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あっさり白状しました

誤字報告いつもありがとうございます。

 カイは首を捻っていた。


 食事を終え、今から小屋に戻るところなのだが、行きの道中であれだけハシャイでいたエリスが、帰りは借りてきた猫のように大人しくなっている。ただ黙ってカイの背に乗っているだけだ。


 結局、乗っている間、エリスは一言も話すことはなかった。自分が何か粗相をしてしまったんだろうか? 小屋に着いてからカイは恐る恐る尋ねた。


「あ、あの...エリス? 僕、なんかしちゃった?」


「へ? な、なんで?」


「い、いや、なんとなく...急に元気がなくなったから、僕がなんかマズいことしたのかなって...」


「ち、違うよ! カイのせいじゃないから! 寧ろ私のせいだから...」


「そうなんだ、良かった~」


 最後の方は良く聞き取れなかったけど、自分のせいじゃないと分かってカイはホッとした。


「あ、そうだ。エリス、これ」


「何これ? ペンダント?」


「うん、さっき街で見掛けてね。エリスに似合うと思って。僕、あんまりお金持ってないから安物で申し訳ないんだけど」


 そう言ってカイが恥ずかしそうに取り出したのは、エリスの瞳の色に合わせたアクアマリンのペンダントだった。


「僕を助けてくれたお礼と、これからもよろしくねっていう思いを込めて。受け取ってくれると嬉しいな」


 カイの照れたように笑う顔を見たエリスはもう限界だった。カイに抱き付きワンワン泣いた。急に泣き出したエリスに戸惑うカイ。


「え、エリス? ど、どうしたの!?」


 泣き続けながらもエリスは全てを語った。魔獣の間引きをした時の攻撃がカイに飛び火して怪我を負わせたこと、本当のことを言ったらカイが離れて行ってしまうと思って黙っていたこと、これからもカイと一緒に暮らしていけたらいいなと思っていること。などなど。


 だがさすがに、移動手段として重宝してるからという理由だけは言わなかった。というか、言っちゃいけない気がした。


「そうだったんだね...分かったからもう泣かないで、エリス」


「ひぐ、うぐ、ごべんなざい...」


「謝らないで。エリスは何も悪くないよ?」


「だ、だっで、わだじ、もうぢょっどでガイをごろずどごろで、ふえーん!」


「違うでしょ? エリスは僕を狙った訳じゃないんでしょ?」


「ぢ、ぢがうげど、で、でも、だっで」


「エリスは魔獣を狙った。それだけでしょ? たまたま僕に当たったかも知れないけど、それは事故だよ。それにさ、本当にエリスの攻撃が僕に当たったかどうか分からないでしょ?」  


「ぞうだげど、でも...」


「だったらこの話はこれで終わり」


「許じでぐれるの?...」


「許すも許さないもないよ。怪我をした僕をエリスが助けてくれた。これは事実なんだから。僕は感謝こそすれ恨んだりなんかしてないからね?」


「ありがどう...」


「えっと...エリス? あの...そろそろ離してもらえないかな...」


「...ヤダ...」


「ヤダって...」


「もうちょっとこのままで...ダメ?」


「ダメじゃないけど...」


 エリスの柔らかな体の感触と甘い香りにカイの理性は今にも飛びそうだった。


 (落ち着け、こういう時は...そうだ、素数を数えるんだ。2、3、5、7、11...)


 カイの理性と男の本能との戦いは今しばらく続く。







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