5話 閣下、諦めてください
まぁ・・・顔がいいならこういうこともありかなと出来心で
昔友人がやられていたのですよね・・・女子ってかわいいけど怖いななんて思いましたね・・・
「宰相閣下!似合っております」
「自信を失いそう…」
翌朝、村では黄色い声が上がっていた。
ヘイルダムが提案したのはクロークが女装して盗賊の油断と襲う気を高める作戦であった。当然クロークは断ったがなんだかんだと引き受けてしまった。
そしてそれをきいた村の女たちがこぞってクロークを着せ替え人形にした。普通であれば無礼だと怒られると思ってそんなことはしないはずだが、小さい頃から知っているクロークに対してそのような恐怖を抱いていなかった。あっという間に化粧もされて、ちょっとしたお金持ちのご婦人があらわれた。
「お待たせしました」
村長の妻が家からでて外で待機する兵士に声をかけた。その後ろからヘイルダムが出てきたが肝心のクロークがなかなか姿を見せない。
兵士は気分を害されたのではとはらはらして扉をみた。
「閣下、諦めてください」
「おっさんが女装してなにになるのだ…笑われるに決まっているだろう」
「大丈夫ですよ」
「そうですよ!宰相閣下!とても素敵です!」
業を煮やしたヘイルダムが腕をつかみ、後ろから村娘に背中を押されてクロークは姿を表した。
やめてくれというように腕をあげ小さくわたわたと動かすクロークがその姿を見せた。
この時兵士のこころは一つになった。
閣下、素敵だ…
俺たちが絶対に守ると
なにも反応しない兵士や村の男たちに余計に恥ずかしくなり、顔を見にくくする布を深く被った。
それをみてヘイルダムはいろいろな意味で心配になった。
いつもはシャキッとしていて頭もまわるがこういうことには初な反応を見せるクロークに
「閣下、とても似合っておりますから。顔をあげてください」
「っ!閣下、ぜんぜんおかしくないです。似合っております」
ヘイルダムの言葉にはっとなった兵士は口々にクロークに声をかけた。
ばっと顔を上げたクロークは顔を若干紅くして口を開いた。
「嬉しくない!」
―なぜだ!なぜ竜である私が!




