表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄想能力者と現実能力者の討伐戦  作者: 忽那 和音
Series3 UFW編
103/256

Episode 101

 横須賀基地・施設屋上。

 戦いへ参加し負傷者達の受け入れをする。

 その他に、アテナ達近中距離攻撃をメインとするチームとは別にもう一つの部隊がいる。

 二年い組担任のラレス・サーシャ率いる遠距離攻撃部隊だ。

 メンバーはい組生徒のトリンドルと王・インドラ・莉。

 そして、彼女たちにとっては先輩となる一色兄弟の大樹と春菜。

 トリンドルと莉はリアルな戦いの舞台に少々怯えていた。

 サーシャ、一色兄弟は堂々と立っている。

 反対に、二人はうつ伏せの状態になり、望遠鏡で海の方を見ていた。

 この場に留まってから一、二時間経過した。

 戦況が変わらずにいる現在を退屈に感じ始めた二人。

 時々声の無いあくびをすると、一歩後方に立っている一色春菜から冷たい目で見られる。

「トリンドルちゃん。こんなところで眠気を感じるなんて流石だわ」

「え~。それほどでも~」

 トリンドルは照れて後ろの頭を右手で掻く。

「こんな顔の人に、こう言われて嬉しがる。あなたはほんと凄いわ」

 トリンドルだけには分からなかった。

 しかし、その場にいる人達からは彼女から溢れる冷たい空気によって、秋の空気がさらに冷たくなった。

「二人とも静かに!」

 サーシャが話す彼女たちに注意をする。

 前方の監視をする。一つのミッションとしている。遠距離チームは明白だった。

「ミツキさんが武器を出したわ」

 荒々しい幾つもの炎は周りの敵を浄化するものに見える。

 それは火よりも輝く日に見えた。

「うわぁ~! まぶしーよー‼」

 トリンドルは激しい光に両手で目を塞ぐ。

「ついに、ミツキさんが……」

「えっ?先生、ミツキちゃんがどうしたんですか?」

 剣の出現時に発せられた強風が屋上にいるトリンドルを襲う。

 その風力はすさまじく間近にいるサーシャの声さえもかき消すほどだった。

 十秒後。強烈だった風は穏やかになった。

 トリンドルは武器を出したミツキの姿を見る。

「みっミツキちゃん!? どうしよー‼ ミツキちゃんが燃えちゃうよー‼」

「落ち着いてください。トリンドルさん」

 サーシャの一声に、はっと落ち着いた。

「あの炎はミツキさんの所持する武器。エッケザックス」

 彼女が持つ一部能力の覚醒により、防衛隊側の総力が一気に向上した。

 しかし、その力の発動を狙ってか、これまで出てこなかった巨大生物が姿を現した。

「あれは修蛇よ」

「修蛇……」

「ええ。中国の南部にいる」

 かつて、巨大な体で大規模の津波を起こしては人々を襲った。

 そして多くの人々を苦しめた罪により殺された。

「けど、なんでこんなところに……」

「おそらく、湖に沈めていた遺体を生き返らせたのよ」

 ミツキの武器出現により、相手勢力は巨大生物の投入とともに、歩兵などの増援をする。生徒達の中で武器の覚醒者が二人となった。

 しかし、戦況は数的に厳しい状態が続いている。

「くっ……。こんなでっかいのどうやって」

 ミツキは大きさから大蛇の処理に手が踏み出せなかった。

「ミツキさん。最初の課題はクリアしたわ」

 通信機器を持たない。

 だが、彼女の脳内には確かに副校長。メルタ・エーマンの声が響いていた。

「武器の出現は大前提の課題。けれど、最終目標は全身武装。そこまで持ってくれればありがたいわね」

「全身武装……」

 その言葉にミツキは塔の作戦時に見たアテナの姿を思い出す。

 自分にあそこまでする力があるのか、分からなかった。

 しかし、やるしかなかった。やらなければならなかった。

「先生。私、完璧じゃないかもだけど、やるだけやってみるよ」

 心を決める。彼女の剣だけでなく、彼女からは火の色とその物が周りを包む。

 顔を上に上げる。

 頭上よりもさらに上には、巨大生物から生まれた歩兵がミツキへ向かう。

 彼らを超え、ミツキは巨大蛇を切る。

 地面の無い空で風を頼りにミツキは乗る。

「おりゃー‼」

 ミツキは右手に持つ剣を逆時計回りで上空へ駆け上がっていく。

 次々に襲いかかってくる。

 上を見ても間を抜ける隙間がほぼ無い。

 ほとんど同じ個体の歩兵。

 たまに飛行タイプの鋭い刃物が特徴の翼を持つ生物も襲いかかってくる。

(くっ……。一体、幾ついるんだ)

 内心、心の容量がつきかける。

 それは日々の厳しい環境に置かれている自身でも、こんなにも減りの早さを痛感している。

 だが、この作戦に参加したからには。

 家族を守る為にも、ミツキはここで引く選択は無い。

 ただ、前に進み巨大生物を切るだけ。

「おりゃー‼」

 限界を超えた心のまま、上空を上っていく。

 頭上にはやっと大蛇の腹が見えた。

「これで……、私の……」

 ミツキの剣は確かに巨大生物の腹部へ当たった。

 しかし、彼の体は鎧そのもの。

 全く歯が立たない。

 そのまま投げ出される形でその体は地球へ向かう。

 大蛇は彼女の存在に興味が無い。

 しかし、尻尾が現れる。振り落とされる形で勢いも加わり強烈な力によって、海に打ち付けられる。

 その姿に基地待機のサーシャ、トリンドル。

 船内にいるエレン、バン達。

 そして、上空で戦うマリン、サーシャ、アテナ。

 直後に手を差し伸べられなかった皆は後悔する。

 いつか裏切られたと思うのでは無いかと。

 アテナ、メルタはその気持ちを手元の武器に携えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ