Episode 103
水の世界へ向かってしまった少女。
皆、その時大切な物を失った喪失という槍に内面的に攻撃を受けた。
しかしそれは数分後に消し去られる。
自力で戻ってこられないと思われた。
彼女は武器の発動した後に、全身武装をすることに成功した。
自身を海へ沈めた空中を行き交う大蛇の打倒を目指す。
武装を身に纏ったミツキは上空を浮遊するな否や、自身の剣から橙色に輝く炎竜を作り出す。
竜は海上にいるエレン達を乗せている船。
近づいてきた敵によって出現させた小型から中型生物もろとも燃やし尽くす。
彼らの残骸は破片のように散る。
そして炎竜は上空のある地点から消えて行く。
防御壁内は外部からの攻撃を防ぐものとしての役割として構築に成功する。
防壁構築後の現在。
ミツキは防壁外の上空に浮上した。
守りを張ったものの、巨大蛇は見向きもせずに本土へ向かう。
同じく行く先の方向を向く。
彼女は普段では想像も付かないほど。
それは試合の時にゾーンに入りかけの時と一緒だ。
息をスーッと吸い吐く。
「あのでかいの。あのまま基地や関東に。止めなきゃ」
ミツキは休むこと無く、陸地に向かおうとしている蛇へ追いつこうと向かう。
横須賀基地・施設Gの屋上。
サーシャ率いる遠距離チームは未だ戦況を伺っている最中。
しかし、望遠鏡によりミツキが追いかけている大蛇の存在には気づいていた。
詳細な能力が不明生物はすぐそこまで近づいている。
攻撃への対応を何もしないというのは、軍として考えられない事態。
これまで手厚い支援をしてきた横須賀基地も国民保護の為。
海上へ作戦に参加している生徒が近づいてきたとしても、主砲により遠距離攻撃を行うという。
その話を聞いたトリンドルや莉達は絶句した。
「先生‼ 大事な生徒を殺していいんですか!?」
トリンドルは今まで見たことの無い顔と声音が出てしまうほど。
担任も近づいてくるミツキよりも、異常な反応を見せるトリンドルのことを心配した。
「あの、トリンドルさん。何か忘れているようだけど、鉱石を所有している物は現代の物理攻撃は基本聞かないわ」
仮の防御要素が備わっている全身武装化には、特殊な工具などを使わない限りは当たらないという。
「けど、軍が攻撃したら、蛇も同じく攻撃は受けないんじゃないんですか?」
莉は武装状態と生物への攻撃について共通があるのではないかと言う。
しかし、サーシャは個体の過去を知ることに着目した。
あの生物が誕生したのは今回だけでは無い。
それは、地域、誕生した仮定、消滅あるいは死んだ経緯というものを研究することによってより効率的に作戦の段階を移すことができると言う。
「蛇の弱点は目よ」
サーシャが事前に想定して調合した薬草などを火薬に混ぜた砲弾を事前に軍へ送った。
今回の攻撃にしようするのもその一部。
「サーシャさん。攻撃準備完了しました」
横須賀からの攻撃を決定する作戦本部から通信でミサイルなどによる攻撃準部の報告が同行している女性隊員から伝えられた。
「分かりました。本部にはこちらも大丈夫ですと伝えてください」
「了解です」
速やかに返答をする。
準備完了報告から一分後。
派手な発射音とともに大蛇へ向けて砲撃を開始する。
その報告を受けていなかったミツキは驚き最も安全である蛇の後方へ隠れる。
全身武装化時の基本的な物理攻撃からの無効化を聞かされていいなかった。
ミツキは基地が自分の存在を気づいていないのか。
分かっていて砲撃しているのか。
まだ、このことにかまっているほどの余裕は無かった。
しかし、蛇の間近を爆発する時に放たれた破片は確実に纏っている武装の防衛システムの影響により、破片は全て粉くずよりも小さな粒子と化している。
対して、多くのミサイルによる攻撃を受ける蛇。
爆発により、視覚、聴覚が騒々しくなる。
そのため進行スピードが先ほどよりも遅れる。
最後方まで下がったミツキ。
前から進行を妨げているミサイル攻撃により頭からの攻撃はできないと判断。
後方から剣で焼きながら切ろうとする。
進行方向へ前進しながら、どうやって堅い体を壊すかを考えていた。
体が硬い。打撃の作戦は難しいと考える。
なら、周りを柔らかくしようする。
自身を回転させながら、蛇の先端から火力を上げていく。体は長い。
普通の刃物による攻撃に加え、火を加えて焼きながら切り開いていく。
剣からの炎を巻き上げる。
尻尾の上から垂直に刺す。
「堅い……」
体の先の方からでも強烈な筋肉の固さが伝わる。
しかし、彼女の体は止まらない。
剣には多くの炎を送りながら身を切っていく。
だが、それは相手も同じだった。
体が切れていくのにもかかわらず、進行は止まらない。
「ミツキさん。焼きながら切っているけど、こっちに来るまでに間に合うかしら」
サーシャが心配する。
彼女と交信する術は無い。
「こちらで判断して、いい時に砲撃を行います」
ミツキは反射神経がいいと知っている。
それに任せてサーシャは砲撃の時になるまで彼女を信頼する。
蛇の解体作業を始めて十分が経過した。
「あー。体が長すぎる‼」
しかし、彼女の切った範囲は三割を超えた。
ミツキはもっと速度を上げようと羽を作りより速度を上げる。
しかし、蛇もその存在に気づき始めたのか肌がさらに堅くなる。
肌が鮫肌のようにざらざらとし始めた。
アテナもミツキの心配を始める。
しかし、メルタとキュバリルから離れる訳にはいかない。
横須賀基地では、徐々に大蛇が大きくなってきた。
「もー! ミツキちゃん何してるの? 先生の砲撃に巻き込まれちゃうよ‼」
トリンドルは命の危険が目の前にあるにもかかわらず、巨大蛇に挑んでいく彼女の姿にハラハラし絶叫する。
これまで切った部分は半分。
しかし、目と鼻の先には基地がある。
「もー‼ こーなったら‼」
ミツキは作業をやめ、蛇の口元へ行く。
「ミツキちゃん。何してるの!?」
彼女の行動にトリンドルだけでなく、蛇に対しているサーシャ達も驚く。
そして、ミツキは蛇に飲み込まれた。
トリンドルは涙する。
「さようなら……。ミツキちゃん」
しかし、担任は目をこらして蛇の状況を見る。
「まだよ」
サーシャの言葉にトリンドルは目を開ける。
蛇の口から徐々に尻尾にかけてドンドンとして音が響く。
そして、内側から焼かれていく。
「ガアー‼」
蛇は焼かれながら海へ落ちていく。
「ジュワー! ジュワー!」
「はっ、はっ、はっ」
ギリギリの判断でミツキは蛇との戦いに勝利した。
「あー。良かったよー‼」
間近に彼女と接してきたトリンドルは胸をなで下ろした。
「おっ……、おなかすいたー‼」
しかし、彼女の一言により担任のサーシャも一安心した。
あまり接点の無いミツキの姿に一色兄弟は目が点になった。
「はーい。おにぎりですよ」
「おにぎり‼」
ミツキは横須賀基地の食堂で作られたおにぎりに飛びつく。
「バーン‼」
海上から大爆発が起こる。




