Episode 28
い組生徒数人が授業中に溺れる事故が発生して以降、生徒をペアまたは三人と生徒同士で授業を行うという条件の下に一週間後。水泳の授業が再開された。
「は~い。臨海学校だけど、通常通り行います。ただし、ペアになって海で泳ぐっていう感じだから、そこらへんは頭の片隅に入れておくように‼」
「はい! 先生」
金城 慧が手を挙げる。
「どうぞ、慧くん」
「海って深さが違いますけど、結局は泳げるところまでの深さまでは入らないですよね」
「そうだよ」
「そっそうなんだ。じゃぁ、あまり泳げなくても……」
「泳げなくても大丈夫と思った人は大きな間違いをするから今言うけど、仮に足が滑って流された自分でどうにかしなくてはならないから。どの道、泳げないと入れさせないから。そこらへんは覚えといて」
「えぇ~」
小さい声ながらも、サーカは体育教師の発言の度に反応を示している。
その姿は教師の前には見えないが、現在まで水泳ができていない生徒は一年い組ではサーカだけ。注意深く見ないといられないほどとなっている。
「それじゃあ、練習始め」
体育教師の指示の下、生徒たちは各自練習を始めた。
サーカは進捗状況が著しく遅いため、トリンドルと体育教師と共に指導を受ける事になった。
「頼むぞ、サーカ。このままだと水泳だけ点数が付かなくなってしまう。結果的に私の指導不足と判断されてしまうのだから」
「先生、なんか怖い……」
プールに入水したサーカを真顔で見つめていた体育教師の目が恐怖だった。
「サーカちゃん、もう少しで完成だから頑張ろう」
「はぁ~い~」
サーカは二人からの特に先生からのプレッシャーによって、少々涙目になった。
「サーカちゃん、もっと腕を伸ばして!」
「サーカ、足をちゃんと動かせ‼」
トリンドルと体育教師はアドバイスという名の鞭をサーカへ叩きつけた。
「そう! それだ。いいぞいいぞ‼」
「サーカちゃん、良い調子だよ」
そして……。
「やったね! サーカちゃん‼」
「私、泳ぎも息継ぎもできてる。サーカ最後まで泳げたじゃないか」
「えっ、それじゃあ。私……、もう、お荷物じゃない……?」
「ああ、よく頑張ったな」
サーカは嬉しそうな顔をしていた。
「サーカあぁぁぁぁぁぁー‼」
ミツキがプールサイドを走って、サーカのところまでかけてきた。
「ミツキ、プールサイドを走るなぁ」
「ごめんなさあぁ~い! 良かった。ずっと、心配していたから」
「プール中を水しぶきと泡まみれにしたのに……、本当かしら。まぁ、いいか……」
エレンが呆れていたが、サーカの水泳克服した事に嬉しそうにしていた。
「これで、水泳の授業は全て終了。いよいよ来週は臨海学校だ。体調管理はしっかりして楽しもう。あと、中学は全学年旅行関連では皆水泳はするから、これからは自主的に練習するように」
「\\\\\\はい‼ //////」
い組は来週に迫った臨海学校のスケジュールを確認するために授業の時間を使い、旅の栞を確認している。
「アテナちゃん、アレルギーってある?」
「私、甲殻類が食べれない」
「僕は、豆が食べれない」
「アテナちゃんと慧くんがアレルギー持ちっと、あとは大丈夫?」
「大丈夫です」「僕も」「俺も」
アテナが所属する班には、エレン、トリンドル、バン。そして、慧がいる。
ちなみに、班長はトリンドルだ。
「それじゃあ、これで提出してきまぁ~す」
トリンドルは各種書類を提出しに行った。
学校の帰り道。ミツキと一緒に下校していた。
「はぁ、海か~」
「どうしたの? アテナ」
「いや、私。まだ海に行った事が無いから、どんなところか楽しみで」
「海はね~塩くさいにおいがするよ」
「塩……くさい……。なかなか、想像するのは難しいな」
「まぁ、行ってからのお楽しみだね」
アテナは塩くさいというものがよくわかっていなかった。




