第13話 お前は、俺が守る!(ゴブリン王編第6話)
美人さんはゴブリン族の女性だっていうし、ハめてる首輪は結婚首輪ですって?!
初めて知るゴブリンの風習に、わたし達は驚くばかりよ。
「結婚首輪って、ゴブリン王は首輪してないじゃない。」
わたしはゴブリン王に聞いてみた。
「男は首輪なんぞせんわ。この首輪にはちゃんと意味がある。」
ゴブリン王が苦笑いしながら答える。
「結婚首輪は男の人が自分で作るの。ありったけの魔力を込めてね。」
ゴブリン王の奥さんが恥ずかし気に説明してくれる。王さまの奥さんだから、王妃さまね。
「魔力がこもった首輪には、防御魔法が付与されるの。で、プロポーズの決めセリフは『これでオマエを一生守る!』なの、・・・きゃっ♡」
王妃さま、両手をほほに当てながらイヤイヤするみたいに顔をふるの。
さっきとは比べ物にならない破壊力がわたし達を襲う。
((((どかーん!))))
やめて、わたし達萌だえ死んじゃう。
「で、この鎖はミスリル製でな、公式の場では男はコレに魔力を通しながらヨメをエスコートするのだ。」
ゴブリン王が若干顔を赤らめて話を続ける。なに恥ずかしがってるのよ。
でもそう言われれば、王妃さまの首輪からはスゴイ魔力を感じる。さすがゴブリンの魔王ね。
てか、あんたさっきのセリフ言ったの? ねぇ、言ったの?
「そんなコトはどうでもいい。」
ゴブリン王からバッサリ言われる。あれ、今の口に出してた?
「あの、お母さまやお姉さまの首輪の鎖はどうして短いんですか?」
神官がおずおずとゴブリン王に訊ねる。そうね、王妃さまの鎖は2メートルほどあるけど、お母さま達の鎖は10センチほどしかないわ。
「夫に先立たれると、残された妻は首輪の鎖を短く切るのよ。」
お姉さまが少し哀しそうに答える。え? 先立たれる・・・?
「父王や姉妹の夫は、50年ほど前に戦死した。お前たちの先代と闘ってな」
ゴブリン王から聞かされた答えは、思った以上にヘビーだったわ。
次回予告
先代勇者に殺された? さっきまでの恋バナらぶらぶモードはどこへやら?!
いきなり始まる鬱展開に作者もびっくりだよ!
次回! ゴブリン王編 第7話。「先代ゴブリン王と先代勇者」 お楽しみに!
(つづく)