界斗の帰郷と日常・1
二話目、投稿です!
朝早くに俺は起きた。
「ふあぁ」
少ししか寝ていないからか、まだ濃い眠気があった。
それでも俺は身体を起こし、クローゼットから制服を出して着替えを始めて、鞄を持ち一階へ階段を降りていった。
「あれ、もう起きちゃたの?」
リビングには、未来姉さんだけがいた。
「ああ、うん。あっちでの習慣が抜けきらなくて」
「早く抜いた方がいいよ。ほら、あれがあるんだし」
未来姉さんが周りをきょろきょろしながら、そう答えた。今日の夜から始まる事に思いを向けると、憂鬱さが内心あふれ出し、無意識にため息をはいてしまった。
「えっと、ごめんね」
「あ、いやいいんだよ」
未来姉さんに気を遣わせてしまった。次からは気を付けよう。
心の中でそう決めていた時、
「あれ、兄ちゃんじゃん」
「お兄様、おはようございます。それと、お久しぶりです」
「お兄ちゃんだ~」
金髪のポニーテールの美少女に黒髪が腰まである美少女、そして黒髪が肩下まである美少女が俺を見つけて、驚愕と喜びに包まれた顔で挨拶してきた。
天崎光。
天崎愛。
天崎悠。
俺の妹達だ。光は、一つ年下である、今年高校一年生になる子だ。金髪のポニーテールが目立つギャルでもある。愛と悠は、六つ下である、双子の姉妹で愛が上で悠が下だ。
「三人とも、おはよう」
「ってか、いつ帰って来たの⁉」
「深夜だよ」
光の問いに答えたのだが、三人とも答えを聞いてから、急に深刻な表情になった。それを見て、頭の上に疑問符が出ているのを、未来姉さんが見て、肩を竦めながら教えてくれた。
「三人とも、界斗の事を心配しているんだよ」
「ああ」
納得。俺は少し鈍感だからな(自覚しているしている分余計に、だと思うが)。未来姉さんによく教えてもらっている。
多分、深夜だからだろう。大丈夫なのにな。
「おはよ~。ん?界斗帰ってたのか」
「春兄ぃか。おはよう」
茶髪のイケメンがのらりくらりと障子から出てきた。
天崎春斗。
三つ年上の兄だ。茶髪にイケメンとこの町で、有名な人だ。
「む、帰っていたのか」
春兄ぃと雑談していると、障子から大柄な筋肉質の男性が現れた。
「はい、おはようございます、父上。それと、お久しぶりです」
その返事に、男性はゆっくりと頷いた。
天崎鋼太郎。
天崎家の当主であり、俺たちの父親だ。
「これで、全員。揃ったね」
未来姉さんがそう言って、家族全員を見渡した。春兄ぃが一つ「こほん」とわざとらしく咳払いをして、
「では、俺が代表して、改めて
お帰り、界斗」
◇
その後、未来姉さんが作った朝食を、食べた後に悠の髪型をツインテールにして、
「「「「行ってきます」」」」
光、愛、悠、俺で学校まで歩き始めた。
愛と悠は小学生で、光と俺は高校生だが、高等学校へ行く道の途中に中学校と小学校があるので、途中までは、一緒だ。
「小学校が見えてきました」
「じゃあ、ここで一旦お別れだね。帰りでね、二人共」
「ああ、じゃあな」
愛と悠が小学校へ向かい、俺と光が学校へまた歩き始める。
しばらくすると、
「よう、元気していたか」
金髪の男子が横から声を掛けてきた。
倉内雷之介。
近くの神社の寺息子だ。俺の幼馴染であり、親友でもある。
あだ名は、雷だ。
俺は苦笑しながら、
「勿論。ってかお前、俺の所によく来ていたろ」
「えっ」
「ははは、まあな。お前がどうしているか、気になっちまったんだよ」
雷は、よく俺のが居た家によく来ていて、俺の息抜きによく付き合ってくれていた。
「ちょ、ちょっと待って」
「「ん?」」
「雷先輩、兄ちゃんの所に行っていたんですか!?」
「「だから、そう言っているだろう」」
「こういう時に声合わせないで」
どうしたんだろう。俺と雷は、顔を合わせて一緒に首を傾げた。それを見た光は、「はあぁ」とため息をついて、
「先輩達に言いますよ」
「すみませんでしたああああああ!!!」
雷が目に見えない速さで土下座したので、思わず驚いてしまった。
「手綱を握られているんだな」
「いや、正確に言えばあいつらだな」
訂正しても、同じだろう。そう言うと、「ハハッ」と虚ろな瞳で言った。
「おおーい。ああ、ダメだこりゃ」
「ちょっと待って、早く行かないと遅刻する」
「いくぞおおおおおお!!!」
「「あっ、復活した」」
雷が勢い良く立ち上がり、叫んだのでそれに、反射的に反応した。
雷はそのまま学校の方へ走っていくので、俺達は顔を見合わせて肩を竦めながら、
「待てよ、雷!」
「待ってくださ~~い」
俺達はその後ろ姿を目で追いながら、一緒に走って行った。