第10話 女の子はキレイでいなきゃ(ゴブリン王編第3話)
私は、地下牢から連れてこられた部屋の入り口に掛けられている暖簾を見た。
そこには、「~大浴場 ゴブリンの湯♨ 「女」~」と書かれている。
ごしごし。
何のことか分からなくて、目をこすってもう一度見てみた。
~大浴場 ゴブリンの湯♨ 「女」~
いや、何が書いてあるかは分かっているが、その意味を理解することを脳が拒否していた。
「えっとぉ・・・、大浴場って・・・」
「だくさんの人数が一度に入れる大きなお風呂のことよ。知らないの?」
思わずつぶやいた私に、美人さんの1人がそう聞いてくる。
それくらい知ってるわよ! なんで魔王城に大浴場があんのよ。!
思わず言いかけた私に、もう一人の美人さんが
「いつまでそんなカッコでいるつもりなの? 早く入って。」
と「~大浴場 ゴブリンの湯♨ 「女」~」の暖簾がかかっている戸を開く。
そういえば、私下着姿のままだった。寒くはないけど、こんな格好で廊下に立っていたくはないわ。
私は意を決して、暖簾をくぐり部屋に入った。
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ソコはまさに、ザ・銭湯の脱衣場! だった。
藤で編まれた3段の脱衣ロッカーが並び、そこに藤で編んだ脱衣カゴがきちんと収められている。通路には藤の丸椅子が何脚かおかれ、天井には大きな扇風機がゆっくりと回っていた。
「あの・・・ココは・・・?」
思わず美人さん達に聞く私。どーみてもヤリ部屋には見えない。
「脱衣場よ。あなたお風呂入ったことないの?」
「ありますよ!」
「じゃあとっとと入って。」
「どうして私がお風呂入んなきゃいけないのよ!」
あまりの展開にキレる私。
「あなた臭いのよ! 自覚ないの?!」
美人さん達から逆ギレされた。
「え・・・? くさ、い?」
思わず固まる私。
「そーよ、何日入ってないのよ。汗臭いし、髪だってゴワゴワじゃないの。」
そりゃ、この魔王城にたどり着くまで、魔の森で何日も野宿したわよ。お風呂なんか入れなかったわよ。女の子なのに、髪だってベトベトになって・・・
「・・・・・(ぐすっ)」
私だって、年頃なのに、汗臭いと言われた自分に泣きたくなる。
「だからね、お風呂入ろ? ほらこれがタオル、髪をまとめるゴムはこれよ。」
涙目になる私に、美人さんの一人が優しくおふろグッズを渡してくれる。
「替えの下着と服は・・・これ。子供用だけど我慢してね。私達のじゃ、その、サイズがあわないみたいだし・・・」
ぼん・きゅっ・ぼんな美人さん達が申し訳なさそうに替えの服を出してくれる。
どーせつるぺたオコサマ体型ですよ、わかってるわよ。・・・だからそんな憐れむような目で見ないで!
「女の子なんだから、きれいにしないとね。」
そう言われて私は、美人さん達とお風呂に入った。
久しぶりのお風呂は、とってもキモチ良かった。
(追伸)
一緒に入った美人さん2人は、着ててもスゴいけど脱いだらもっとスゴかった!
次回予告
「こんなのお風呂回じゃない!」
そんな苦情も何のその。話は続くよ最後まで!
(作者注:本作品は予告なく打ち切られる場合があります。予めご了承ください。)
次回! ゴブリン王編 第4話。「コイツは俺のヨメ」 お楽しみに!
(つづく)