと再び計画を立てる事となる。

「皆、食後に寝ると牛になっちゃうよ! あと、私を除いての活動は寂しいからね~」

 後から来た、顧問のマリンに新学期までの部活動の計画について話を聞いていたのか、顧問有りの活動も今後は欠かさずに行わなければならない。



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