第15話 勇者たちの帰還(第2章最終話)
「それよりお前たち、帰りたくはないのか?」
唐突に、ゴブリン王が聞いてくる。
「どうせ、女神シャリーの加護を受けてニンゲンの王に召喚されたクチであろう? 元の世界、日本とやらに帰りたくはないのか?」
どうしてわたし達が日本人ってわかるのよ!
「そりゃ、帰りたいよ・・・。」
勇者がしょんぼりと答える。あんた勇者なんだから、もっと胸張って答えなさいよ。
「教皇様は、ゴブリンの魔王を倒さないと元の世界には戻れないって・・・」
神官が力なくつぶやく。
「そんなワケあるか。そもそも、ニンゲンの国では元の世界には戻れんぞ。」
さらっとゴブリン王が爆弾発言をかましてくるわ。なんかムカつくのよ、そのドヤ顔。
「召喚魔法には膨大な魔力が必要だ。勇者を呼ぶならともかく、帰すために貴重な魔力は使わんだろ。」
「ニンゲンからすれば、異世界から呼んだ召喚勇者なんぞ国民じゃないからな。使えるだけ使ったらポイ、だぞ。」
清々しいほどあっさりと、ゴブリン王は厳しい現実を突き付けてくる。
「俺ら使い捨てかよ・・・」
うなだれる戦士。わたし達も下を向いてしまう。
「まぁ、良い。で、帰りたいのか、どうなのだ?」
「「「「帰りたいです!」」」」
声をそろえて答えるわたし達。もうニンゲンの国になんて戻らないわ。
「でわ、付いて来い。」
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連れてこられた場所は、礼拝堂だった。ゴブリンの神様なのか、祭壇に像が祀られているわ。
「4人ともそこの魔方陣の中に立て。白線の内側にな。」
白線の内側ってなによ。駅のホームじゃないのよ。
ゴブリン王が聖句を唱えると、いかにもな魔方陣が光り出す。
「達者でくらせよ・・・。てかもう二度と来んな。」
まばゆい光の中、優しいんだか連れないんだか分からないゴブリン王の言葉を最後に、わたし達は日本に帰った。
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魔方陣の光が静まると、そこにいた4人の少年少女の姿はなかった。
「無事戻ったか・・・。惑星管理神さま、惑星管理神補佐の女神シャリー、どうにかなりませんか。50年ごとに勇者が押しかけてきて大迷惑ですよ。」
祭壇の像に向かってボヤくゴブリン王。
(すまん。わが部下はニンゲンを贔屓にしすぎる。よく言って聞かせよう。・・・減俸10分の2を50年間というところか。)
祭壇から、こころなしか申し訳なさそうな声が響く。
「減俸50年って・・・。あ! だから50年ごとに勇者がやって来るのかよ?! おぃ! 惑星管理神さま! ナンカ言えよ!」
ゴブリン王のツッコミに、祭壇の像は何も答えなかったという。
(第2章 ゴブリン王編 完)
次回予告
懲りずに魔王城に乗り込む勇者たち!
エルフ、ゴブリンと定番種族が続いた後は・・・やっぱり定番、今度の魔王はドワーフ王だ!
ドワーフと言えば男はヒゲもじゃアル中で、女性はやっぱり合法ロリ?!
褐色ロリか? のじゃロリか? これは見逃せないぞ!
(作者より 今回絵師さまナゼか異様に気合が入ってマス!)
次回から、第3章、ドワーフ王編がスタート! お楽しみに!
(つづく)
魔法使い「そう言えば、最初に着ていた服はどうなったのかしら。アンタクリーニングに出してたって言ってたけど。」
ゴブリン王「あぁ、あの勇者のローブか? 勇者シリーズの武器と一緒に、惑星管理神さまに預けてある。あんな危ないモノ城に置いておけるか。」