第6話 明かされる真実
「だいたい、お前たちこの世界の者ではないだろう?」
((((!!!!))))
エルフ王はとんでもないことをオレ達に告げた。
「ウソつけ! 『なろう系ラノベ』じゃあるまいし!」
戦士が大声を出してエルフ王に詰め寄る。っつか、『なろうけいらのべ』ってなんだよ。
いきなり専門用語出すなよ、これだから『厨二病』は困る・・・。
「嘘ではない。お前たちは異世界から召喚されたのだ。ニンゲンの王によってな。」
エルフ王は淡々とオレ達に告げる。
「エルフ王様、どうして私たちが『異世界召喚勇者』だってわかったんですか?」
神官がエルフ王に訊ねる。そうだ、ソコ大事。
「お前たちおかしいと思わんのか? 自分たちだけが黒目黒髪であることを。」
「この部屋に来て和室だの掘りごたつだの、どうしてわかるのだ? この世界には無いモノばかりだぞ。」
「コタツに入って湯呑でお茶飲んでる段階で、お前たち『現代日本人』まちがいなし。」
畳みかけるエルフ王。反論できないオレ達。
「・・・でも、村中で応援されて修行の旅に出たはず・・・」
「・・・幼いころに司祭様に預けられて・・・」
戦士と神官が苦しそうに自分の記憶を手繰っている。
「昨日お前たちを捕まえたときに調べた。お前たちに洗脳魔法とか、魅了魔法が使われていた形跡があった。あと隷属魔法も。昨夜のお前たちを倒したときに余が全て解いておいた。」
え、そんなヒデーことされてたの、オレ達。
「・・・まさか、教皇様が、そんなことを・・・」
神官、ショックで顔が青いぞ。
「どうやら、ニンゲンの王に召喚された後、洗脳魔法やらなんやらで記憶を改ざん、隷属魔法で反抗心や疑いを持たないように心を縛っていたようだな。」
「・・・じゃあ、村にまつわる「勇者の剣」を抜いたって記憶は・・・」
「ニンゲンの王に植え付けられた、マガイモノの記憶だな。」
おれがようやく絞り出した声に、エルフ王の答えが冷たく響く。
「安心しろ。さっきも言ったが洗脳魔法やらなんやらは余が全部解いてある。今も真の記憶は戻りつつあるはずだ。そうだな、『けーたい』、『すまほ』、『きどくするー』、これらの言葉に聞き覚えはないか?」
エルフ王はオレ達に優しく問いかける。
「『スマホ』?・・・そうよ、私のスマホ! どこ行ったんだろう。」
「『既読スルー』?・・・やべぇ! ラインに返事しないと!」
魔法使いや戦士は何か思い出したようだ。
「今日は部屋でゆっくりしていろ。宮廷医師の見立てでは、もう一晩寝れば記憶も大方戻るであろう、とのことだ。明日改めてお前たちの身の振り方を話そう。なに、悪いようにはせんよ。」
エルフ王はそう告げて、話を締めくくった。
(つづく)