Episode 24
夏休みスタートまで、あと五日。
クリエイティブ部活・MUSEは夏休みに開催予定の個展を目指している。
体育祭後、早速展示準備をしていた。
ほぼ毎日練習や試合のある運動部と兼任している生徒が多い。
計画の進行状況については、メッセージを使い共有するようにしている。
決まったスペースで予算の余裕を保ちつつ、作品作りを進める。
しかし中学生は時間と労力の制限がある。
MUSEの知り合いに工学の専門家や芸術に詳しい人達からアドバイスをもらう。
個展に反映できるように試行錯誤する。
大きな荷物を抱えたミツキが椅子に座るアテナに声をかけた。
「アテナ、お疲れ~。進捗状況はどう?」
「あっ、ミツキちゃん。映像の方でちょっと大変かな。入口とかは終わったから、イラストは絶賛制作中だよ。完成すれば、入り口は完成だね」
「分かった! 運動部はあまり来られないけど、幸い週末も開放してくれたりするからありがたいよ」
「そうだね。あっ。また、何かあったらグループに連絡するね」
「ありがとう! 頑張って」
「うん!」
ミツキは足早に部活棟に向かった。
アテナは机が展開されたままの空間を一人黙々と作品作りに取り掛かっている。
教室に強い西陽がかかる中、気にせず画面に向き合っていた。
「イラストを流してアニメ風に映像が流れるようにして、メインの戦闘シーンを作れば……。よし」
「あら、アテナちゃん」
掃除から帰ってきたサーカが戻ってきた。
「今日は部活無いから作業の方を手伝うわ」
「サーカちゃん、ありがとう。ちょうど、戦闘シーンの映像ができたから、このあとイラストを描こうと思うの」
「分かったわ。画材を取ってくるわ」
「ありがとう」
画材を貰いに生徒会へ行く。
サーカに仕事を任せたアテナは手を動かしている。
最初はプロジェクターなどから色や微細な風景、静止画を使い空間を表現する。
正面でメインの戦闘シーンを数十秒間隔で動かしたイラストでアニメ風にシーンが始まる。
映像のラストは次の展示スペースへ移るようにキャラクターも同じ方向で進む。
最終のスペースでは白を基調とした神格化したような姿となり、シーンが終わる。
展示が終わる。
中学生レベルでどこまでできるのか。アテナや部員達は分からない。
彼女が想像したものを表現できるのはとてもいい機会であり、大きなチャンスだ。
MUSEの活動は連絡を取り合い、放課後を中心に進む。
夏休みまであと二日。
作品作りはほぼ終わっていた。
会場の陰光大学に許可を貰っていた。
夏休みの期間に個展を開催する西-B棟・展示室-五にて設営準備していた。
画材を保護するパネルをミツキ、エレンが持ってきた。
「パネルを設置して小分けにすれば、スペースによって雰囲気が変えられるからいいかな」
「それじゃあ、あとは計画した通りに設置していくわね」
「お願い」
トリンドルは折りたたみ式のホワイトボードを持ってきていた。
「わぁーバン君手伝って!」
「トリンドル。無理すんなって」
「えへへ」
無事、大きな事故を起こさずに帰ってきた。
アテナは最終調整としてBGMの聞き具合を確認した。
「アテナちゃん? エレンさんに呼ばれて来ました。分からない事があれば教えてね」
「ありがとうございます」
陰光大学で音源機器に詳しい学生が聞いてきた。
エレンの紹介で、音声設定などについて助けてほしいとお願いしていた。
彼女の行動にアテナは流石、ルーム長の鏡であり、良い仕事ぶりをすると感心していた。
明日が夏休み当日。
部員達は修了式を終えた。
午後からは部活が始まり、各教室には生徒達も教員もいなかった。
昼食後に大学の展示場所へ集まった。
ミツキは完成した会場を見ていた。
「いよいよだね」
「そうだね」
アテナだけでなく、関わった部員達が満足げに思う。
「一応、念のためって事で機器の確認とかしようと思って。皆も夏休みは遠征とか試合とかで忙しいだろうから、最終確認として。あと、個展開始までの心構え的なものも含めてね」
「いいと思う。運動部は皆来られないけど、文化組で頑張ってほしいな」
アテナの言葉に反応した部員達。
全員がアテナを中心に集まる。
アテナは抱負を述べようとする。
「短期間でここまで手伝っていただいた事を感謝申し上げます」
「いや、硬いかたい!」
「あっ! いけない……」
ミツキに指摘されて気づいた。
またしても、硬い口調で始まってしまったと反省するアテナ。
「でも、皆で作り上げたものを。最初のものを見に来てくれた人達に感じてもらいたいと思います。来られない人達の分まで頑張ります」
「頑張ろう」
「頑張れ」
「\\\\\\頑張ってください//////」
いよいよ、夏の芸術展示が始まる。




