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終焉の竜と王国  作者: 白山 銀四郎
3章 竜は狂愛を受けました
24/34

24話 閣下が重体です

「失礼します」

ヘイルダムは調印式を行っている部屋に入るとすぐグウェンシークのもとに行き、小さな声で何があったかを伝えた。

「そうか…イース殿が思っている通り、イルバンナ王女が賊を招き入れ騒ぎを起こしたようだ」

「「…」」

グウェンシークの言葉に茫然自失となる2人を兵士に部屋につれていき軟禁するようにグウェンシークが命じた。大人しく兵士に引き連れれるワットヌーエ国のものたちを見送るとグウェンシークは顔を手でおおうと震える息を吐き出した。

「ヘイルダム…何があった」

ヴァルツは恐る恐るヘイルダムにきいた、ところどころ擦り傷や切り傷にまみれた姿をみればただ事ではないことがわかる

「閣下が重体です」

ヘイルダムの絞り出すような言葉にその場にいたものが呆然とした。

「なんとか治癒者たちのお陰で命はとりとめておりますが…」

「それほどまでに重いのか」

ヘイルダムは頷いた。

「クロークのもとにむかう」

「はっ」

「大人数でいっても邪魔になるだろう…お前たちは後で見舞ってやってくれ」

グウェンシークの言葉に大臣たちは静かに頷いた。その顔はいまだに現実を受け入れることができないよ絶望を写し取ったようなものであり、グウェンシークはさらに絶望と喪失のものであった。



 「閣下…陛下がおみえです」

グローリエの言葉にうっすらと目を開けると今にも泣きそうなグウェンシークの顔が覗き込んでいた。

クロークをみた瞬間、死んでるのではないかとグウェンシークも思ったです。しかし、震えるからだに生きているとわかったが全く安心できなかった。

「ごぶ…じです…か」

小さく苦しそうな声でクロークがそう訪ねた。

「私は大丈夫だとも…クローク」

グウェンシークはこんなになりながら己を心配する腹心を抱き寄せた。冷たいからだにどきっとしたが、静かにからだを撫でてやることしかできない。クロークはグウェンシークに撫でられて嬉しくて手間をかけさせる自分が嫌になる気がした。

「無理をするな…クローク」

悲しそうにそういうグウェンシークの手を震える手で握った。握り返してくれる手に幸せになりながらゆっくり撫でてくれるグウェンシークにつられて眠くなっていく。

「やっと眠ってくださった…」

グローリエはほっと息をついた。眠った方が回復が早いため、早く眠れればといろいろ手を尽くしていたが、陛下をこれほど待っていたとはグローリエは思ってもみなかった。

「陛下…」

「イルバンナとかいう愚か者たちは何をした」

クロークを起こさないように静かな声であるが重たく圧のある声であった。

「先ほど鑑定が終了したところでございました。イルバンナがつけていた装飾品、

 賊が持っていた宝石は竜人封石という竜人の核それも人の部分のみを破壊するというものでした。

 閣下はそれによりこのような状態に…鑑定士いわく閣下は核の割合が竜より人が小さいため

 大きく影響したのではないかと」

「…ちっ…たしかに私に影響はなかったな…その魔石は今はどうしている」

「結界の中に封じております」

グウェンシークはそのようなものがこの世にあったのかと苦く思った。どうしてくれようかと報復を考えているところにワットヌーエから書簡が届いたと外交官が持ってきた。グウェンシークに書簡を手渡すと悲痛な面持ちでクロークを見ると深く頭を下げ部屋から出ていった。


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