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妄想能力者と現実能力者の討伐戦  作者: 忽那 和音
Series3 UFW編
107/257

Episode 105

 真っ黒の空間を抜けたサーカ。

 再びまぶしい光に照らさせた世界に戻ってくる。

「うん……。まぶしい」

 ゆっくりと目を開ける。

 先ほどと変わらない光景が広がる。

 周りを見ようと後ろを向こうとするが、体が動かない。

 腕は上に、足は広げて拘束されている状態。

「なっ……、何!? これ‼」

「ふふふ。ちょっと、君の事を知りたくってね」

 船上にいる時の脳裏に聞こえて来た男性の声。

 今の声は確実に耳に受け取ることができた。

 サーカは前方を向く。

 そこには、数人の女性と囲むように男性が一人。

 集団の左右後ろにはメイド服の女性が二人いる。

「あっ、あなたは誰ですか? はっ!」

 遠くて詳細な人物像というものは浮かばないが、なんとなくの形が思い起こされる。

「あなたは、薄着の女性を乱暴にする変態ですね!」

「はははははっ。乱暴か……」

 複数の女性が持つ豊満を下から触れながら高笑いする。

「酷い言いようですね。カイル様」

「全くだよ」

 薄着の女性は甘い声を上げる。

「あなた達は日本に侵略している最中にもかかわらず私を拘束する理由はなんですか?」

 いつにも増して、感情込めて言った。

「さっきも言った通り、君を知りたいんだ。君、僕の下僕にならないか?」

「なりません‼」

 きっぱりと断る。

「なら、力尽くでも僕の物になってもらおう」

 男は瞬時にサーカの目の前に現れる。

「しばらく、快楽の世界へ眠りなさい」

 白い手袋をした左手を彼女の頭の上に覆う。

 手からは黒い霧が漂う。

「こんな……」

 中世に作られたヨーロッパにある建物。

 大きな通路の奥には彫刻が施された扉がある。

 先ほどまで拘束されていた両手足は自由に使える状態になっている。

 耳からは男女の交わる声。

 二階から下へ伸びる柱の奥には陰が作られている。

 声の発信源はそこからだった。

 しかも、複数組が同じ事を行っている。

「何これ……。健全も何も無い」

 逃げるように大きな扉へ向けて走る。

 扉を力強く開ける。

 しかし、汚らわしい地からは逃れられることは無かった。

 周りを囲み真ん中に国のトップが演説する場所。

 そこに行為に及ぶものはいなかったが、血が机、椅子に張り付く。

 床には分からない透明な液体。

 中学生として日頃の授業を受け、人体について学習するサーカには大体の形として理解する。

「こんな世界……絶対に違う」

 後ろに気配を感じる。

 振り向くと服を乱した不摂生な男性が寄ってきた。

 サーカは悲鳴を上げる。

 手元には何の武器も無い。

 ただ、身につけている鉱石を除いては。

「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ。消えてくださーーい‼」

 彼女の声は議会中に響く。

 絶体絶命の状況。

 だが、何も近づいてこない。

「サーカ。いい加減。目を開けなさい」

 聞き覚えのある女性の声。

 言われた通り、頭を包んだ両腕を退け、目を開く。

 上を見上げると、塔の作戦時に男性といかがわしいことをしていた女性だった。

「なっ、なんでいるんですか?」

「力を与えた人を責任もって見守るのが、保護者の責任よ」

 サーカは涙目になり、彼女の全身を見る。

 依然と比べれば服を着ている方。

 しかし、布を着ていても透ける部分が多いものだった。

「そんな破廉恥な格好で保護者って言っても説得力ないですよ」

「一言多いわね! あなたが色々言うから、服を着てあげたのよ。私は服を着るのが嫌いだわ」

 女性は鞭を持って寄ってくる多くの男性をなぎ払う。

「ここの人達、正気無いわね。あの男、相当酷いよ。頭の中」

「どうしてそんなことが……」

 女性は話を続ける。

「これは男の脳内環境が悪いとこんな世界になるのよ」

 彼らが持つ武器に加えた黒霧の力は未知のものだ。

「現実に戻っても力は余り貸せないけど、あいつに用があるからそこまでは助けてあげる」

 女性は寄ってくる人々を蹴散らしながら、外へ向かう。

「行くよ」

 サーカの手を取り走る。

 目の前には光が入る。

 外へ出る扉だ。

 二人は外へ踏み込んだ。

「ふふふ……。また一つ僕の奴隷《=コレクション》が増える」

 大隊長はサーカの顔に触れようとする。

「ちょっと、汚いです‼」

 近づいてきたカイルの股に解放された足で蹴り上げる。

 男は四つん這いになる。

「くっ……、洗脳したんじゃ」

「うちの子が洗脳されるわけ無いわ‼」

 サーカの鉱石から現れたのは先ほどまで一緒にいた女性だった。

「おっ、お前はアスモデウス」

「あら、何千と関係を持っている方が一度も手を出せなかった私の事を覚えているだなんて偉いわね。頭を撫でてあげたいわ」

「くそっ」

 カイルは舌打ちをした。

「えっ、アスモデウス……」

 サーカは彼女の名を初めて耳にした。

「あれ? 教えて無かったっけ?」

 本人も自分の名前を言うことを忘れていた。

「なんで……、なんで私だけ力を与えてもらったのが悪魔なの~‼」

 サーカは体育座りとなり嘆いた。

「仕方ないでしょ。上からの命令で特別に私が力を与えてあげているんだから。それに、私の名前を使えば沢山の男と……」

「しません‼」

 真面目に悪魔からの提案を拒否した。

「くっ……。私を差し置いて、勝手に盛り上がるなー‼」

 男は二人の方を向いて指を指す。

「変な誤解しないでよね。彼女には用がないの。問題はあんた」

 アスモデウスは大隊長へ近づく。

「せっかく私がいいところだったのに、うちの子へ脳内干渉しないでもらえる?」

「干渉……。フフフ、何のことだ?」

「こっちはサーカからの一声があれば強制的に呼ばれるんだよ‼」

 彼女はカイルを蹴り飛ばす。

 寝た状態の彼が足を開いた瞬間を狙って、真ん中にピンヒールを当てる。

「あああああー‼」

 周りにいる女性達は彼を心配する。

「カイル様」

「私の事はいい……あの……少女を」

 サーカを攻撃するように命令する。

「はい!」

 複数人の女性達が襲ってくる。

「サーカ。戦いなさい!」

「うえー‼」

 両腕は攻撃を防ぐ格好となる。

 その瞬間。再び鉱石が輝く。

 両腕を降ろす。

 そこには腕や服が替わっていた。

「これが……。全身武装。私、戦える‼」


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