第2話 捕らわれの勇者達
意気揚々と魔王城に乗り込んだ俺達4人は、あっさり捕まってしまった。
4人が持っていた勇者の武器シリーズも、勇者の防具も取り上げられ、俺達は『村人の服』を着せられて魔王城の一室に閉じ込められている。
4人とも両手両足は鎖につながれている。・・・この鎖、ミスリルとオリハルコンの合金でできている? LvダウンやMP封じのルーンが彫られていて、俺達は勇者のチカラが出せない。
「ふぇぇ・・・。私達、どうなっちゃうのぉ・・・」
魔法使いが力なくつぶやく。
「さぁさ、ウジウジしてないで、ちゃんと残さず食べるんだよ!」
そんな魔法使いを無視するかのように、周りをメイド達が動き回る。
俺達は4人とも食堂?に連れてこられていた。世話してくれるのは何故か、母ちゃんみたいな雰囲気のエルフのオバちゃんメイド達である。
エルフなのに、オバちゃん。メイド服なのに、オバちゃん。解せぬ。やり直しを要求する!
「なんか失礼なコト考えたね?!」
ペシっと叩かれた。いてぇ。なんでわかったの?
「・・・おにぎり、おいしい。」
「この味噌汁、うめぇ」
「そーかい、それはよかったねぇ、たんとおあがり。」
一口食べた神官や戦士から出た感想に、オバちゃん達は優しくご飯を勧めてくれる。
なんで日本食なんだ? そう思いつつ、勇者も食べる。懐かしい美味しさ。母ちゃんの朝飯みたいだ。
「ご飯がすんだら、今日はもうおやすみ。明日、王様がお話したいそうだよ。」
オバちゃんの一人が、そう言って俺達を寝室に案内する。与えられた個室のベッドでオレはすぐ眠りについた。
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「よく来たな、まあ座れ。」
次の日、朝ごはんの後で、俺達4人は魔王と再会した。和室の掘りごたつで。壁にはバカデカい液晶テレビまで掛かっている。ホームシアターかよ。
「いいだろう、コレ。『かめ●まぶらんどの250いんち』で『はちけい』であるぞ。『びぃえす』も映るように『けぇぶるてれび』にも入っている。」
なんだよ、その自慢たらしいのは。魔王のドヤ顔にちょっとムカつく。
コタツは長方形の6人掛けで、俺達は2人ずつ長辺に座る。
「魔王のクセになんで掘りごたつなのよ。なんで部屋が和室なのよ!」
早速魔法使いが甲高い声で魔王に突っかかる。
「そんなイイガカリは知らん。まぁお茶でも飲め。」
魔王は取り合わない。
熱いほうじ茶の入った湯呑が俺達に配られる。ソコは紅茶だろ!JK。
「で、何の話があるってんだよ。」
ほうじ茶を飲みつつ、本題に入れと戦士が促す。
「そうだな・・・。まず、余はエルフの王であるが、魔王ではない。」
魔王はそう切り出した。
(つづく)