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終焉の竜と王国  作者: 白山 銀四郎
1章 竜は狙われました
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9話 戦闘体勢をとれ!


 クロークは城に帰れると思うと安心した気持ちになる。やはりいつもいる城が落ち着くのである。あそこにはクロークにとって大切なものがたくさんある。そのものからすこしでも離れるのは正直嫌なのである。後ろの新兵の様子をみようと振り返ったとき違和感を感じた。兵士の後ろには来た道が続いているがなにかがおかしい。


ー足跡がない!幻影魔術か!


「戦闘体勢をとれ!」

クロークは剣を抜き去りながら声を張り上げた。クロークによって解除された幻影の向こうには黒くうごめくものが存在していた。


ー影縛り!はやい


黒いものの正体は影縛りといって生き物の動きを縛りつけるものである。術者が優秀なのか幻影を解いた瞬間速度をはやめ襲いかかってきた。後ろの方にいった兵士たちは苦しそうな表情を浮かべ動けなくなった。クロークは駆け寄り魔術を発動させた。太陽(ソーレ)によってまばゆい光に照らされた影縛りは黒い煙を微かにあげながら消えていく。しかしすでに灰色のローブを纏う集団と兵士たちの戦闘が始まっていた。

 クロークも応戦し20人いた集団は6人まで減っていた。死者はいないもののやはり新兵たちは大なり小なり傷が刻まれつつあった。


ーはやくカタをつけねば…この6人はできるな…魔術を放とうにも新兵が邪魔だな・・・


クロークはいくつもの魔術を行使するが威力が一番で繊細なコントロールはあまり得意とするところではなかった。クロークの横にヘイルダムが陣をとった。

「閣下…

「わかっている…これ以上は不味いな」

新兵だけでも撤退させようと考えたとき、薄紫の煙が弾けた。



「閣下!?っ!ひゅっ」

ヘイルダムは息苦しさをすぐに覚えた。毒だとすぐに気がつき口と鼻を覆ったが即効性で立っているのもつらい痛みが体に走った。


―広範囲解毒回復


クロークにはこの毒は効かないためわからなかったが、ヘイルダムの苦しそうな声を聞き、毒だと判断し解毒魔術を広範囲で発動した。その時、煙の中から腕がクロークに延びてきた。クロークも気配を感じ振り返ったが魔術の発動で行動が遅れた。

「っ!」

延びた手は流れた髪を掴んだ。つかみ近づいてきた顔は目元しか見えないがとても嬉しそうな酔ったような表情が浮かんでいた。クロークはその顔にわずかな恐怖を感じ、体を強ばらせたがすぐに動かした。捕まれていた髪を斬ると飛び下がりながら、今度は四方から遅い来る敵を斬り飛ばした。クロークはわずかに痛みがはしった頬に眉を潜めたがそんなことよりも


ーまずい!火炎砲弾!


クロークは敵に炎を放った。正確には敵が持っている髪と敵の剣についた血に対してである。呪いなどに使われることがあるからだ。現に髪を握り続ける気持ちの悪い男だった。あっという間に黒こげのしたいが何体か出来上がった。


―風

当たりに立ち込める煙を風で飛ばしてクロークは死人が出ていないかとあたりを見渡した。ヘイルダムは解毒魔術が効いていくのを感じていたがはやく動けるようになれと自分の体にイライラした。ヘイルダムはただただクロークが心配でならないのである。その心配に拍車を駆けるように金属音と砂を蹴るいくつもの足音がヘイルダムの耳に届いた。霞む目で煙の中を必死に探した。


ー閣下!


 クロークの魔力を感じた瞬間とてつもない熱気が襲い来た。クロークが無事なのはわかったがこんなにも強力な魔術の発動にまだ不安がぬぐえなかった。人が焼けた匂いとともに煙が晴れていきヘイルダムの視力が戻りつつある目にクロークの姿が映った。不安そうにあたりを見渡し、ヘイルダムたちが無事だとわかると安心したように微笑むクロークに後悔しか浮かばなかった。


ー閣下・・・


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