第7話 勇者達の帰還(第1章最終回)
次の日、オレ達はエルフ王と再会した。例の掘りごたつの和室で。
「どうだ、良く眠れたか? 記憶はどうだ?」
エルフ王は優しく俺達に聞いてくる。
「はい、日本での記憶は、大体戻りました。ありがとうございます。」
神官が丁寧にエルフ王にお礼を言う。
「で、お前たち、日本に戻る気はないか?」
相変わらず爆弾発言だな、エルフ王。てか、オレ達帰れるの?
「か、帰れるの?! 私達?!」
魔法使いがエルフ王に詰め寄る。
「エルフの王様、俺達帰れるんですか?」
戦士も半信半疑のようだ。
「うむ、帰れる。」
重々しく応えるエルフ王。
「「「「帰りたい(です!)(よ!)(わ!)!」」」」
オレ達は口々にエルフ王に応える。もうマガイモノの記憶はない。日本での記憶を取り戻したオレ達に、ニンゲンの国に戻る気は全くなかった。
「では、余について来るがいい。」
そう言って、エルフ王は立ち上がった。
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「ここは・・・、礼拝堂? あの像は、エルフの神様ですか?」
「たしかに、ここは礼拝堂だ。しかし、お祀りしているのはエルフの神ではない。この世界の惑星管理神さまだ。」
な、なんだってぇ~ (AA省略)
相変わらず、エルフ王は爆弾発言をかましてくれる。
「4人とも。祭壇の前の、その円の中・・・黄色い線の内側に立つがよい。」
いかにもな魔方陣の中に、俺達はおずおずと入る。黄色い線ってエスカレーターかよ。
「力を楽にしておれ・・・。惑星管理神さま、ここにシャリーの被害者をお連れしました。どうか、この者たちを元の世界へ!」
エルフ王が祭壇に立ち聖句を唱えると、祭壇に祀られている像が光り輝く。おぉ、すげぇ。
足元の魔方陣が光り輝き、どこからか重々しい声が響く。
(地球の子らよ・・・。わが部下が迷惑をかけた・・・。これから、お前たちを元の時空に戻す。装備しているモノは、転移前の状態を復元しておく・・・。)
魔方陣からの光はますます眩しくなり、目を開けていられなくなる。
「さらばだ・・・。達者に暮らせよ。」
エルフ王の言葉を最後に、俺達は日本に戻った。
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魔方陣の光が静まると、そこにいた4人の少年少女の姿はなかった。
「無事戻ったか・・・。惑星管理神さま、惑星管理神補佐の女神シャリー、どうにかなりませんか。毎回勇者の相手する身にもなってくださいよ。」
祭壇の像に向かってボヤくエルフ王。
(すまん。わが部下はニンゲンを贔屓にしすぎる。よく言って聞かせよう。・・・減俸10分の2を50年間というところか。)
祭壇の像の光はまだ消えず、こころなしか申し訳なさそうな声が響く。
「それって50年後に別の勇者が呼ばれるってコトじゃないんですか・・・?」
ちっとも安心できない未来を予測したエルフ王に、祭壇の像は何も答えなかったという。
(第1章 エルフ王編 完)
次回予告
再び魔王城に乗り込む勇者一行! 今度の魔王はゴブリン王! 勇者たちは、魔王を斃し、世界の平和を守れるのか! 次回から、第2章、ゴブリン王編がスタート! お楽しみに!
(つづく)