Episode 106
エレンが船を後にした直後。
バンも続いて武器を発言させた。
中距離攻撃担当としての役割を果たす為、上空にいる小型中型生物を倒していた。
「は! バン君」
「先生。一人で頑張って頂いてありがとうございます」
バンは丁寧に礼をする。
先に海上に停泊している軍の船を守っている図書館司書のマリンと合流する。
彼女の姿は本を開いたまま、指先からビームのような線を放つ攻撃をしていた。
「そんなことより、皆バラバラになっちゃったなんとしても中継地点のここを守らないと‼」
バンと向かい合いながら拳を強く引く。
「バン君。とにかく、中間管理職クラスを狙おう!いいね」
「はっ、はい……」
バンの心中。本当にこの人に突いてきていいのかと感じてしまう。
中距離攻撃だから、中間管理職を狙うのか。
まあまあの功績を上げればそれなりに役に立ったと思われたいのか。
彼女の指示に従い、後々数を減らせば楽だという考えで小型と中型生物を倒していく。
しかし、先ほどまで共にしていた隊のトップ達が見当たらない。
既に出たメルタとアテナ、ミツキ、エレンは遭遇している可能性がある。
また、そのまま雲隠れしているという予想もできる。
バンは武器を振りかざす。
彼もミツキと同じように炎属性に該当する武器を持つ。
その炎は白。
ミツキの持つ剣から発せられる赤いものとは異なる。
中距離型と言われる通り、目の前まで近づかないと攻撃のできないミツキとも異なる。
二メートル以上離れた敵も一振りで、白き潤沢の火により焼ける。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハ……。一通りここは大丈夫か……」
「へぇ~。君、これで勝てるって正気で思っているんだ」
気配に気がつかなかった。
バンは少年の言葉を耳にした直後、ジーンとした音が左から右へ突き抜ける。
後ろを振り向くが誰も姿がない。
「バン君? どうしたの~」マリンが聞く。
「先生。耳がジーンって」
「あ~。それは耳鳴りだから、しばらく休んだ方がいいわ」
「そんな事言ってる場合ですか!?」
状況に合わない答えを口にする教員に場所を考えろと言いたかったが、立場が上のマリンには強く言いにくかった。
「先生。あいつらって、透明人間になれたりするんですか?」
「あ~。まあ、さっきも雲隠れしてた生物もいるし、研究して隠れてるんじゃ無いかな?」
次々に出てくる大型生物。
小隊長、中隊長級の隊員。
エレンも向かった通り、必ずこの海の先には何かが隠れている。
「結局、進むしか無い。耳がどうした!?」
バンは再び海の先へ進む。
「ふん。懲りないね。僕の攻撃に逃れられると思っているの?実に浅はかだ」
耳の異常と外部からの干渉を伴いながら、ベールに包まれた場所へ向かう。
ーーーウィリアムの回想。
生まれてからすぐ研究者の父が亡くなった。
その後は母からの熱心な教育により、世界有数の大学へ進学。
幼い見た目から周りからはかわいがられる反面。
馬鹿にされたこともあった。
大学では言語学の才能があると進められ、地球の言語もマスターすることができた。
卒業後は学者との道から距離を置く生活をしていた。
だが、世の中の不条理と思想は僕を不自由へ導く。
唯一の自由に研究ができる場所と言えば世界で軍内部だけだった。
ジャック、ヴェラ。そして、親愛なるカイル大隊長という大切な仲間と出会うことができた。
僕はどれだけ苦しくても、それだけが幸せ。
思想《力》に踏みつけになっても、大丈夫だと思っていた。
ーーー回想終了。
ウィリアムは軍の本部がある南を目指すバンを左右上下と付きまとう。
彼の鼓膜を破壊し気絶させようと時を待っていた。
(くっ、この人。足が早い。しかも周りに炎の粉末? なんか、近づいたらまずい気がする)
バンは武器出現のみとなっている。
しかし、副作用的な役割で攻撃時や振るだけで金粉など輝く功績が粉末として周辺に散らばる。
金粉の貴重さが分からない動物や向こう側からやって来た生物達には一つも分からなかった。
前進するバンは背後にいるウィリアムが左後ろにいることは気づいていない。
バンは時計回りに体を倒した。
(今だ!)
ウィリアムはチャンスを逃すまいと彼の左耳元に向かう。
「はぁー‼」
勢いよく空気を吸う。
母音の「あ」と同じ大きく口を開いて声を出す。
なぜ、右下を向いていた顔がそのまま後方を向いているのか。
攻撃直前だったウィリアムには瞬時に理解することができなかった。
バンは突き出した拳から炎に包まれ、全身が燃えている。
その際部には確実に全身武装の生地が見えていた。
ウィリアムは海中へ落ちる。
後々の事は詳細に覚えていなかった。生徒達を乗せていた船が浮いていたウィリアムが回収した。
「バンく~ん! めちゃめちゃかっこいいね~。先生、もう教えることないよ~」
周辺の対応が落ち着いたマリンはバンの元へやって来た。
「先生。まだ、終わってないです」
「ぐじゅ~! はっ、ごめんね。そうだよね!」
マリンは特別に持っているバックからティッシュを取り出し、顔をきれいにした。
二人はエレンが向かったカーテンの先を続けて目指す。




