第4話 義はどこにあり?
「・・・で。でも、開拓団に魔物をけしかけて次々と皆殺しにしたって聞いてます!」
神官が勇気をふりしぼってエルフ王に詰め寄る。
そうだよ、開拓がんばってる農民を殺しちゃいけないよな。
「開拓団、ねぇ。お嬢ちゃん、ソイツ等、ドコを開拓していたと思う?」
エルフ王は冷めた目で神官を見る。
「・・・え?」
ピンとこないのか、神官が首をかしげる。
「森だよ、も・り。開拓って、森を切り開くんだよ! エルフが住んでる森を!」
少し切れ気味にエルフ王が言う。
「・・・、あ~、その、えっとぉ・・・」
言いよどむ神官。
「だいたい、森に住んでいるのは我らエルフだけではない。」
落ち着いたのか、少し穏やかな声でエルフ王が続ける。さすが400歳オーバー。大人だ。
「ゴブリンだろ、オークだろ、それに森猪やオオツノシカとか、フォレストスパイダーとか、トゲダンゴムシとか、森にはいろんな生き物が住んでいるのだぞ。お前たち、そんなコトも知らんのか。」
「「「「・・・・」」」」
エルフ王の口調はあくまで穏やかだ。それが余計に、俺達の心をエグる。
「弱肉強食ではあるが、様々な種族がそれなりに平和に暮らしていたところに、いきなりニンゲンに火を放たれて焼け出されてみろ。魔物だって総出で襲い掛かるだろ、常識的に考えて。」
((((仰る通りです!))))
やっぱり俺達は、何も言えなかった。
(つづく)