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温泉女子会2です

 夕食後、約束通りみんなで温泉に入った。


 ヒナとキクの視線は当然のようにエリスの双丘に釘付けになる。


「あの...失礼ですが、エリス様っておいくつになられるのでしょうか?」


「なんでみんな私の歳が気になるのかしら? 来週の10日に誕生日が来て16だけど」


「じゅ、16でそんな我が儘ボディに!?」


「ああこれ? デカくたってなんも良いことないわよ? 肩は凝るし、汗疹が良く出来るし、ちょっと走っただけでポヨンポヨン揺れてバランス取り辛いし、服はサイズに合うのが中々見付からないし、男どもからは邪な目で見られるしね。散々よ。取れるものなら取っちゃいたいくらいよ」


「...それでも無い者からしたら憧れるもんなんですよ...」


 その場に居る全員を代表する形で、ヒナが血を吐くように呟いた。


「そういうものなのね。ところであなた達はおいくつなの?」


「私とキクは同い年で二十歳になります」


「あら、じゃあこの中で一番お姉さんなのね」


「ところでエリス様、誕生日が来週って本当ですか?」


 そこにユリが割って入った。


「えぇ、そうなの。それで悩んでてね...」


「おめでとうございます。お誕生日会やりましょうね。って何を悩んでるんですか?」


「それがね、カイも同じ日が誕生日なのよ」


「えぇっ! それって凄い偶然ですね! だったら盛大にお祝いしましょうよ!」


「ありがとう。それで何をプレゼントしようか悩んでるのよ。男の子って何を貰えたら喜ぶものなのかしら?」


「そりゃあ好きな女の子に貰った物ならなんでも喜ぶんじゃないですかね?」


「好きな女の子って...」


 エリスは逆上せたように真っ赤になった。


「カイ君の趣味って何ですか?」


「...知らない...」


「好物とかは?」


「...分からない...」


「......」


 盛り上がっていた場はシーンと静まり返ってしまった。


「ほ、ほら、良く手作りの物をプレゼントすることあるじゃないですか。刺繍の入ったハンカチとか手編みのマフラーとか。そんなの如何です?」


 ヒナが取り成すように提案するが、


「私、そういう女の子っぽいこと昔から苦手で作ったこと無くて...」


 再び場が静寂に包まれてしまった。


「じゃ、じゃあ私がカイ君にそれとなく聞いてみますよ。エリス様、元気出して!」


「うん、ありがとう...」


 ユリが何とか纏めたが、微妙な雰囲気になったまま女子会は終了した。



◇◇◇



 一方その頃カイは、手の平の上で赤い石を玩んでいた。


「エリス、喜んでくれるかな?」


 これは魔石と呼ばれる石で、魔獣を倒すとたまに体内から見付かる。魔力が籠められたもので、これを使えば魔力が無い人でも魔法が使えるようになる。優れものなので高値で取り引きされる。


 エリスはこれを使わなくても魔法が使えるので必要無いが、宝石のように美しいので鑑賞用としても価値がある。魔獣の子供を捕まえる時、邪魔して来た魔獣を倒した時に手に入れたもので、金の無いカイにとっては願っても無い贈り物だった。


「喜んでくれるといいな...」


 赤い石はキラキラと耀いていた。





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