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終焉の竜と王国  作者: 白山 銀四郎
5章 竜は女神と再会しました
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5章 女神のヘレナ2

「閣下…本当に私たちだけでいくのですか」

「あぁ、あまりいても動きにくい。それに私への負荷が大きい」

他国にいくということで旅人の格好で国境沿いを歩いていた。

「負荷ですか?」

「そうだ…さてとこの辺りならば問題ないだろう」

クロークは歩みを止めてくるりと向きを変えた。なにをするのかとヘイルダムは首をかしげた。

「私につかまってくれ。転移するぞ」

「えっ」

「時間がおしい…はやくしろ」

クロークの急かすことばに戸惑いながらも手や肩をおのおのつかんだ。

「つかんだな、いくぞ」

クロークは転移の魔術を発動させ、その場に誰一人残らなかった。


クロークがヘイルダムたちを確認するととっさに目をつむったのかぎゅっと目を閉じていた。すこし可愛くおもしろく思った。

「ついたぞ」

おそるおそるというように目を開け回りを確認するヘイルダムたちを促し洞窟の入り口に入った。ヘイルダムたちもそれに続く。

「ここはどこですか」

ロナルドは洞窟を見上げながらクロークに尋ねた。

「ワットヌーエ国のドミニク山脈だ」

全員が驚いたがとくにティーズが驚いていた。転移の魔術は高位魔術でなかなか発動させることができるものはなかなかいない。それを複数人かつ長距離の転移を行ったのだ魔術師として驚くほかない。

「こんなに簡単にこれていいのですか」

洞窟を一時間すすむと大きな石の扉が現れた。ついキヌアがそういうとクロークが苦笑した。

「来るのは簡単だ…ただ封印石をとって出られるかと言えば」

クロークはそういいながら扉をあけた。その瞬間扉の向こうから炎が6人を襲った。クロークが障壁で防がなければ消し炭だったと理解できるほどの熱が5人に伝わる。

「さてと…やりますかね」

クロークは剣を抜き去ると一気に部屋に滑り込んだ。5人は部屋の熱に遮られ部屋に入ることすらできない。

金属の打ち合う音が途切れるとさあぁと熱も熱で発生していた水蒸気も消えクロークのみが部屋の中心にたっていた。

「このように終焉の竜による幻影獣が襲いかかってくる」

「閣下…先に言ってください」

ヘイルダムの苦言にすまなさそうに微笑むと折り畳まれた紙を手渡した。ヘイルダムが紙を広げるとそこにはこの世界の地図であった。

「これは」

ヤルバはクロークが地図を出した糸がわからなかったため素直に質問をした。

「みんなを今からここに飛ばす」

そういいながら地図をクロークは指し示した。ヘイルダムはとっさに言い返そうとしたがその前にクロークが次の指示を出した。

「そしてここからは自分達の足で進まなくてはならない。どこにあるかは封印石を手にすればわかるだろう…わたしはアス山に向かう」

「神界への入り口…」

「閣下!私共閣下とともに」

ヘイルダムたちはアス山に一人で向かうというクロークにすがった。アス山にいったものが帰ってきたことはないといわれる場所…そのようなところに一人でクロークをいかせるなどあってはならないのだと


「すまない」

クロークは一言そういうと5人を転送させた。

転送先で5人は呆然としクロークを掴んでいた手を見つめた。

「閣下…」

しゃがみこみ地面に拳を打ち付けたヘイルダムの拳は血に濡れた。ロナルドはほえた。

「ティーズ!もどせ!」

「むりよ!」

ティーズは悔しそうにロナルドから目をずらした。ヤルバもキヌエも頭を抱えた。ヘイルダムは歯をくいしばると立ち上がった。

「いこう…」

「でも」

「命令だ!行くぞ!行くしかないんだ…国のためだ」

ヘイルダムの言葉にはっとすると背筋を伸ばし、皆歯を食い縛り敬礼をしていた。


ヘイルダムたちは地図と魔石を便りに進み続けると大きな扉が現れる。しかし押しても開かない、ティーズの魔術でも開かなかった。

最初から手詰まりになった。

「なにか見落としているはずだ」

ヘイルダムは魔石を睨み付けた。魔石の中で光がくるくると回っている。地図も立っている場所を指し示している。ヘイルダムはまさかと地面を見渡した。

足のしたに切り抜いたような穴があいていた。ヘイルダムはその穴と魔石を見比べると魔石を差し込んだ。

「うわぁ」

魔石が穴に吸い込まれるように消えると5人は中に浮いた。叫び声が地面に吸い込まれていく。

ヘイルダム、ヤルバ、キヌエ、ロナルドは体勢をなんとかたてなおすと壁に剣を突き刺し落下を避けようと手に力を込める。

ティーズは浮遊呪文をかけながらなんとか4人の落下を押さえようと空気の操作を行った。

ものすごい音で着地したもののなんとか怪我もなく地に足をつけることができた。

「っ…」

しびれる手を震えさせながら真上を見上げ。すこしの光がヘイルダムたちに降り注いでいた。

「副隊長…はぁはぁいってからしてくれませんか」

「はぁはぁ…ヤルバの言うとおりです。閣下じゃあるまいし」

「すまない…はぁはぁ…ははは!似てきたかな」

肩で息をしながらそんな軽口を叩きあった。軽口でも叩かねば気が滅入ってそれこそ死んでしまうかもしれない。

ヘイルダムは手を叩いて握って広げ問題ないか確認すると剣を拾った。ヤルバたちも同様に剣を手にすると目の前の扉を開いた。白い扉の向こうは吹雪であった。

「なにもみえない…」

「気を付けろ!竜が襲ってくるぞ」

吹雪が竜巻のように巻き上がると白い視界に竜の姿が見えた。竜はひとつ吼えると翼を広げた。翼を広げるときの風だけでも飛ばされそうな勢いがある。

「弱点はあるのでしょうか」

「あることを願うな」

「フロスト系ならば火が対照的ですが私だけでは…」

武器を構え隙を見せないようにしながらそんな会話をする。竜は中央の祭壇をぐるりと囲うように体を移動させた。

「あそこに次の魔石があるのか…かけてもいいでしょうか」

「キヌエ…なにを」

「逆に凍らせればいいのではないかと…ティーズは水の魔術が得意ですし」

「…よし!一か八かだ!死ぬなよ、おまえら」

「はい!」

1h間ほど戦い続け、体力も魔力もそこをつきかけていたがなんとか竜の動きを止めることができた。竜は氷でふさがった口をモゴモゴさせながら暴れていたがヘイルダムたちの一刀によって倒れ霧となり消滅した。

「…なんとかなったな…」

「ギリギリもいいところですよ…」

「大きな怪我だけ直しますね」

ティーズは大きな怪我を治すと祭壇をみた。祭壇にはきらきらと輝く緑色の魔石がおかれていた。ヘイルダムが祭壇から持ち上げるとこれまた魔石の中ひ光が生まれ、地図とともに次の場所にヘイルダムたちをいざなう。


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