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アラビアの王様の妃になりませんか?

ボケ「ここは転生研究所。仕事の斡旋を生業とする会社の1部署。『転職』とまでは考えていないけれども『こう言う風になってみたい。』と考えているかたと、『今の状況を誰かに代わって欲しい。』と考えているかたを仲介するのが当研究所。今日も一人のお客様がお見えになったようであります。」

ツッコミ「すみません。息子は反抗期。旦那は家庭に無関心。家は社宅。旦那の地位がそのままヒエラルキーとなる近所付き合い。……こんな生活から早く逃げ出したいのでありますが……。」

ボケ「どのような条件が宜しいでしょうか?」

ツッコミ「……そうですね。地位・身分のある人の奥さんになりたいですね……。でも浮気ばかりされては困ります。私だけを愛してくれる人。だからと言って素直なだけでは面白くないので……。互いに刺激を必要とする。そんな環境に身を置いてみたいものです……。そんな虫のいい求人なんかありませんよね。」

ボケ「地位・身分のある人の奥さんで。浮気はしない人。そして常に刺激を求めあう関係を築きたい……。それでしたら……。」

ツッコミ「あるんですか?」

ボケ「はい。『アラビアの王様の妃』と言うモノは如何でしょう?」

ツッコミ「アラブの王様が私を。でありますか。」

ボケ「はい。そのかたは一切浮気をせず。1人の女性を愛し続けるかたであります。」

ツッコミ「これは願ったり叶ったり。……でもそんな恵まれた環境にあって、何で求人を出しているのですか?気になります。」

ボケ「求人を出しました王の妃のかたからの情報ですと、『旦那は私を愛してくれます。そして決して浮気をする人ではありません。ただひとつ大変なことがありまして……。』」

ツッコミ「大変なこととは?」

ボケ「『……面白い話をしないと、私の命は絶たれてしまうのであります。』」

ツッコミ「え!?どう言う事?」

ボケ「『王様は幼少期。母親から冷たく育てられた影響か。女性不審になってしまいまして……。私の前には過去。王は何人もの女性を娶ったのでありましたが、翌日には女性はどこかに消えてしまい、誰一人その姿を見たものは居ない……。そんなある日、見染められたのが私。噂は耳に入っていましたが、断ることも許されず。王様の目通りを受けることになった私。このままでは殺される。何とか回避する方法は無いか?と思案し、出した結論が。』」

ツッコミ「結論は?」

ボケ「『毎夜。面白い話を続けることにより、王の私への関心をつなぎ留め続けること。でありました。目論見は見事成功。王の寵愛に与る日々を過ごして来たのでありましたが……。』」

ツッコミ「ありましたが?」

ボケ「『そろそろ私の話のストックが少なくなってまいりました。少しネタ集めをする時間を頂戴したく、今回求人を出した次第であります。』とのことであります。」

ツッコミ「飛んでしまった若手芸人みたいですね……。ちょっと待ってください。幾つか確認したいことがあります。」

ボケ「何でしょうか?」

ツッコミ「たとえばですけど。私がその場に行きまして。面白くない話をした場合はどうなるのですか?」

ボケ「求人欄には『行方知れず』とだけ記されております。」

ツッコミ「仮に面白い話をすることが出来た場合は……。」

ボケ「……ご想像にお任せいたします。ただ備考欄には『最近、マニアックな方向に向かいがち』と記されています。」

ツッコミ「そのマニアックと言うのは?」

ボケ「……ご想像にお任せいたします。」

ツッコミ「よしんば無事。朝を迎えることが出来た場合は……。」

ボケ「その後は、自由時間になっています。ただ次の夜には再び王の寵愛を受ける手筈になっております。」

ツッコミ「王の寵愛を受ける。と言うことは……。」

ボケ「勿論、王を楽しませる話をすることになると思われます。」

ツッコミ「……ネタの仕込みで昼が終わってしまう……。」

ボケ「王の妃でありますので、宮殿の外に出ることは許されません。」

ツッコミ「……宮殿の中で一番のトピックスは。たぶん王様の暴走……。そんなのネタに出来やしない……。」

ボケ「日はいづれ沈むことになります。そうなりますと王様はあなたの部屋にやって来ます。」

ツッコミ「そこで失敗すると行方知れずとなり、成功すると……。」

ボケ「……ご想像にお任せいたします。因みにその王様でありますが、『上杉景勝クラスの無表情』と追記されています。」

ツッコミ「人生で一回しか笑った姿を見せなかったあの上杉景勝クラスの仏頂面の王様に。毎夜。笑いで挑む……。よくその妃これまで生き延びることが出来ましたね。」

ボケ「この求人受けますか?」

ツッコミ「……ご想像にお任せいたします。」

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